フランス一人旅～マダムＭを訪ねて(4)

『パリ・ドゴール空港で』①


1月6日5：30（日本時間）

予定より1時間近く遅れて、（モスクワ離陸後約4時間）パリ・シャルル・ドゴール空港到着。

ここで時計を現地時間にあわせる。

着陸と同時に機内の乗客が一斉に拍手をした。
アエロフロート機に乗ると着陸時に乗客から拍手が起こるという、やはり・・・・あの噂は本当だった。

現地時間　1月5日　ＰＭ９：３０　到着

到着ロビーは、ごった返していた。

入国審査のゲートでは、すでにロシア人らしい観光客が200人近く並んでいる。
私は、彼らの後ろに並んで待つことにした。

これほど混んでいるのに、審査官はたった一人だけ・・・しかもスローペース。
なかなか順番が来ないので、待ちくたびれた前の方の男性客がロシア語で

「なにやってんだ？一体いつまで待たせる気なんだ？」と抗議していた。

その声が聞こえたのか、ようやくもう一方のゲートに入国審査官が入ったお陰で
スローだったペースも幾分かは速くなったようだ。

と、そこへ後からやってきた観光客が横から割り込んで来た。
見た目はロシア人たちよりもお洒落でフランス人っぽいが、国籍不明の団体だ。

その様子を見た私の前に並んでいたロシア人女性が、憤慨して

「ちょっと、あんたたち後ろに並んでよ！」と文句を言い始めた。

とたんに、後ろの男性が大声で

「そうだよ、みんな並んでいるんだぞ、きちんと並べよっ！」と

割り込み国籍不明団体客たちに怒号を浴びせた。

ロシア語と、どこの国の言葉か不明だがフランス語にもよく似ている言葉と２ヶ国語での言い争いが始まった。

（注： 私は日頃から、プレーリードッグや、ダルメシアンと会話しているので
意味不明の外国語でも、その動作などから意味を感じ取ることができるのです。）

お互いに睨みあっている彼らに挟まれたアジア人の私は表情だけ、一応困った顔をして状況を見守った。

（内心はフムフム・・面白いぞ、一人旅ならではのアクシデントだぞい）とわくわくしていたのだ。

・・が、一触即発の緊張は、いつのまにやら審査官が手続きをスピードアップしはじめ
順番が次から次へとまわって来ることによって回避できたようだ。

私の番が来た。

入国審査官の男性はトム・ハンクスと独サッカーＧＫのカーンを足して２で割ったような顔をして
じっと私を見つめた。

そしてパスポートの写真と顔が違う、と言いはじめた。

パスポートの写真は7年前のもので髪が長い、化粧も今と違う。
今の私はメガネをかけ、髪が短く（機中泊だったので）スッピンに近い顔だ。

仕方がなくメガネを外して見せると、「ＯＫ」と言ってニコッと笑った。

意外にも、彼の笑った顔はチャーミングだった。