GSE車70000形の登場に伴い廃車が発表され、去就が注目されていた7000形LSE車が定期運用から離脱しました。しばらくは団体臨時列車で活躍の見込みですが、それも今後予定されている記念乗車会を最後に引退するようです。
先代3100形NSEを上回る特急車として開発された同車は1980年の登場で、当時車両不足で箱根湯本行き特急にも充当されていた展望席の無い3000形SSE車の置き換えに開発されました。居住性や走行機器の更なる改良でLuxury Super Expressの愛称を与えられ、1981年9月には鉄道友の会よりブルーリボン賞を受賞しています。受賞の翌年1982年末には高速試験の為に国鉄へ貸し出され東海道本線の大船~熱海間を走行するなど、何かと話題の多い形式でした。私鉄の電車で国鉄の走行試験に使用され、実際に走行した実績があるのは3000形SE車とこの7000形LSE車のみです。
1997年から1999年に掛け、車内設備のバリアフリー対応化とリニューアルを施行し当時運用されていた10000形HiSE車と同じカラーリングに改め運用を開始しましたが2007年には小田急開通80周年とSE車3000形誕生50周年を記念して写真の7004Fが旧塗装に変更されました。当時は窓枠が黒のままで旧塗装時代とはイメージが異なりましたが、2012年には1編成を廃車の上で残る編成を登場時のカラーにすることが発表され、その際に窓枠を銀に変更。現在の正しい姿になりました。
引退に際して貼り付けられたラストランを告げるマーク。最初は正面にステッカーでも貼るのかと思いましたが、思っていたよりも控えめでした。いつも通りに近い姿で運用してくれる方がマニア的には有難いですね・・・。とはいえ、私にとってLSEは乗車機会が少なかったこともあり、そこまで思い入れがあるわけでなく見れるカットは数枚しかありませんでした。
引退を控えて、各駅にはこんなポスターと運行予定のカレンダーが掲出されました。本日の引退はマスコミでも特集されましたが、改めて小田急ロマンスカーの影響力の強さを実感します。なお7000形の処遇ですが、ポスターにも書かれているように海老名市に建設予定のロマンスカーミュージアムに先頭車両2両が収容されるとのことです。
ところで、LSEの話題からは外れますが、複々線化完成による運用増に伴い留置スペースを確保する為保存車両の一部を解体する方針を発表した小田急では、既に3100形の中間3両、10000形の中間車と先頭車各1両、20000形の先頭車1両を解体し、更に通勤電車の2200形も2両編成のうち小田原寄り1両を解体を予定しています。そしてロマンスカーミュージアム建設発表で喜んだのも束の間、今度は新幹線開発にも寄与し、産業的価値が認められたことから永久保存することを表明していた3000形SEまでも2両を解体してしまうことが発表されました。これまで保存を続けて来た意義として「過去の車両は基本的な電気車の構造が分かるため、技術の伝承を目的としている」とのことですが、少なくともSE車や2200形などのように、編成単位で保存を行うことに意義がある車両にまであっさり解体処分してしまうとは、残念極まる決断です。もし仮に、5両丸ごとの収容が難しいのであれば、SE車を非公開保存にして代わりに喜多見で埃をかぶっている通勤電車2600や9000、または2200形2両を入れるなど、色々手の打ちようはあるはずですが・・・。何にしても、2200とSE車の解体処分だけは再検討願いたいところです。