ひろの映画見たまま

映画にワクワク

父親たちの星条旗・硫黄島からの手紙

2006-10-30 19:47:30 | Weblog
壮大な戦争映画だ。

今まで、映画にならなかったのが不思議だ。

しかし、この映画は、硫黄島の戦争だけでなく、むしろ硫黄島のすり鉢山に立てられた星条旗の意味するものを描いている。

戦争の壮大さもさりながら、戦争現場、銃後のアメリカ、そして現代とそれぞれがつながって、描かれる。

特に、星条旗を掲げた写真の意味するもの、それは、アメリカが戦争を続けるためには、国債を発行して、戦費を調達しなければならない当時のアメリカの裏事情と

戦で戦友を失い、悲惨な現場を体験した戦士たちが、銃後の贅沢な暮らしの中で英雄となり行く苦悩を見事に描いている。

星条旗を掲げた6人のうち生き残った3人を中心に話が進む。

英雄伝説に弱いアメリカの気質がよく出ている。3人の中にインディアン出身者が含まれていてアメリカ社会の差別が皮肉られている。

そして彼は、戦後生きる道を探しながら結局、野垂れ死ぬ。英雄からの没落だ。その対比がアメリカ社会なのだ。

ただ、驚くのは、終戦間近で、まだアメリカが裕福な生活をしていることだ。

日本は既に一億総決起の時代だったのに、国債が必要という程度の状況だったのだ。

クリントイーストウッドは、戦争場面と、銃後の社会と現代の画面を切り替えながら、迫力を持続させ、最後まで飽きさせない。見事なものだ。

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トンマッコルへようこそ

2006-10-28 21:37:01 | Weblog
トンマッコル=こどものように純粋な村。

朝鮮戦争のさなか、この村に、連合軍の飛行機が墜落して一人の飛行士が生きてこの村に来る。

この村の近くで戦争していた人民軍の生き残りが3人と、これまた、本隊とはぐれてさまよう2人の韓国軍兵士がこの村にやってくる。

最初は、お互いいがみ合って、村民を一箇所に集め一触即発の事態に。

しかし、放り投げた手榴弾が、蔵をぶっ飛ばしてしまったため、

村の農作を手伝うようになる。

この村は、名の通り、韓国の農村でのんびり平和な暮らしをしている。

ために、のどかで、村人も争いを知らない。

そこに、行方不明になった将校を奪還すすために、連合国が攻めてくる。

村のやさしさを知った兵士たちは、そのまま軍に帰ることも出来ず、

村のために、仮想の村を作って敵をそちらにおびき寄せる作戦に出る。

圧倒的な軍を相手に兵士たちは死を賭して戦う。

壮絶なシーンだ。

のどかな村との対比が切ない。

題名とは裏腹に、むごい映画である。
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16ブロック

2006-10-26 19:21:49 | Weblog
ブルースウイリスだ。

今回は、酒飲みで、足を引きずるしがない男。

事件に巻き込まれる。

自分もからんだ警察の不祥事を暴露させないよう圧力がかかる。

同行した強盗犯に同情したことから、全警察に追いかけられる。

下町を16ブロックに過ぎない距離を逃げまくる。

裁判での証言のため、時間がない。

敵は昔の同僚だ。

同時進行的な事件に切迫感がある。

そして、最後はバスジャックをすることに

そのバスも拳銃でパンクさせられる。

その車で細い道を街灯などをなぎなぎ倒しながら逃走する。

親切なアパートの住人や妹の救急車に助けられて、やっと裁判所に

そこでもまた包囲網が、息もつかせぬ迫力が

最後まで引っ張っていく。
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サンキュー・スモーキング

2006-10-23 19:40:35 | Weblog
たばこ研究所の宣伝マンの話だ。

でも、それだけではない、かれのディベート(討論)力の話だ。

タバコが有害だとされる法案に反対し独特の論理で説得する。

しかし、それぞれの思惑で、討論のみでは片付かない。

タバコ業界も深くかかわり、彼は命も狙われる。

討論が主体の映画だけに、アメリカのような討論国では面白そうだが、

わが日本では、字幕を読みながらでは、ついていくのがやっとだ。

そのハンデで、映画はあまり面白くない。

また、話が記者とねんごろになり、寝物語にしたディベートの内幕をばらされ

窮地に立つ。

だが、再び弁舌さわやかで、煙に巻く

面白いのは、息子を職場に同伴しディベートを鍛える。

そして、個人の自由を表明して映画は終わる。


