町田営業所業務日報

地元周辺の鉄道・バス車両について気紛れに綴ります。

異彩を放つ地下鉄直通車・東武鉄道20000系

2019年05月23日 | 東武鉄道

1980年代も半ばになると、首都圏の国鉄・私鉄車両は冷房搭載が常識になりつつある中、営団地下鉄の路線ではトンネル内の温度上昇を理由に長らく冷房車を導入せず駅構内とトンネルに冷房を設置して対処して来ました。これは他社からの乗り入れ車両も例外ではなく、営団地下鉄線内では冷房を停止させて運用するか非冷房車を引き続き充当していました。しかし、省エネルギー化の技術が進歩したこともあり1987年からは車両側の冷房化を推進する方針になり、既存車両の冷房化改造と冷房搭載新型車両の導入が開始されます。

日比谷線では長らく、営団地下鉄の3000系の他直通運転を行う東武鉄道が2000系、東急が7000系を運用していましたが、何れも非冷房で置き換えが検討されるようになり、その新形式第一陣として20000系が1988325日より運用を開始しました。営団の03系は同年7月1日、東急1000系が12月25日に運用開始で日比谷線系統では本形式が記念すべき初の冷房車となりました。

非常用貫通扉を端に寄せ、傾斜した大型窓を配置する独特な正面と共に、旧型車両の更新車である東武3000系列の消滅後は、数少ない18m車体の3扉通勤車として異彩を放つ存在でしたが、新形式70000系の増備で東京都心からの撤退まであと僅かとなりました。

70000系により置き換えられた20000系グループは日光線栃木地区と宇都宮線向けに改造され、20400系として既に運用を開始していますが、主に転用されているのはVVVFインバータ制御の2007020050系列で、AFE式主回路チョッパ制御の20000系に関しては先頭車のみの活用となり、また一部に他社譲渡などで再起することもなく、8両全車が廃車~解体されてしまった編成もあり、その辺は残念なところです。

地上線向け汎用通勤車10030系をベースにした車内。基本配色や金属管構成の座席袖部、化粧板仕上げの客扉や戸閉装置など大部分が共通化されています。しかし扉間の下降式ユニット窓を二組み配置するスタイルは本形式独自のものです。

 

本形式の設計を流用して製造された車両に、伊予鉄道の610系(奇しくも初代日比谷線直通車2000系の台車を流用しています・・・)があるので、もしや伊予鉄道を含めた地方私鉄からの引き合いがあるのでは?と思いきや、大半が自社線転用と廃車になったのは意外に感じる展開でした。素人には分からない改造工事などの内容に難があるのだろう、と思いますが、なかなか車両譲渡というのも難しいようですね。

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