ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

今後のアラディーンの課題をクリアして行く事。

2019-02-10 02:49:21 | 音楽

 

昨日から面白い本を見つけ、一気に読んでしまいました。その本とは西野亮廣の著作物。

なるほど、今の自分がクリアしないといけない事等の解決策が書かれているなぁ、と感心して読んでいました。

自分がこの13年間、感じたことに対して、ずっと考え続け、行動して来た事は間違った事では無かったし、ここまでやって来れた事も「嘘をつかない」事に徹して来たからだ、という事もなるほどと実感。

さて、これからが本当の勝負です。先ずは様々な課題を解決しないと、ですね。

その中の課題の一つは、先年の2018年11月11日にリリースしたCDの「不死鳥」の事。

自分は最高傑作だと自負していますし、何度聞いても飽きない程のクオリティの高い作品だと感じています。

私のウードの演奏技術は既に世界レベルです。聞いて貰えれば分かります。ハスィンからもお墨付きです。

また楽曲も、オリエンタル音楽に興味のない方でも、癒されたい、元気になりたい、良いBGMが欲しい方、等など、世代を超えて楽しめる内容になっています。

沢山の人に購入して欲しいと思っています。

ディストリビューターのアオラ・コーポレーションからの先月の売上報告も、まぁまぁ、悪くはない感じですが、

問題は、小売店、つまり実物を置いてある渋谷のタワレコとか、ネット販売先(Amazon、HMVとか)での扱われ方など。

先日、渋谷のタワレコに「不死鳥」を探しに行ったら、見つからないので、検索機で探したら、なんと「レゲエ」のコーナーに置いてあると出て来たので、見に行ったが、やはり無し。

なんだ、在庫無しなのか?とか思って、最初に探しに行った「ワールド・ミュージック」コーナーに行ったら、「アラブ」のコーナーに3枚あり。

レゲエじゃないじゃん!と思って店員にクレームをつけに行ったら、「この検索機の内容は上の物が行っているので…。ともあれお伝えしておきます。」との事。

更に、タワレコのオンライン・サイトの情報で傑作なのが、アラディーン立ち上げ時にお世話になった「久保田麻琴」さんの「久」の字を何故か削って「保田麻琴」にしている所w。カテゴリーも J-Pop だしね。(興味のある人は覗いてくださいw)

その他のオンライン・ショップでは「在庫無し、メーカー取り寄せ」とか書いてあるし。

まぁ、数千枚のアイテムがあるのだから、それぞれ担当もイチイチ、マイナーな音楽の、JASRAC登録もしていないインディーズCDなんか相手してられないのだろうけど。

そんな事は、買いたい人には関係が無いので。

唯一の救いは「CDジャーナル」の批評ぐらいかな。最初、批評欄が白紙だったので、メールで抗議したら、ちゃんと返信が来て、何故現時点で載せていないのか(実は、発売の情報だけが来ていて、CDなどの現物や文字情報が来なかったからだそう)理由を明確にしてくれ、後日掲載いたします、という丁寧な内容で、本当に後日、紹介分が掲載されました。

