今日の「休日のバッハ」は、カンタータ第110番(我らの口を笑いで満たし)の第2曲、テノールのアリアです。
このカンタータの第1曲は、有名な管弦楽組曲第4番の序曲を転用したものです。
二本のフルートとチェンバロに率いられてテノールが歌うこの第2曲は、1度聴いただけでは何となく見過ごしてしまうものです。それが何度目かになると、他のバッハのカンタータやその他の曲にはない、実に心に染みいるような何とも言えない余韻を残す曲となるから不思議なものです。
これは何故だろうと考えてみました。心からの祈りの歌という解釈もあるようですが、そうとも取れますが、ヨーロッパの教会のミサで歌われるような祈りの歌とは全く異なりますので、これが果たして祈りの歌なのかどうか?
そこで歌詞を見てみました。
Ihr Gedanken und ihr Sinnen, 心よ 思いよ
Schwinget euch anitzt von hinnen, いでゆき 舞いのぼれ
Steiget schleunig himmelan 届け み空に
Und bedenkt, was Gott getan! 神の いま 果たせる みわざを 思え
Er wird Mensch, und dies allein, み子 人と なりて
Daβ wir Himmels Kinder sein. われらを 神の子と なしぬ
ちょっと古風な訳ですが、最後の「神の子となしぬ」が示すように、先週、三位一体について書きましたが、イエス・キリストの死によって、神とこの世の人間とが一体化するその瞬間の信仰の感動とでも言うものが、この曲によって表現されているのではないかと思うのです。
京大の今西探検隊に先んじて、チンパンジーが道具を使うことを最初に発見し世界に名を馳せたジェーン・グドールが、東アフリカのゴンベの森でチンパンジーとようやく心を通じ合うことが出来た時、彼女がゴンベの森の大地に抱かれた時に感じた、宇宙との一体感を持った時の霊的な感動を静かに音楽で表現すれば、多分、このような曲になるのではないかと思うのです。
この安らかな静謐感溢れる曲想は、バッハの音楽の中でも独特の位置を占めているものです。
聴けば聴くほど魅惑の深みに嵌り込む曲と言えます。
演奏は、フェルトホーフェン指揮、オランダ・バッハ協会の2009年12月の録音盤です。オランダ・バッハ協会は、いわゆるOVPP(One Voice Per Part)で今回の盤もソプラノ2人、アルト、テノール、そしてバスの5人だけです。なかなか現代のバッハ演奏としては優れた団体だと思います。このフェルトホーフェンは最近、マタイ受難曲も3月末に発売する予定ですので聴いてみたいと思います
いつものようにここをクリック、ウィンドウズ・メディア・プレイヤーでお聴き下さい。
このカンタータの第1曲は、有名な管弦楽組曲第4番の序曲を転用したものです。
二本のフルートとチェンバロに率いられてテノールが歌うこの第2曲は、1度聴いただけでは何となく見過ごしてしまうものです。それが何度目かになると、他のバッハのカンタータやその他の曲にはない、実に心に染みいるような何とも言えない余韻を残す曲となるから不思議なものです。
これは何故だろうと考えてみました。心からの祈りの歌という解釈もあるようですが、そうとも取れますが、ヨーロッパの教会のミサで歌われるような祈りの歌とは全く異なりますので、これが果たして祈りの歌なのかどうか?
そこで歌詞を見てみました。
Ihr Gedanken und ihr Sinnen, 心よ 思いよ
Schwinget euch anitzt von hinnen, いでゆき 舞いのぼれ
Steiget schleunig himmelan 届け み空に
Und bedenkt, was Gott getan! 神の いま 果たせる みわざを 思え
Er wird Mensch, und dies allein, み子 人と なりて
Daβ wir Himmels Kinder sein. われらを 神の子と なしぬ
ちょっと古風な訳ですが、最後の「神の子となしぬ」が示すように、先週、三位一体について書きましたが、イエス・キリストの死によって、神とこの世の人間とが一体化するその瞬間の信仰の感動とでも言うものが、この曲によって表現されているのではないかと思うのです。
京大の今西探検隊に先んじて、チンパンジーが道具を使うことを最初に発見し世界に名を馳せたジェーン・グドールが、東アフリカのゴンベの森でチンパンジーとようやく心を通じ合うことが出来た時、彼女がゴンベの森の大地に抱かれた時に感じた、宇宙との一体感を持った時の霊的な感動を静かに音楽で表現すれば、多分、このような曲になるのではないかと思うのです。
この安らかな静謐感溢れる曲想は、バッハの音楽の中でも独特の位置を占めているものです。
聴けば聴くほど魅惑の深みに嵌り込む曲と言えます。
演奏は、フェルトホーフェン指揮、オランダ・バッハ協会の2009年12月の録音盤です。オランダ・バッハ協会は、いわゆるOVPP(One Voice Per Part)で今回の盤もソプラノ2人、アルト、テノール、そしてバスの5人だけです。なかなか現代のバッハ演奏としては優れた団体だと思います。このフェルトホーフェンは最近、マタイ受難曲も3月末に発売する予定ですので聴いてみたいと思います
いつものようにここをクリック、ウィンドウズ・メディア・プレイヤーでお聴き下さい。