おすすめ度 ☆☆☆
デンマーク・スウェーデン合作
『ボーダー 二つの世界』の鬼才・アリ・アッバシ監督がベルリン国際映画祭ほか、世界中の映画祭を席捲し「ローズマリーの赤ちゃん」と並び称されたマタニティ・ホラーの最高傑作。
深い森と美しい湖に面する家に、ブカレスト出身のエレナが連れてこられた。運転手を務めたカスパーは、自然の中の一軒家で、電気を使わないナチュラリストの生活をしている。妻のルイスは病弱で、家事ができない。そのためにエレナが雇われた。しかし電気が通じてないので、スマホも使えない。さすがに興ざめするエレナだった。カスパーは固定電話が使えるから、と慰める。ニワトリ世話から水くみ、薪割りと21世紀とは思えない生活だった。二人の信条は強固で、物質的な文明の批判がある。
ここでルイスは二人の凍結した受精卵を使ってエレナに代理妻になってくれないか、と頼み込む。もちろん報酬は高額でエレナ一家の生活は一転する。エレナは代理妻を承諾する。ルイスが通う病院
で受精卵をエレナの子宮内へ着床させる。
二回目の妊娠で安心していたエレナだったが、しだいに身体の不調を訴える。ルイスはリーリング治療を行う老人を招いたが、効果はない。エレナのお腹は大きくなるが、悪夢さえ見て精神的に追い詰められる。元に戻ることは出来ない。エレナは自傷行為にも及ぶ。カスパーとルイスの赤ん坊は生命の危機をむかえる。
産まれたその赤ん坊が何だったのか、結局のところ劇中では一切描かれていない。だが、代理出産という2人を介した出産により産まれた赤ん坊は明らかに「この世の者ならざる者」である事はラストシーンを見ても明らかである。
代理出産の恐怖!
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