今や一部の業態では、人手不足により外国人の労働力に頼らざるを得なくなっており、これを受けて昨年12月8日に出入国管理法が改正され、単純労働を可能とする新たな在留資格「特定技能」が設けられた。
その一方で、外国人の雇用環境が劣悪であることが告発されるなど、ここ数か月、外国人雇用を巡る話題が喧しくなってきている。
ところで、もともと外国人枠を設けて雇用しようとする会社はそれなりに知識を得て(もしくは専門家に依頼して)募集するので心配無用だろうが、自社の求人に対して企図せず外国人が応募してくることは、すべての会社が想定しておかなければならないだろう。
無論、会社の事情や方針があるだろうから、またその人の経験・能力等も勘案して採否を決めればよいのだが、採用する場合にはいくつかの注意すべきポイントがあるので、それらを以下に挙げてみたい。
外国人を雇おうとする際には、まず、その職種に就労できる在留資格を有していることを確認しなければならない。基本的には『在留カード』(写真付き、携帯義務あり)を提示してもらうこととしておけばよいだろう。
ちなみに、在留資格ごとに就労できる職種は、以下の通りとなっている。
A:職種に限定なく就労可能
①「永住者」、②「日本人の配偶者等」、③「永住者の配偶者等」、④「定住者」
B:それぞれに該当する職種にのみ就労可能
①「教授」、②「芸術」、③「宗教」、④「報道」、⑤「高度専門職」、⑥「経営・管理」、⑦「法律・会計業務」、⑧「医療」、⑨「研究」、⑩「教育」、⑪「技術・人文知識・国際業務」、⑫「企業内転勤」、⑬「興行」、⑭「技能」、⑮「特定活動(法務大臣が指定した活動に限る)」、⑯「特定技能」(今年4月から追加)
C:原則として就労不可だが「資格外活動許可」の範囲内で就労可能
①「文化活動」、②「留学」、③「家族滞在」、④Bに挙げた在留資格に属しない副業
また、外国人労働者といえども、労働者には違いない。労働基準法・最低賃金法・労働契約法・労働組合法・パートタイム労働法・雇用機会均等法といった労働関係法は、日本人同様に適用される。
ただし、社会保障協定の締結相手国から派遣された者については、社会保険制度(厚生年金保険制度が主だが出身国によっては健康保険制度や労災保険制度まで含む場合も)の適用が一部免除されることがある点は、例外として覚えておきたい。
加えて、外国人を雇い入れた会社は、管轄ハローワークへ届け出ることが義務づけられている。雇用保険の被保険者については『資格取得届』の該当欄に記入するだけで良いが、被保険者にならない外国人については『外国人雇用状況届出書』を翌月末日までに提出することとされているので、失念しないよう注意を要する。
なお、新しい在留資格「特定技能」については、本稿執筆時点(2019年4月)では稼働し始めたばかりで不透明な部分が多いため敢えて詳しくは触れなかったが、今後の動向を見ながら戦略的に活用することも考えておくべきだろう。
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