おすすめ度 ☆☆☆★ (劇場鑑賞)
フランス・ドイツ映画
1919年、ドイツ。婚約者フランツをフランスとの戦いで亡くしたアンナは、フランツの両親と共に悲嘆に暮れる日々を送っていた。ある日、アンナは見知らぬ男がフランツの墓に花を手向けて泣いているところを目撃する。アドリアンと名乗るその男は戦前のパリでフランツと知り合ったと話し、彼が語るフランツとの友情に、アンナもフランツの両親も癒やされていく。
フランスの気鋭監督フランソワオゾン作品。
一部カラーを交えながらほぼ白黒で描く、気品ある映像美に惹かれる。
そして物語は、主としてアンナ目線で描かれ、戦争によって失われ、傷ついた男女の機微が物語を紡いでいく。
フランスとドイツ、お互い敵同士、戦争中は殺しあった仲だ。
アンナは、最初婚約者の友人として受け入れ、一時は恋心も芽生える。
だが、アドリアンの告白で、奈落の底に。
周りの人々も、傷つきながら生きている。
戦争が生んだ悲劇だが、この物語はさらに複雑。男と女の関係をえぐっていく。
ラストは、マネの「自殺」(フランツの愛した絵だという)の前のアンナと見知らぬ男。
自殺までしかけたアンナの生きる意志なのか?
味わい深い映画だ。