久々のマンドリン演奏会。
マンドリンを弾くのが趣味だった義父が元気だった頃は
何度か聴きに行った事があったが、
義父亡き後は愛好会の主催者からの案内も無くなり、
長い間、足が遠のいていた。
今回、この“朔太郎音楽祭”と銘打った演奏会に行く気になった理由は2つ、
1つは、
朗読講座の受講生から
朔太郎の作品を朗読するので是非来て欲しいとの案内メールを受け取ったこと、
そして、
もう1つは、音楽祭のチラシに
伊豆下田のコンサートでご一緒した元中央音楽隊の布施さんの御子息であるテナーの布施雅也さんが出演されるとあったからだ。
プログラムは3部構成だったが、
印象としては最後の合同演奏を入れると4部構成とも思えるボリューム。
聞き応えのある演奏会だった。
久しぶりに生で聴くマンドリンオーケストラも期待以上だったが、
この音楽祭のために、
朔太郎の詩集「氷島」の中の「晩秋」に、武藤理恵さんが曲をつけて初演された第3部の布施雅也さんのテナー独唱は、
その哀愁を帯びた旋律が聴くものの心を揺さぶった。
それは、
演奏の合間に、ペチャクチャと喋り通しだった隣の席のオバさまたちの
歌が終わった後の表情を見れば一目瞭然で、
両手を胸の前で組み、目を潤ませ、美しいものを見聞きした時の満足しきった少女のような笑みを浮かべ、
二度三度、ウンウン…と頷きながら拍手をしていた彼女たちの表情が、とりわけ印象的だったことからも窺える。
個人的なことを言わせて貰えば、
布施さんのテナー独唱を、できればあと2、3曲聴きたかった。
さて、最初に
このコンサートの案内メールを送ってくれた受講生の朗読についてだが、
これは、少し意外だった。
彼女は「月に吠える」から「恋を恋する人」を選んで朗読したのだが、
それを聴きながら、
かつて発禁になったこともあるこの詩について、
( 高校生の女の子が、どんな解釈をして読んでいるのかなぁ)
と考えていると
前橋文学館の館長である萩原朔美氏も私と同じことを思われたようで、
読み終わった後で、
「なぜ、この詩を選んだの?」
と質問された。
すると、彼女は
「人が読んでいるのを聴いて読んでみたいと思いました。高校生の自分が読んだらどうなるか、という私なりの挑戦です」
と、堂々と答えていた。
( なるほど、彼女らしい発想だなぁ)
と思いつつも、
観客の拍手の大きさに驚きつつ、
彼女の“勇気ある挑戦”に、たくましさと成長を感じたのであった。
(^◇^;)
4名の高校生たちの朗読を聞かせてもらったが、
ここで、少しアドバイスを…
出演者は全員女子高校生で、それぞれが聞きやすい声のトーンで朗読していたが、
小さなホールでマイクを使って朗読する場合は、
生声もある程度聞こえるので、さほど問題にならない音響も
2000人近く入る大きなホールでは、音響、特にマイクの使い方が課題となる。
今回は語尾まで明瞭に聞き取れる場合と、残念ながらそうでない場合が半々だった。
常に声とマイクの距離を意識して、マイクに近づき過ぎないよう、
リハーサルの時に音響担当者に調整をお願いした方が良い。
マイクの使い方といえば、
MCを務められたGTVの元アナウンサー降旗さんの声はさすがに明瞭で聞きやすかった。
昔からマンドリン関係のコンサートMCをされていることは知っていたが、
今でも全く衰えない大先輩の声に、私自身、大いに刺激を受けた。
終演間際、
アンコールでマンドリンオーケストラの演奏する「坂の上の雲」のテーマを聴きながら
(私も受講生を見習って何か新しいことに挑戦しようかなぁ…)
と漠然と考えていたが、
私には「恋を恋する人」を人前で読む勇気は、とてもない…
若さとは、きっと…そういうものだ。
しみずゆみ♫