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ブラックダリア

2006-10-19 20:35:32 | Weblog
怪しい映画だ。

戦後間もなくロサンジェルスで起きた猟奇殺人事件をもとに仕立てられたミステリードラマ。

死体は、口から耳にかけて切り裂かれ、下半身は切断され、内臓は洗い出されていた。

被害者は、女優志願の美人で、同時にレズビアンのフィルムも見つかる。

この怪しい事件を追う刑事二人。

ボクサーであった二人が、お互い戦うこととなるが、それを契機に二人でタッグを組み捜査に当たる。

しかし、先輩刑事には暗い影が、そして先輩刑事と同棲する美女の誘惑に若き刑事は惹かれる。

刑事物でありながら、二人の刑事ひいては一人の刑事が捜査に当たり、

あやしいバーで、出会った被害者に似た美人にも誘惑される。

持てる男の話は、いわゆるハードボイルドタッチだ。

被害者に似た女性の父親は大富豪で、そこに招かれ見たものは、母親の狂気。

話は面白いが結局、ミステリィと官能の入り混じったフィクションだ。

途中、銃撃戦や階段からの落下など、アクションもあるがむしろ、演劇的要素が濃い。

ブラックノアールの一種か。
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カポーティ

2006-10-14 17:33:26 | Weblog
トルーマン・カポーティの「冷血」。

その創作秘話だ。

ドキュメンタリーのようだ。

アメリカの田舎町で起こった一家惨殺事件に興味を持ち、それを題材に小説を書こうとした。

その取材の過程を映画は描いている。

その取材は、事件の本質を突き、犯人にインタビューする。

犯人は、裁判で死刑になる。

その最期まで看取る

フィリプ・シーモア・ホフマンがこのカポーティを演じている

カポーティは独特のしゃべりとジェスチャーをする。それをうまくまねているという。

まあ、迫真の演技だ。


途中事件については、その場面は回想の一場面でしか出てこないが、鮮烈だ。

そしてこの場面のカットが途中で挿入され、興味を引く





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涙そうそう

2006-10-05 19:09:20 | Weblog
涙そうそうをモチーフにつくられた作品という。

父親に死別した後、再婚した相手に年下の女の子がいた。

その父も失踪し、残された子供二人は、おばあさんのもとで育てられる。

島から、沖縄に出て働く青年は、店を出すことを夢見る

底抜けに明るい青年を妻夫木は好演している。

妹が高校へ行くため、兄のところへ転がり込む。

幼いころから仲のよかった兄は、妹がやってくることを心待ちにしている

彼には女医を目指す恋人がいる。

やっと店を持った順風満帆の彼に不幸が訪れる

店の資金を騙し取られたのだ。

それから借金返済の苦労が始まる

妹は大学進学とともに、兄のもとを離れる。

妹思いの兄、妹に対する気持ちが恋へと

人を思いやる心の優しさが涙を誘う。

手馴れた脚本と演出で、クライマックスへと進む

そして、意外な結末。

おばあが人の定めという。
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「ヨコハマメリー」

2006-10-01 16:50:59 | Weblog
ヨコハマはやっぱり、ハイカラだ。

メリーさんは、このヨコハマで、70過ぎまでハイカラを通していた。

でも、よる年に勝てず、今は養老施設暮らし。

戦後、進駐軍が占領していたとき、

ヨコハマはさらにハイカラだった。

進駐軍相手の娼婦は、当時の特権クラスでもあったろ。

その人たちのその後を、象徴するようにメリーさん存在する。

この映画でも、ほとんどメリーさんはくちをきかない。

ハイカラな姿は、写真家森日出夫の写真によってである。

そしてこの映画には、もう一人の主人公がいる。

シャンソン歌手・永登元次郎だ。

彼の歌は、哀愁を帯び、その歌詞は人生を切なく歌う。

がんに侵され余命幾ばくもない彼が、

ヨコハマでのメリーさんの最後をみとる。

そしてラストは、養老施設にいるメリーさんの前でシャンソンを歌う。

彼は、男娼でもあった。幼いころ、母に裏切られ、そのトラウマが

今も心にある。

戦後から現代まで、横浜のハイカラを描ききった本作は、

ドキュメンタリーでありながら、ドラマを含んでいる。
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