買い物大好きな夫が
「昨日、いつものスーパーで何度も、車のハザードランプがついたままだと言う店内放送があったんだよ」
と話し始めた。
「買い物を終えて駐車場に出てみると
4、5人の女性客が軽自動車を囲んでオロオロしているんだ。
何事かと思って、その車を覗いてみると中で赤ん坊がギャーギャー泣いているんだよ」
「それで、赤ん坊を心配した女性客たちが、ハザードランプがついたままの車の持ち主を呼び出してもらうよう店内スタッフに頼んだらしい」
という話だ。
「昨日は暖かかったものね、心配だよね」
それでどうしたの?」
と訊くと、
「オレも万が一の時は車の窓を叩き割らないといけないかな…と思って待機していたんだよ。
それから暫くして母親が車に帰って来たんだけれど、ブスッとして何も言わずに帰って行ったんだよ」
と。
「ふ〜ん、余計なお世話だと思ったんじゃないの?」
という私に、
「その母親だけど、オレが買い物中に見かけたとき、買い物カゴに冷凍食品を乱暴にばっさばっさと投げ入れていた客だったんだよ」
そして、
「あんな母親に育てられる子供は可哀想だな…」
と、
トーンを落とした。
確かに、子どもは可哀想だ。
だが、
母親の方にも、いろいろ事情はあるのかもしれない。
昨日も県内で、
32歳の母親が2歳と4歳の子どもを浴室で死亡させ、
自殺を図ったらしいという事件が起きた。
近所の人は
「おとなしくて、とてもそんな事をするようには見えなかった」
と話していたと言うが、
新聞記事には、
その前から母親のSOSとも思える異様な言動があったようにも書かれていた。
どうして、気づいてやれなかったのか…。
同居家族が、
母親の子育ての悩みに向き合えば、防げたのではないだろうか。
夫の話に出てきたスーパーで見かけた母親も、
きっと何か問題を抱えているに違いないと思う。
どうか、
ひとりで抱え込まないでほしい…