パートタイム労働法第8条は、通常の労働者(以下、本稿では「正社員」と呼ぶことにする)と同視すべきパートタイマーについては、「賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、差別的取扱いをしてはならない」と定めている。そして、その「正社員と同視すべきパートタイマー」とは、次の3要件を満たすものとしている。
(1)業務の内容や責任の程度が正社員と同一
(2)配置変更その他の人材活用の仕組みが正社員と同一
(3)無期雇用契約を締結している(有期雇用契約を反復更新して無期雇用と同視できる場合を含む)
これを前提に、現状、パートタイマーを雇用している会社では、上記要件のうち(1)と(2)には該当しても、有期雇用であることを理由として、正社員と待遇に差を設けていることが多い。それどころか、正社員と同じ待遇にしないようにするため、敢えて有期雇用にしておくケースも見られるくらいだ。
ところが、今国会に、上記のうち(3)の要件を外す改正法案が上程されている。加えて、改正案は、これに該当しないパートタイマーについても、職務の内容、人材活用の仕組み、その他の事情を考慮して、正社員との待遇の相違が不合理であってはならないとする。
改正法案が可決成立すれば、現在パートタイマーを雇用している会社では、その扱いを見直さざるを得ないことになろう。
もっとも、正社員とパートタイマーとでは、本来、「業務の内容」や「責任の程度」や「人材活用の仕組み」は、異なっていて然るべきだ。
今般の法改正とは関係なく、正社員とパートタイマーの役割を明確に区別し、それぞれに適した採用・配属・昇進等の制度を整えておく必要はあるだろう。
※この記事はお役に立ちましたでしょうか。
よろしかったら「人気ブログランキング」への投票をお願いいたします。
(クリックしていただくと、当ブログにポイントが入り、ランキングページが開きます。)
↓