2023年10月31日の取締役会にて、京成電鉄は新京成電鉄を吸収合併することを発表しました。新京成電鉄は2022年8月30日に東京証券取引所スタンダード市場上場廃止、9月1日より簡易株式交換により京成電鉄の完全子会社となっていましたが、吸収合併により経営効率化と意思決定の迅速化を目指すものとされています。これにより新京成電鉄は2025年4月1日で法人格が消滅、約79年の歴史に幕を下ろすこととなりました。現在の駅と路線は変わらず維持し、路線名については検討中となっていますが、全くの別名になることが予想されます。
ここでやはり気になるのが歴史的な経緯から三菱電機の電装品を採用し親会社とは大分異なる独特の所有車両ですが、ジェントルピンクで統一されたカラーリングなどは将来的にどうなるのか興味深い点です。なお、京成通勤車で普通鋼製車体の塗装車は3400形を残すのみでしたが、合併により8800形が最後の普通鋼製車ということになります。
リニューアル未施工の8800形は現在廃車が進められていますが、車内をリニューアルする一方でVVVFインバーター制御装置の更新が見送られた編成が現れた他、ドアの幅や位置が異なり京成千葉線直通も対応していない少数派の8900形など、新京成独自の形式は京成電鉄に編入されたら早期の内に見納めになるかも知れません。
本年開催の新京成サンクスフェスタで80000形の横に並べられた8804編成。この編成はドア交換を受けていますが車内と制御装置は未更新で既に休車扱いになっており、今後の廃車が見込まれます。80000形もベースになった京成3100形とは駆動装置や制御装置が異なりますが、こちらも3100形への編入などがあるのかどうか気になるところ。
原型ドアで残存する8805編成以外の未更新車車内。ドアのみがステンレス無塗装のメーカー標準品に交換され、1980年代テイストの車内では不釣り合いな雰囲気に。マスコットキャラクターの「しんちゃん」と共に、塗装が変化して新型車が入っても何故か変更されず、新京成を特徴付けるものの一つだった関東型ドアステッカーも京成電鉄編入で見納めでしょうか…。
消滅・解散まで残り約1年半となった新京成電鉄ですが、やはり長らく親しまれた社号・路線名の消滅というのは沿線外の筆者も一抹の寂しさを感じます。今後の路線名や在来車の処遇など、京成電鉄からの発表が待たれますね。