自分としては満足な内容でした。

https://artist.cdjournal.com/d/phoenix/4118110056

ともあれ、要は、クリエイターであり、発売元の私が、根本的に小売店に丸投げな状態も問題ではありますが、

この現在のCDの全国流通の不便さが原因でもあるのだと、把握できました。

なので、今後は販売方法も考えて行きたいと思っています。

ちなみに、CDは、私から直接販売しています。そりゃ当たり前です。私が全制作費を持って、ウチに在庫があるのですから。

アオラさんを通しているのは、タワレコとかレコード販売会社が、ディストリビューターを噛まさないと扱ってくれないからです。

欲しい方は、アラディーンのHPへ直接、お申し込んで頂いて結構です。配送料は全国無料です。

勿論、手売りしてます。ライブ会場にお越し頂けたら、更に特価でサイン付きで購入できます。

アラディーンのHP

http://www001.upp.so-net.ne.jp/alladeen/index.htm


ウードの弦巻部と弦高の調整作業

2019-01-20 23:16:58 | 音楽

新宿にあるトルコ文化センターでサズ講師を務めて、はや2年が経過し、3年目へ突入。始めた頃より生徒さんも増えました。

そして、その後、トルコ文化センターとは関係なく、ウードの生徒さんが出来ました。

今までは、自分のウードの演奏に対して、納得がいかなかった事もあり、師匠である常味さんへの尊敬も兼ねて、教える事を避けていましたが、2017年から取り組み始めたセカンド・アルバムのレコーディングを行う過程で、やっと自身のスタイルと技術の確立をしたと自負した事もあり、ウードを教えるという事も始めようと思った次第です。

さて、レッスン初日、その生徒さんが持参されたのは、エジプトの「Gawhalet El Fan」というメーカーのウードです。このメーカーは、世界的にもダラブッカのメーカーで知られていますが、ウードも作っています。(というか制作家から買い取っていると言った方が良いかな?)

そのウードは、ボディがとても良く出来ているのに、弦を巻くペグが粗悪なものを使っており、また前の持ち主が張ったであろう弦も適当なものを使っていた為、

私が使用している弦と交換し、ついでにペグの具合も調整しようと試みましたが、結局正しい調弦は出来ず仕舞いでした。

理由は、ペグが安い木でできたモノで、更にペグの穴が雑に空けられている為、調弦が安定しないからです。

(↓見るからに安い木に黒い塗料を塗っただけの粗悪なペグ。調弦が安定しません。)

結局、生徒さんがネットで黒檀製の良いペグを購入し、それを使いたいという意向だったので、弦高も含めてリペアをする事にしました。

(写真は、黒檀のペグ、木工パテ。丸刀(穴埋め用のヘラとして使います。)。切り出し刀はパテがはみ出た所を削るの使います。)

(ペグを外したウード。弦はテールピースにつけたままにしておきます。)

まず、黒檀製のペグは粗悪なペグに比べて、通常糸巻部の直径が小さい、つまり細く作られています。理由は、より正確な調弦を行う為ですが、案の定、元のペグ穴は、この黒檀のペグに対して大きすぎて使い物になりません。

そこで、木工用パテを使い穴を小さくし、数日於いて完全に乾かしてから調整。

ペグを挿してみて、きつすぎる所は丸ヤスリで少しづつ削って調整します。

これでも大きすぎて合わない所は再度埋め、乾かして調整を繰り返します。

ペグを挿してみた所。この時点では、綺麗にそろっていますが、実際に弦を張ってみると、それぞれのペグの不具合が判明します。ダメな所は再度パテ埋めして調整します。

その間、ナットと呼ぶ、指板と弦巻の間に置く駒の高さをサンドペーパーで削って低くします。が、この作業はとても根気が要る微妙な作業です。削りすぎるとアウト。

適度な弦高にするには何度も高さを確認する必要があります。

(写真:ペグに弦を巻き一度全部張ってから弦高を確かめてからナットの調節をすると良いです。)

(写真:この高さでも問題ない人もいますが、常味門下で使うナグナガと呼ばれるウネウネしたフレージングを行うには弦高を究極までに下げた方が良いのです。)

(サンドペーパー(粗目)を敷いて削ります。どうしても親指側の部分が先に削れるので、方向を変えながら丁寧に削って行きます。)

(ナットを外したところ。指板もチーク材を使用し結構厚めであるのが分かります。この辺りの作りは丁寧です。)

(はめて見て、弦を張り、高さをみて、削り、という根気のいる作業です。)

結果、弦高は素晴らしく満足いく高さになり、ペグも上手く調整でき、とても素晴らしいウードになりました。

ここで、再度ペグ穴の調整をします。大きすぎた所にパテを塗り、乾かします。

反対側が特に大きすぎるのでここにパテを盛り、一日以上置いて乾かしてペグをはめ込んで出来上がり。

パテがはみ出た所は精密ドライバーのマイナスの歯で削ると良い感じでとれます。

最終的な調整も完了し弦を張り直して完成。我ながら美しく仕上がりました。

こういった作業は、試行錯誤を繰り返して楽器を調整して来た長年の経験が必要であり、根気も入りますが、ある意味、ウードは自分で調整できる分、そのカスタマイズも楽しみの一つです。


