深夜に異変を感じて目が覚めた。
(何だろう…この臭いは)
どこかで嗅いだことのある、
饐えたような...
一瞬、寝ぼけたアタマの中にあるモノが浮かんだが、
(また、吐いちゃったかな…?)
と思いながらリビングに降りて行くと
TVの前の一番目立つ絨毯の真ん中に
茶色の…あるモノが
てんこ盛りになって…鎮座していたのだった。
(えっ⁉︎)
異様な臭気を放つその物体に
ふと、
ご本犬に目をやれば、
チラリと薄目を開け
狼狽しているコッチに一瞬目を向けただけで
スヌーピーのような顔をして気持ちよさそうに寝ている…
さて、
どうやって片付けようかと考え、
散歩用のエチケット袋を取ってきて
外で処理しているのと同じようにつまみ取るが
エアコンの効いている部屋の中だ…
臭いが消えない。
ペット用の脱臭スプレーとカーペットクリーナーで何度もゴシゴシやって
ようやく臭いは消えたが、
なぜか、
また、それとは別のニオイが周囲に漂っている…
ふと自分の足元のカーペットを見れば
50cm四方の大きなシミ。
(あぁ、こっちもか)
カーペットを2ピース分剥がしてお風呂に行き、
こっちもゴシゴシ洗剤で洗い、寒空の下に干す。
時計を見ると1時過ぎている…
すっかり目が覚めた。
昨日は、車で10分の公園まで行き
ピョンピョン飛び跳ねて元気に遊んでいたのに…
若ぶっていたけれど…
やっぱり、そういう年齢なんだな。
それとも、
精神的に何かあったか…?
Halはナーバスな犬で、
かつて飼われていた家で揉め事を経験しているらしく
過去のトラウマからか
人間の大声や不穏な空気に強く反応する。
そういえば昨夜は
つまらない事で、夫と諍いをした。
私がつい声を荒げてしまったのを
Halは、寝たフリをして聞いていたのだ。
いつもなら、
仲直りしたフリして、Halに話しかけてから2階に上がるのに、
それをせずにブツブツ言いながら
2階に上がってしまった。
その事がHalを動揺させてしまったのかもしれない…。
一通り汚物の処理と掃除を済ませてから
Halのそばに行くと薄目を開けてから目を閉じ、
そっと身体を撫でてやると、
安心したような表情で軽くイビキをかき始めた。
(なんて可愛いヤツ…今日は朝寝坊かな?)
と思いつつ2階に上がって、わずか2時間後だった…
再びキュンキュン言いはじめたので、時計を見ると4時だ。
散歩に連れて行くと、
外は雨降りで、おまけに真っ暗なのに
いつもの散歩コースをピョンピョン飛び回っている…
いつもなら、
この時期の朝散歩は6時だが、
やっぱり、
何か勘違いしているらしい…。
敷地内を一周して帰ってくると
いつものように、朝ごはんをせがむ。
まだ早いよと言うと、
意味が通じたらしく自分のベッドで
再び眠り始めた。
Halのアタマの中で、
何が起こっているのだろう…
引き取った時から覚悟していたが
一緒に過ごす時間は
あと、どのくらい残されているのだろう。
限られた時間を
どれくらい快適に過ごさせてやれるかと
考える。
一緒にいたいと言う気持ちが
Halを長生きさせるコツだから。
親の介護もろくに出来なかったのに
愛犬の介護は苦にならないなんて、
…ねぇ。
(T ^ T)