ご苦労さん労務やっぱり

労務管理に関する基礎知識や情報など。 3日・13日・23日に更新する予定です。(タイトルは事務所電話番号の語呂合わせ)

労働条件の明示方法

2024-01-03 18:39:30 | 労務情報

 会社が従業員を雇い入れる際には、労働時間や賃金などの労働条件を明示しなければならない(労働基準法第15条第1項)。
 これには必ず明示すべき「絶対的明示事項」と定めがある場合に明示すべき「相対的明示事項」とがあり、後者は口頭での明示でもよい(労働基準法施行規則第5条第3項・第4項)。 もっとも、相対的明示事項はそもそも「定めがある場合」のものなのでそれを定めた規程を交付すれば済むだろう。
 一方、絶対的明示事項も就業規則等を交付するので差し支えない(平11.1.29基発45号)が、斉一的な規程では示しきれない項目もあるので注意を要する。

【絶対的明示事項】
  1 労働契約の期間
  1-2 期間の定めのある労働契約を更新する場合の基準
  1-3 (令和6年4月以降)通算契約期間又は更新回数の上限の有無と内容
  2 就業の場所・従事する業務の内容
  2-2 (令和6年4月以降)就業場所・業務の変更の範囲
  3 労働時間や休日・休暇、交替制勤務をさせる場合は就業時転換に関する事項
  4 賃金の決定・計算・支払いの方法、賃金の締切、支払の時期に関する事項
  5 退職に関する事項(解雇の事由を含む。)

 ところで、労働条件の明示方法は、原則として“書面”で行うこととされているが、必ずしも「労働条件通知書」や「雇い入れ通知書」といった紙を手渡さなければならないわけではなく、契約書(「労働契約書」や「雇用契約書」)の形式であっても問題ない。
 また、“紙”ではなく、当該労働者が希望している場合は、ファクシミリ・電子メール・SNS等で送信することも可能だ(同施行規則第5条第4項ただし書き)。 ただし、当該労働者がそれを出力して書面を作成することができるものに限り、第三者が閲覧できるブログやX(旧ツイッター)等への投稿は不可とされる。 加えて、トラブル防止と管理しやすさの観点から、メール本文に労働条件を記入するよりも労働条件通知書を作成してそれをメールに添付して送信するのが望ましいとされている(平30.12.28基発1228第15号)。

 ちなみに、仮に労働条件の明示が無かった場合でも、労働契約は、労働者と使用者の両者が合意することによって成立する(労働契約法第6条)。
 したがって、口約束であっても、労働者には労働する義務が、使用者には賃金を支払う義務が、それぞれ発生することは理解しておかなければならない。 もちろん労働基準法違反の状態であることは言うまでもないが。


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