おすすめ度 ☆☆☆☆★ (劇場鑑賞)
アメリカ西部の路上に暮らす車上生活者たちの生き様を、大自然の映像美とともに描いたロードムービー。
音楽と映像のコラボ、アメリカ西部の荒々しい自然が、厳しさとやさしさを伴ってくる。
そして、映画は、ノマド達、それは演者でなく、実存の人たち。
だがその語る言葉は、心に刺さる。
ネバダ州の企業城下町で暮らす60代の女性ファーンは、リーマンショックによる企業倒産の影響で、長年住み慣れた家を失ってしまう。
キャンピングカーに全てを詰め込んだ彼女は、“現代のノマド(遊牧民)”として、過酷な季節労働の現場を渡り歩きながら車上生活を送ることに。毎日を懸命に乗り越えながら、行く先々で出会うノマドたちと心の交流を重ね、誇りを持って自由を生きる彼女の旅は続いていく。
ファーンは61歳。演じるフランシス・マクドーマンドは、現在63歳。ほぼ同じ年齢。老後の心配な年ごろ。
それでも、働きたいと、アマゾンの配送現場や、遊園地の清掃など厳しい労働をこなしていく。
ノマド達も高齢、死を感じる年ごろ。その言葉は重い。
そして流れるような映像と音楽。美しいが過酷な自然。
まさに映画マニアを興奮させる素晴らしい映画。