おすすめ度 ☆☆☆☆
236分の長尺なので、これに耐えられる人限定。
いつか見たいと思っていたが、劇場では、4時間の鑑賞に堪えられないので、DVDを借りた。
1991年 台湾映画 PG12 台湾でのタイトル「牯嶺街少年殺人事件」
第28回金馬奨で最優秀作品賞を受賞。第4回東京国際映画祭インターナショナル・コンペティション部門審査員特別賞、国際批評家連盟賞受賞。1995年には、イギリスのBBCによる「21世紀に残したい映画100本」に選出。2015年には釜山国際映画祭のアジア映画ベスト100の第8位に選出された。
監督のエドワード・ヤンの生誕70年、没後10年となる2017年3月に、日本では約25年ぶりに236分の4Kレストア・デジタルリマスター版が公開された。
61年夏、14歳の少年が同い年のガールフレンドを殺害するという、台湾で初の未成年による殺人事件が起こる。映画は、これを題材に、当時の閉塞した台湾の、学校教育の、外省人と内省人の軋轢、加害少年と被害少女の家庭問題、若者・不良グループの存在など、様々な要因を絡めて、社会の、人生の軋轢を浮き彫りにしていく。
加害少年は、閉塞感からか、常に反抗的、おかげで、夜間しか行けず、それも退学となる。だが、それは、社会や家庭そして仲間たちの軋轢があったからだ。
戦時中、日本の住宅だった家が、当時は使われており、どこか小津を思わせる映像の数々。
引きの映像が、物語にふさわしい。
被害女性も、時代と家庭環境、そして男性社会の被害者だ。誰からも好かれるが故の小悪魔的存在。
加害者男性には、気のいい兄、二人の姉、弟がいる。その家庭がいじらしい。父親は、外省人であるため、共産主義を疑われ、捜査の対象に。
そこここにちりばめられた、せりふの数々が意味深長。
当時、アメリカかぶれだったのか、プレスリーの歌が。
少年たちのグループ同士の争いも、そこでは、殺人事件も。
それにしても、運命のいたずら。心に残る映画だ。