割増賃金は、法定労働時間を超える労働に対して支払うものだ。
したがって、例えば1日の所定労働時間が7時間である会社では、1時間だけ残業させても、通常の賃金1時間分を支払えば足り、割増賃金を支払う義務は無いと、一般的に言われている。
しかし、この原則は、すべての会社にあてはまるわけではなく、しかも、あてはまらない会社が「例外」と呼べるほど少なくもない。
労働基準法は、労働時間を「1日8時間以内」かつ「週40時間以内(一部の小規模事業を除く)」と定めている。
これは、基本的には「1日8時間×週5日」を想定したものだが、必ずそうしなければならないものではなく、「1日6時間40分×週6日」としても、あるいは、変形労働時間制の採用により一定期間(「1か月」・「1年」など)を平均して1週間あたり40時間以内になれば、それでも良い。
そして、その“法で定める労働時間”を超えて労働させた場合に、割増賃金(基本的には2割5分以上)を支払わなければならないこととされている。
つまり、「8時間以内の労働には割増賃金を支払う義務はない」というのは、「変形労働時間制を採らない週休2日制の会社」に限った話ということになる。
ちなみに、「フレックスタイム制」も変形労働時間制の一種であるので、フレックスタイム制を導入している会社においては、むしろ8時間以内の残業に割増賃金を支払うべきケースが多くなりがちだ。大企業だからと言って必ずしも原則があてはまるとは限らないのだ。
なお、法定労働時間を超えて労働させるためには、俗に「三六協定(サブロク協定)」と呼ばれる労働基準法第36条に定める労使協定を締結して労働基準監督署に届け出ておかなければならない。しかし、三六協定の有無に関わらず、現実に時間外労働をさせたのなら、割増賃金を支払う義務が発生する点は認識しておきたい。
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