町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

大規模リニューアルで活躍が続く京王7000系後期車(10両固定編成)

2022年06月03日 | 京王電鉄(電車・バス)

1984年から登場の京王7000系はコルゲートステンレス車体で製造されましたが、198711月以降に増備された編成からはビードプレス車体に変更され車番の下2桁が20番台で区分されるようになり、8両・4両・2両の3種類の編成が製造されています。この内の8両は19962月〜3月にデハ7050・サハ7050を新造して組み込み、京王では初めての先頭車が中間に入らない10両固定編成となりました。これらの編成は各駅停車のサービス改善を目的として登場したことから長らく各停中心の運用でしたが、2001327日のダイヤ改定から形式による運用の区別が廃された為、特急・準特急にも充当されるようになり京王線の汎用車的位置付けになりました。

前面幌枠と渡り板を廃止して大分印象が変化した7000系後期車(7723F)。この編成は19883月落成で10両化は19962月に、VVVFインバーター制御化は200710月に施工されています。ビードプレス車体の10両固定編成は5本が在籍していますが、7721F〜7724Fは両側の先頭車とデハ7050形2両が東急車輛製造、それ以外の車両が日本車輌製造とメーカーが統一されていないのが最大の特徴です(7725Fのみ全車日本車輌製造で落成)。

相模原線系統の特急に充当される場面。正面に表示している車両番号は7725Fから一般的な欧文書体に改められ、他編成も順次交換されますが、現在でも京王特有の角張った書体が残る編成も見ることが出来ます。

車内設備は当初リニューアル工事が先行して実施された為、内装は更新されながらもドアチャイム・車内案内表示が無い中途半端な形態でしたが後年に追加で設置され、案内表示についてはそれまでのLEDから17インチ液晶画面に改められました。

当初は路線図や次駅案内を行う画面を1台のみ設置しましたが、動画広告用の画面を2017年に増設しています。また、9000系の97369749F9730Fと共に自動放送装置の新設を行い201051日より使用を開始しています。

設備投資計画に於いて非貫通車両の解消に対応する新造車導入を発表したため、先行きが危ぶまれる7000系ですが、これら10両固定編成は遅くまで本線系統で運用される姿を見れそうですね。

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6000系に代わる汎用車・京王9000系30番台

2022年06月01日 | 京王電鉄(電車・バス)

2001年から2004年に掛けて、京王9000系は8両編成8本の64両が製造されますが、この時点ではVVVFインバーター制御車は都営新宿線のATCと電波干渉する恐れがあった為、将来的な直通を考慮しながらも乗り入れ関連機器の搭載は見送られ京王線内での運用に留まりました。しかし2005514日に新宿線のATCが更新されVVVFインバーター制御車の入線が可能になり都営地下鉄側では10-300形が運転を開始し、京王側も30番台に区分される9000系の10両固定編成を増備、それまで直通に用いられていた600030番台の置き換えが本格化しました。

都営新宿線直通運用に充当される9743F。営業運転で他の編成を連結する事が無い為、8両編成で設けられていた幌座が廃され、帯が途切れなくなりました。また、自動分併装置や伝送変換器も省略されています。

京王線特急運用に就く9737F。通過標識灯が点灯しています。都営新宿線直通運用が主体の30番台ですが、運用に制約が無く編成にも余裕がある為、京王線内でも各駅停車から特急まで全ての運用に充当されます。30番台車は10両編成20本の200両が増備され、これに伴い6000系は2009610日で都営新宿線直通運用から撤退、残った地上線専用車も2011313日で営業運転終了となりました。

車内設備は新火災対策基準に適合させる為に見直しが図られ、配色を白系で統一の上、袖仕切りの形状を変更し妻窓を廃止。ドアもステンレス無塗装のドアになりました。9736編成からは車両間の貫通路と貫通扉幅を拡大し手摺り形状を曲線化、車内案内表示器をLEDスクロールから17インチ液晶画面にするなど更なる設計変更が加わっています。コストダウンの一環ではありますが、京王線専用の8両で採用されていた化粧板仕上げにRの少ない角ばった窓ガラスのドアでないのが個人的には残念なところです。

2010年からは自動放送装置を搭載する改造を受け、その後は都営新宿線内でも対応するように改良されています。大手私鉄にしてはどちらも採用が遅めで、遅れているような感じを受けましたが、最近は近隣他社を凌ぐレベルの接客設備になった印象ですね。

※2017年の記事を修正

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デュアルシートで快適通勤!(2代目)京王5000系

2022年05月15日 | 京王電鉄(電車・バス)

京王電鉄では、2016316日に通勤時間帯に於ける着席ニーズの高まりを受け座席指定制列車の導入を発表しました。これに伴い、デュアルシートを備えた新形式となる2代目の5000系が2017929日から一般の列車で営業運転を開始し、翌年2018222日から京王ライナーとしての運用を開始しています。長らく京王電鉄はオールロングシートの純然たる通勤型電車のみの保有でしたが、遂にその状態が破られることになりました。

相模原線の上り京王ライナー36号に充当される5732F5000系といえば、1963年に京王線の架線電圧1500V昇圧と共に登場し、関東の通勤電車では初の冷房車にもなった名車の誉れ高い初代が浮かびますが、2代目5000系も京王では初となる流線形デザインの前頭部、TIMS(列車情報管理システム・京王呼称K-TIMS)による伝送管理、SiCハイブリッド素子を用いたVVVFインバーター制御、また特徴的な技術として、編成中央のデハ5050形5100に蓄電池ユニットを搭載し電力回生ブレーキ使用時に発生する電力を充電の上で力行の際にこれを使用し消費電力を削減する他、停電時は充電した電力で1ユニットのVVVFを起動させ自力走行を可能にし、駅間や橋梁上などでの長時間停車を防ぐなど数多くの画期的な新基軸を満載しています。

新宿〜高尾山口間のMt.TAKAO号に充当の為、送り込み回送で京王線を下る5736F。現在はライナー主体の運用に戻りましたが、車番が30番台である事から分かるように都営新宿線への直通運転にも対応している為、急行・区間急行・快速に充当され相模原線橋本から本八幡間までロングランする運用も見られた時期がありました。

車内設備(クロスシートモード)は高尾山の木々、桑都とも称された八王子の絹と、多摩の素材と自然をモチーフにし、照明装置は調色機構を備え朝の通勤時は爽やかな白系、帰宅時間帯は暖色系と変えることが出来、天井両側の曲面部に反射する間接照明式で高級感と落ち着きのある空間を作り出しました。車端部は固定式3人掛けのロングシートですが、肘掛けやヘッドレストを装備し可動式座席と同等の掛け心地に仕上げています。サービス機器としては天井中央部にパナソニック製空気清浄機「nanoe」と座席には電源コンセントを装備しており、クロスシートモードの時のみ使用可能としています。

ドア上の他、天井にも枕木方向に配置される液晶画面は17インチワイドタイプで、900030番台とは異なり三菱電機セサミクロを採用しました。戸閉装置も京王初の電気式を採用しています。客用ドアは化粧板仕上げで四隅が角張った窓のE233系で採用しているタイプですが、900030番台はステンレス製のメーカー標準品になり、8000系は車体修理時にドアを他社でも見られる窓の四隅のRが大きい新品に交換している為、こちらも標準品には違いないものの6000系以来の伝統だった角張った窓のドアが図らずも復活する形になりました

今後はデュアルシートでは初となるリクライニング機構を備えた編成の増備が発表されており、新たなバリエーションが増える予定ですが、近い内に予定されている7000系代替の際は、通常のロングシート仕様車なども登場するのか、今後に期待したい形式です。

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京王7000系・初期車の今後について

2022年05月09日 | 京王電鉄(電車・バス)

京王電鉄は202252日に総額288億円の鉄道事業設備投資計画を発表しました。主な内容は笹塚〜仙川間で推進している連続立体交差化、ホームドア整備などによる駅安全対策、防犯カメラの設置などに関してですが、その中で20211031日に国領〜布田間を走行していた下り特急の車内で発生した傷害事件を受けて、車両併結による車内通路非貫通の解消と対話式非常通報装置に対応する車両新造を進める記述がありました。現在のところ先頭車が中間に組み込まれ、車内の通り抜けが不可能な組成は7000系の10両編成(4両+6)と、8両編成(6両+2)、また90008両+70002両が存在していますが、これらを解消する方針を固めたようです。

新宿側4両+京王八王子側6両の分割可能な10両編成で運用されている7806F。後部6両は7701Fです。コルゲート車体の初期車で構成されるこの組成は、10両編成の運用増加に伴い2010年に8両編成5本を10両固定編成3本、6両編成・4両編成各1本に、続く2011年には8両・6両編成を10両固定編成と4両編成に組み替える工事を行い登場しました。

ビードプレス車体の後期車7805F+コルゲート初期車7705Fで構成される10両編成。上写真と比較すると車体構造や正面の幌座の有無など差異が良く分かります。8000系は10両固定編成化改造前の分割対応編成だった200712月頃に新宿側から4両+6両だった編成を6両+4両に連結位置を入れ替えていますが、7000系では特にそうした事は無く新宿側4両+京王八王子側6両で10両を組成しています。

車内設備は全編成リニューアル済みで、2006年までの施工車は座席袖部が手すりで構成されていましたが、2007年からは大型袖仕切りと7人掛け座席にスタンションポール設置、座面のバケットシート化が施されるようになりました。2006年以前のリニューアル車も編成組み替え工事の際にこれらの改良を実施しています。

2002年度の車内リニューアル施行時から新設された8000系同様のLEDスクロール式の車内案内表示器。開閉時にはドアチャイムも鳴動するようになり、これらの改造で接客設備が一気に80009000系並みの水準に引き上げられました。

京王ライナー用5000系導入に伴う余剰廃車が発生してからも160両が活躍している7000系ですが、非貫通編成の解消に対応する車両新造を進めるとのことで初期製造のコルゲート車を中心に本格的な廃車が開始されそうな予感がして来ました。初期のリニューアル車はVVVFインバーター制御化改造からも19年が経過していることを考慮すると置き換えも妥当ではありますが、代替車として5000系のロングシート仕様車などが登場するのか、もしくは新形式になるのか詳細発表が待たれます。

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文教地区を駆け抜ける2代目虹色電車・京王1000系(1・2次車)

2021年04月01日 | 京王電鉄(電車・バス)

レインボーカラーの電車が走る路線として利用者に親しまれる井の頭線に1000系が就役したのは1996年のことで、1962年登場の3000系以来実に34年振りの新車導入でした。井の頭線向けの車両としては初の20メートル級車体に4扉のVVVFインバーター制御車で、社名変更前の京王帝都電鉄としては最後の新形式車になっています。現在は19962004年に製造された編成に対し大規模修繕と機器更新が施行されており、大きな変化を見せました。

ブルーグリーンの塗装を纏う1708F。この編成は2次車に当たり、1998年に増備されました。偶数編成と奇数編成で制御装置のメーカーと半導体素子が異なっていたのも特徴で、偶数編成は日立製作所製IGBT、偶数編成は東洋電機製GTOサイリスタのVVVFを搭載していました。3次車では番号に関係なく東洋電機のIGBTとなり磁励音も異なっていましたが、機器更新で1〜3次車は全て東洋電機のIGBT(1C4M方式)と全密閉式主電動機に統一が図られています。側面帯の2色化や正面のパノラミックウィンドウは3000系リニューアル車にも反映されました。尚、前頭部と側面の太帯はブルーグリーンですが濃い細帯はグリニッジブルーと称しています。

アイボリーホワイトの1次車1702F、側面細帯はキャメルブラウンです。12次車は2M3T組成でしたが雨天や降雪時に空転が多発した為3次車から3M2Tに変更され、12次車も更新の際に中間のサハ1500を電動車化してデハ1050に改めています。

サーモンピンクの1703F、帯はチェリーピンク。1998年に登場した2次車で、この後3次車増備までは4年の間が開きます。1701F1710Fの増備で3000系の内、電力回生ブレーキを持たない抵抗制御車が全廃されました。

ライトグリーンの1704F。側面はオリーブグリーンの組み合わせで、落ち着いた緑系のカラーリングはかつてグリーン車として親しまれた京王旧型車に通じるものがあります。

バイオレットの1705F。帯はジェンシャンパープルで、梅雨時に沿線を彩る紫陽花をイメージさせるカラーです。

京王電鉄と東京都交通局のコラボ企画、鉄道探偵のヘッドマークを掲げたオレンジベージュの1706F。側面はバーシモンオレンジです。本来この編成はベージュでしたが、明度不足を理由に変更されました。また、正面貫通扉と助手席側窓のピラーが銀色で目立ちますが、本来の100012次車はこの形態で3次車から3000系により近いイメージにするべく黒色化されるようになり、近年は初期車にも及ぶようになっています。

吉祥寺駅で並ぶライトブルーの1707F5次車の1728F。共に側面はマリンブルーの組み合わせです。2本並ぶと前頭部の形状の違いが良く分かりますね。

更新工事で大幅に印象を変えた車内設備。床の本来は不要な主電動機点検蓋がこの車両が登場した年代を伺わせます。京王線の8000系の大規模改修では一般的な四隅が曲線のドアに交換されましたが、1000系では四隅の角ばったE233系タイプのドア窓になり、図らずも6000系で確率された京王の伝統的スタイルを踏襲しています。

また、沿線に咲く紫陽花をモチーフにした座席に化粧板は艶のある白で桜の模様が入り、蝸牛やハートの隠し模様がどこかに配置されるなど遊び心と沿線の魅力を押し出した上質な空間になり、本線格の京王線車両とはデザインやコンセプトの違いが一層際立つようになりました。

大規模改修も完了し、今後も長く活躍する事と思いますが新車をも凌ぐ上質な車両に生まれ変わったことは手放しで喜びたいですね。

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