Bandcamp (配信サイト)のアラディーン「不死鳥」のサイトです。

2018-12-01 15:58:32 | 音楽

アラディーンのセカンド・アルバムをBandcamp に登録しました。

こちらはダウンロード配信です。
アルバムの全ての曲を無料で聞く事が出来ます!
そして気に入ってもらえたらダウンロードして購入するシステムです。
クレジットカードが無くてもペイパルで払う事が出来ますので、利用してみてください。

バンドキャンプのアラディーン「不死鳥」のサイト

https://alladeen.bandcamp.com/releases

 


ジョージア国立民族合唱舞踊団を「ルスタビ」を見に行きました!

2018-10-20 15:26:09 | 音楽

昨日は民音主催のジョージア国立民族合唱舞踊団を「ルスタビ」の昼公演を見に行きました。

合唱、演奏、そして舞踊と、本当に見応えがあって素晴らしいステージでした。

ジョージアは黒海と世界最大の湖のカスピ海に挟まれ、大コーカサス山脈の南麓に面した国で、ジョージア正教というキリスト教の国です。

演目を見ていて気づいたのは、トルコの黒海地方の音楽や踊りと全く同じ物があるという事です。

音楽は、ドリと呼ばれるシリンダー型の両面太鼓によって叩き出される16分の12拍子、8分の6拍子を元にした2拍子を中心に、8分の5拍子、8分の7拍子、を織り交ぜたる激しい舞曲と、

それに合わせた高速回転する男の舞踊があり、その男性の踊りが、これが圧巻で、つま先立ち、つま先立ちを利用したピルエット、膝を使った高速回転舞や、信じられない位高く跳躍した後、着地をつま先を利用して膝で行う(!)という大技が繰り広げられ、ともかく凄い!の一言でした。

女性の踊りは、本当に豪華な衣装で、優雅で美しい物や、時に足さばきの激しい物もあり、息をのみました。

また、男性、女性の群舞では、一糸乱れぬフォーメーションを作ったりと、観客席から何度も感嘆の声が出るステージでした。今まで観たステージの中でもベストに入る内容で、本当に見に来た甲斐がありました。

ともあれ、ジョージアの舞曲と、トルコの黒海地方の舞曲は、元々は同じコーカサス地方の文化の物なので、踊りと衣装も似ているのは当然ですが、

やはり違ったモノを感じたのは歌曲と弦楽器でした。

ジョージアでは、ポリフォニーで歌い、楽器もチョングリ(Chonguri)という4本のガット弦を張った小さな弦楽器の伴奏で歌うので、楽器の響きは中央アジア周辺で演奏されるコムズやドンブラ等の音の響きに近く、

合唱はヨーロッパの教会音楽のような荘厳な響きの物が多く、この辺りは、やはりキリスト教文化なのだなぁ、と思った次第です。

ちなみに、発売されているパンフレットによると、ヨーロッパの教会音楽が、逆にジョージア発のポリフォニー音楽を取り入れた、という説が現在は有力だそうです。同じく、ワインもジョージアが起源だそうですから、ジョージアの事をもっと研究する必要があるようですね。

ともあれ、この公演は始まったばかり。ジョージア国立民族合唱舞踊団「ルスタビ」は結成50周年という佳節であり、11月19日まで日本各地を公演して回りますので、皆さん、この機会をお見逃しなく!

ジョージア国立民族合唱舞踊団「ルスタビ」の特設サイト
http://www.min-on.or.jp/special/2018/georgia/index.html

民音の「ルスタビ」のサイト。Web上からチケット予約が出来ます。
https://www.min-on.or.jp/play/detail_160038_.html…