町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

浪速の街を巡る新鋭、JR西日本323系・大阪環状線

2024年04月09日 | JR西日本

大阪環状線では国鉄時代の1969年からオレンジ色の103系が運用され、長らくの間同線のシンボル的な存在となっていました。JR西日本発足後は207系登場に伴い、老朽化と陳腐化が目立つようになった103系に対し1995年から40N体質改善工事(2002年以降は内容を簡素化した30N工事に移行)と称する車内設備を207系並みの水準に引き上げる工事が実施され、2005年には京阪神緩行線から321系により置き換えられた201系が転入しますが、103系は本格的置き換えとはならず依然として主力車両のままでした。しかし2013年12月24日に大阪環状線改良プロジェクトがスタートすることになり、計画の中には駅設備改良、地域や他交通機関との連携に車両新製が盛り込まれ103系と201系の置き換え構想が明らかになりました。この時点では形式名は明らかにされませんでしたが、2014年12月8日に323系となることが発表され、約2年後の2016年12月24日から運転を開始しました。

103・201系とは異なり3ドアとされ、通勤型ではありますが近郊型の225系に類似したデザインの車体になった323系。これは、環状線内には3ドアの近郊型である221が大和路快速として223・225系が関空・紀州路快速として直通して来る為、ホームドア計画も併せてドア数を揃え整列乗車を促進するとされています。写真のLS21編成は大阪ディスティネーションキャンペーンのマークを貼り付けて運転されています。

2016年〜2018年の間に段階的に増備され、103系は2017年10月3日、201系は2019年6月7日で定期運用を終了し、大阪環状線は3ドア車で統一されることになります。沿線人口の違いもありますが、利用者が多く4ドア車が主体だった路線が3ドアになるのは都市部の通勤路線としては比較的珍しいケースになりました。なお、103・201系が担当していた大和路線直通の区間快速運用は奈良の221系に置き換えられ、本形式が充当されることはありませんでした。

車内設備は中仕切りを設けた10人掛けロングシートを中心に車端部を3人掛けとしています。各車両とも車椅子・ベビーカースペースを1箇所設けている他、大阪駅で階段に近い8号車は混雑するためドア周りの座席を短くして立席スペースを確保しています。各駅停車運用以外には入らないものの自動放送装置も設置しており、関空・紀州路快速や特急電車と同様に日本語を関東私鉄でお馴染みの西村文江氏、英語放送を北海道・東日本管内の新幹線・在来線特急を担当するJean Wilson氏の両名の音声で案内を行っており、他路線はタブレット端末で区間を限定していたり、乗務員による放送が基本となっているので特別感がある部分です。

液晶画面による車内案内表示は225系に続くもので、17インチ画面で統一され設置場所が増加している為、大幅に旅客への案内を充実させました。関東とは異なり、路線図と動画広告の表示画面が逆の配置になっているのが面白い点です。

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車体カラー変更でイメージ一新、JR西日本321系

2024年04月07日 | JR西日本

JR西日本が管轄する東海道本線・山陽本線の主に京都〜西明石間で運転される各駅停車には1994年より現在も主力の207系の他に国鉄時代の1982年より201系、1986年より205系が投入され運用されていました。しかしこれらの形式は導入から20年余が経過し、207系も量産先行車が初登場してから15年近く過ぎて社会情勢の変化を受け、これらの形式に代わる新型車両として2005年に本系列321系が登場しました。2007年3月18日には全編成が出揃ったことで201・205系を完全置き換え、翌年2008年3月15日からはJR東西線乗り入れを開始し2010年3月13日には学研都市線(片町線)同志社前〜木津間のホームを7両編成に対応させる延伸工事が完了したことで京田辺での分割併合が廃止された為、快速運用にも充当されるようになり207系と運用が共通化されています。

207系のイメージを引き継ぎながらも三角形の包み込むような装飾やフォグランプの新設などで新しい印象になった正面デザインの321系。編成は6M1T組成ですが、電動車片側にのみ主電動機を搭載する「0.5Mシステム」により207系の3M4Tと出力を揃えながら将来的な他線区の転用や車種変更を容易にする為、各車両とも構造は極力統一され、どの車両も主制御装置や空気圧縮機など機器の搭載に対応している特徴を持ちます。

計画では7両編成36本製造とされていましたが、2005年4月25日に発生した尼崎脱線事故により207系0番台4両・1000番台3両に廃車が発生し、この事故を受けて207系の外装デザイン変更に伴う運用離脱の発生やダイヤ構成見直しなどから必要な編成数が増加し39編成273両が新造されました。本系列も完成時のイメージイラストでは車体のカラーは207系と同様に青と水色のラインを配していましたが、落成直前に紺色とオレンジの現在の装いに変更されています。

車内設備はロングシートで、配色は淡く白に近いグレーと濃いブルーの座席の組み合わせでしたが、座席モケットは2010年の春頃から緑系に改められ、吊り手は2011年から増設され現在のオレンジのものに交換されたことでイメージが大分変化しています。座席袖部は手すりと小型の板で構成されていますが、見ての通り仕切りの役割を余り果たしていない何とも中途半端な造りになってしまっており、なぜ普通の大型仕切りにしなかったのか謎な部分です。

車内案内表示はロングシート車ですがドア上ではなく、天井部に19インチ画面を2台ずつ枕木方向に設置しており、液晶画面による案内表示はJR西日本の一般車両で初めての採用です。当初は日本語・英語のみの表示でしたが2016年に改修され、中国語と韓国語の表示も行うようになりました。

来年で登場から20周年を迎える本系列ですが、207系が体質改善工事を受けている現状に加えてJR東西線に4ドア車用ホームドアが設置されたので、長い間活躍が見られると思いますが、いずれ登場する後継形式は323系を4ドアにした亜流になるのか、全く新設計になるのか気になるところです。

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