遠い森 遠い聲 ........語り部・ストーリーテラー lucaのことのは
語り部は いにしえを語り継ぎ いまを読み解き あしたを予言する。騙りかも!?内容はご自身の手で検証してください。
 



.......なぜかわからないが映画を観なくては....という気持ちに急かされて、さてなにを見ようと思ったらマイケルの”This Is It ”をやっていた。娘とふたり、二年ぶりのシネマ複合館、ブース9 ちょうど5分前だった。ひとはそう多くはなかった。


     

   
イギリス公演のためのオーディションに世界中から集まった1000もの若者たち.......「マイケルのそばで踊りたい、それが夢なんだ。」「マイケルがいたから踊っている」「生きてゆくのはつらい.....だから踊るんだ。マイケルのために。」最初から泣いていた。

   マイケルは妥協しない。演出のオルテガに任せきりにしない。納得のいくまでテイクをかさねる。「キューは僕がだす」マイケルは幾度もいう。ダメ出しのときマイケルはいう。「怒ってるんじゃないんだよ。愛のためだ。神の祝福があなたにあるように」

   「ホラ 君が最高に輝くときだ! 君が出せる最高に高い音を出すんだ!!」MJはソロパーツのギタリストにいう。

   「余韻 余韻がたいせつなんだ」 マイケルは辛抱強くなんどもいう。余韻って 日本語なら”間”といってもいいだろう。映像とダンス、演奏、そして歌。歌はそのひとつひとつがストーリーになっている。

   わたしは思い出す。マイケルが言ったこと。「ストーリーテリングは最高のエンターティンメントだ。」

   みんながいう。「マイケルがくるとワクワクする」マイケルは50近いのにかるがる踊る。空気のようにひそやかでふわりと 洗練された動き。

   「メッセージを伝えよう アマゾンで毎秒 フットボール場ひとつ分の森が刈り取られている。破壊を今、とめよう。 世界はひとつだ..... みんなで変えよう.....」ぼくたちはファミリーだ......マイケルは言う。「ここはロックンロールの教会だ」....オルテガは言う。

   もうひとつのメッセージを伝えようとしてMJ は殺された。MJが死んだことで より多くのひとは映画館に行って この映画を観るのだろう。これでよかったのかもしれない。でも 悲しくてしかたがない。マイケルの大きさが死んで映画を見てわかるなんて。 強くてやさしいマイケル。どんなありさまでも生きていてほしかった。世界はだいじな人を失った。

   

   そして、マイケルはパフォーマーとはなにか エンターティナーとはいかなるものか身をもって教えてくれた。うちなるものをひきだすこと。それを支える強靭な意志、やさしさ、卓越した技術 そして身体。聴衆をハイにして、しあわせにして熱狂させて たいせつなことを伝える.....だれにでもわかることばで。世界の人口は今 どれくらい? わたしはもうすぐばあさんになるかもしれない、だけどマイケルの想いの80億分の一でもいいから受け継ぎたい。マイケルの果たせなかったことをすこぢでも果たすために。

   最後のクレジットが消えるまで、音が絶えて 電光がつくまで だれも席を立とうとはしなかった。わたしのめがねは白く曇っていた、なめてみたら しょっぱかった。なみだはタートルネックの首まで流れていた。


    娘と樹の下にいた。枯れ葉がさわさわ舞うしたで 余韻を感じていたくて。夕方.....友人と会った。いつも守ってもらっていたのが、なぜだか今日は......守りたいと思った。生きてであって、こうして手をとりあって生きてゆけるとは......今日はビジョンがいくつか見えた。この身をゆだねて 挑戦をつづけて行ける気がした。静かなゆるぎない目をこらして、変わる風の向きを かそけき気配を見逃すまいと思う。







        

      





コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )