横浜を起点に、神奈川県中部を走行し海老名を結ぶ本線と、二俣川から分岐して湘南台に至るいずみ野線を展開する相模鉄道(相鉄線)は大手私鉄ながら2路線共に他社との相互直通運転を行っていない首都圏では数少ない事業者の一つでした。しかし2004年より、本線西谷駅から横浜羽沢地区を経由し、東急東横線・目黒線の日吉駅と現在横須賀線と湘南新宿ラインの列車が走行している東海道本線の支線・品鶴線に合流し東京都心へ向かう神奈川東部方面線の建設計画が進み、本年11月30日に第一期の区間が相鉄新横浜線として開通、同時にJR東日本の埼京線・川越線と相互直通運転を開始することになりました。これにより、開通以来神奈川県のみで完結していた相鉄線の列車が東京都心部は勿論、当初は計画に無かった埼玉県にまで進出することになり、大きな歴史の変わり目が迫っています。
直通運転を控えて、相鉄は東急直通用に20000系を、JR東日本直通用に12000系を増備することになりましたが、一方で長らく相鉄の主力車両として運用されて来た7000系が引退することになり、正面デザインを大幅に変更して新7000系と区別される12次車グループについても順次置き換えられることになりました。
旧来の7000系と同じ走行機器で登場した抵抗制御の新7000系。このグループは2編成が在籍し元は6両+4両の10両編成でしたが、横浜寄りの6両から電動車ユニット2両が外され8両編成化されました。横浜寄り4両はシングルアームパンタで、海老名寄り4両は従来の菱形パンタと、どことなく鉄道模型的な印象を抱かせます。かつての相鉄では直角カルダン駆動・抵抗制御・ディスクブレーキ台車に乗客のボタン操作で開閉する油圧式自動窓を装備するのが一時期の主流でしたが、昭和の相鉄の流れを汲む最後のグループになりました。
いずみ野線内を走行する7715F+7716F。この編成から早速マイナーチェンジが実施され、車内の補助送風装置として設置されていた扇風機を廃止し、ラインデリアの天井に改められています。
新7000系車内。基本的には旧来の7000系を踏襲しますが、座席袖部の上部にも手摺りが設置されています。写真はモハ7155で、VVVF車のグループにもこの設備が引き継がれました。
ドア上にはこれまた相鉄初となる車内案内表示器を設置しました。LEDではなく、営団地下鉄などで見られた路線図式で、停車する駅がランプで点灯するタイプですが、当時は非常に画期的な設備でした。2014年の特急運転開始に伴い、新品に交換しています。後年には東海道新幹線のN700系と同じ音色のドアチャイムも設置(左のスピーカーに注目)され、開閉時に鳴動します。
2007年には相鉄グループカラーの制定で塗装変更も受け、未だ経年の浅い印象がある新7000系グループも今年で33年目を迎えてしまいました。機構が非常に独特なこれらの車両も、技術面では厄介な存在になりつつあり、置き換えは止むなしですが、独自色が濃い車両がまた見納めになって行くのは寂しいものがありますね。