( なんてタイムリーなんだろう!)
思わずTVを見ながら呟いた。
昨夜、寝る直前まで観ていたビデオの主人公を演じた有名俳優がTVに出ている…
「素晴らしき世界」は2年前の作品らしいが、
配役に惹かれて見始めた。
結末は予想どおりだったし、
ストーリーも予想に近いものだったが
最後まで飽きずに見終えたのは、恐らく主演俳優の演技力によるものだ。
その主人公を演じた俳優がドイツの監督による最新作でカンヌ国際映画祭で主演男優賞を獲った…
優れた演技は、言葉の壁を越える。
きっと、最新作も演技をしている事を感じさせない自然な演技なのだろう。
公開は今月下旬らしいが…渋谷の公衆トイレの清掃員を演じてるらしい。
昨夜みた2021年公開の「素晴らしき世界」は
社会の片隅で、普通に生活する事を願う刑期を終えた中年男と、それを支える周囲の人々の物語だ。
この映画の肝と思えるのは、
一歩間違えれば刑務所に逆戻りしそうな暴力への衝動を抑えようとする男の葛藤で、
激高しやすい感情を必死で堪えるシーンはハラハラドキドキの連続である。
原作には実在モデルがいたらしい…。
「素晴らしき世界」という題名は、
最初のうち随分と皮肉っぽく思えたものだが…
この主人公にとっては、
映画の後半は、心底そう思える世界だったのかも知れない。
犯罪歴のある人間にとって、塀の外の実社会は生きづらい世界だが、
いやいや、そう捨てたもんじゃないよ…
という事なのかもしれない。