リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

マニュアルとは次元の違う思考力だね

2021年02月12日 | 日々の風の吹くまま
2月11日(木曜日)。☁☀☁。寒いよぉ。朝7時半のバルコニーの気温はマイナス2度。でも、予報ほどには下がらなかったようで、それほどの大寒波にはならずに平年に戻るんじゃないかと言う予感。日曜日にべちゃ雪が降らなければなお良しってところ。

今日は11時近くにワルデマーがDIYセンターのレジ袋3つと大きな箱を抱えて.て出勤。レジ袋の中身は「とりあえず」取り付ける水栓。モダンな感じのバスルーム用のもので、「1セット8千円で安いけど、見た目はいいだろう?」とワルデマー。大きな箱の中身は継ぎ手のコレクション。使い残したり、不要だったりしたものを無駄にしないで取っておいたんだそうで、何だかワタシのミニチュア工作の残り物のコレクションみたい。排水トラップを付けるのに、箱をかき回しては、ちょうどよい角度になりそうな継ぎ手やパイプを探し出してお試し。パイプが長過ぎたら、パイプカッターをパイプに嵌めてぐいっと回すだけでスパッときれいに切れるからすごい。ワタシが大まじめに見ているもので、接着剤やテフロンのテープの使い方、継ぎ手を水漏れしないようにつなぐテクニックを説明しながらの作業。ワタシはワルデマーがシンクの下にもぐっている間に上で水栓を押さえていたり、ごみをどけたり、授業料代わりの手伝い。

ポーランドではワルデマーは大学で経営管理の修士号を取ったものの、共産党政権の窮屈さに嫌気が差して、亡命するチャンスを狙って外航船に乗ったんだそうな。で、バンクーバーで休日に下船できたときにそのまま船には帰らずに亡命を申請したんだって。私たちの親しい友だちのヤネクも大学生のときに東ドイツに旅行する許可を得て、そのまま西へ進んで行き着いたベルギーで亡命を申請したと言っていたな。ヤネクはモントリオールに親戚がいたおかげでカナダに来て、マギル大学を出て会計士になったけど、ワルデマーの場合は修士の学位が役に立たず、工業専門学校に行って配管工の資格を取ったんだって。最初は我が家から見える埠頭の会社で入港する船の配管の修理をしていたけど、長時間労働なのに3年、4年と経っても昇給も昇進も見込めなかったので、独立して仕事先で会った電気工のステファンとチームを組んで互いの技能を教え合って来たとか。そうやって25年前におひとり様の「総合請負業」の看板を出したというからすごい。

難問に出会ったら「クリエイティブに行かないと」が口癖で、実際にものすごい勢いで考えて、解決策を見つけて実行する能力は、マニュアルに慣れた思考とはまったく次元の違う思考力だと思う。ワルデマーのように、母国で高等教育を受けた人たちがカナダに移民して来て、専門分野の仕事に就くごとができずにブルーカラー労働者になったケースは数え切れないんだから、ゆめゆめブルーカラーだから、英語が訛っているからと見下すなかれ。すごい頭脳を持った人たちが互いに助け合いながら自分たちの手で生活を築いているんだから。