町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

デュアルシート本格採用でライナー列車の転換点となった東武50090系

2025年02月05日 | 東武鉄道

東武鉄道の基幹路線の一つである東上線は、小江戸で知られる川越や秩父地方などの観光地を有しながらも伊勢崎線や日光線のように特別料金を必要とする優等列車の設定がなく、長きに渡り全線でロングシートの通勤車両が運用されて来ました。しかし2007年11月22日、座席定員制のライナー列車を新設することが発表され翌年2008年の6月14日に池袋〜小川町間にTJライナーを新設し、車内設備をロング・クロスシートの両方に転換可能なデュアルシート設備とした50090系の運転を開始しました。東上線系統に乗車券以外の料金が必要な優等列車が運転されるのは1949年〜1967年の間に春と秋との行楽シーズンに運転されていた「フライング・トージョー」以来久々のことで、初めて運転を開始した日は東京メトロ副都心線渋谷〜小竹向原間の新規開通と重なり、新たな時代の幕開けとなりました。

地上用50000系に準拠した外観ながら、オレンジに加えて東上線の路線カラーであるロイヤルブルーⅡの帯と斜字体で「TOJO LINE」のロゴを入れ一般車との違いを表現している50090系。側面の窓も設計が見直され、他社でも採用されている標準型2連ユニット下降式窓(東京メトロ10000系などと同じ寸法)に改められ屋根上の強制換気装置が設置されなくなり、ドアの手掛けも下部の1箇所設置になるなど細かい箇所が色々と変化しています。

現在は10両編成6本が在籍し、クロスシートではTJライナー運用の他に特別料金不要の川越特急に、またロングシートでは急行や準急など地下鉄直通を除く列車に幅広く運用され池袋〜成増間の各駅停車などの短距離列車に充当される姿も見られます。

クロスシート状態で運用中の車内。写真は2022年の撮影で、現在は伊勢崎線〜東京メトロ日比谷線系統のTHライナー向け70090系に準じた肘掛けを備える座席(モケットの色は従来通り)に交換が始まり、51095・51094Fに対して施工されています。関西私鉄では以前から採用されていたデュアルシートですが、首都圏の私鉄では本形式が初採用になると共に西武鉄道の「S-TRAIN・拝島ライナー」、京王電鉄の「京王ライナー」が後年登場しており私鉄に於ける有料座席定員制列車の転換点となりました。

車体設計の見直しが図られた一方で車内案内表示装置は従来通りLEDによるスクロール式をドア上に千鳥配置としました。転換座席を備えるため、妻面貫通路上にも増設されています。案内表示でも「この車両は、○号車です。」と表示していますが、座席指定運用時のため目立つ号車表示が貼られているのは本形式のみです。

本形式は2010年1月に、日本鉄道運転協会創立51周年の式典にて「東武東上線『TJライナー』の設定及び総合的な輸送形態の改善について」の内容が評価され東記念賞を受賞しました。その後他社に影響を与えていることも併せて標準型車両の中でも画期的な存在と言えるでしょう。

 

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