ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

ウードの指板の修理(その1)

2019-09-15 03:34:37 | 音楽

怒涛の日々が終わったので、ここらでウードの指板コーティングの苦闘の日々の記録を記事に残しておこうと思います。

事の起こりは、私がオーダーメイドで購入したトルコ製のウードの高音域の指板が、全く役立たずだった事が原因です。

トルコ・ウード、というより、ウードは元々、胴体上の指板ととネックの指板が同一の高さで製作されるのが一般的だったのですが、

20世紀後半あたりのアラブ世界で制作されるウードは、ネックと胴体の上に一枚の統一した指板を張るのが一般的になりました。

(写真は2007年に購入した伝統的なタイプのウード(トルコ製):見ての通り胴体からネックが出ているかのように制作されており、胴体部分には指板は無い。)

そのおかげで弦高もとても低くなり、弾きやすくなり、更に消耗品である指板の張替も容易になるという、画期的な進歩が起きた訳ですが、

(写真は私の初代7コース・ウード。21世紀型の進歩したウードと言ってもよいと思いますが、ご覧の通り、ネックと胴体部分の上に一枚の指板が張り付けてある形になっています。)

さて、私のオーダーしたウードは、胴体上に指板が貼ってあったものの、結局は、伝統的なトルコ・ウードのままで、購入した当時(2015年6月)から胴体部分が沈み込んでしまっていて高音域が弾けない状態でした。

なので、その部分にパテ埋めして指板の高さをネック部分と揃えた工事をして何とか高音域を弾きやすく仕上げた訳ですが、

結局、購入して4年経ち、胴体部分は更に沈み込んでいき、結局高音域が弾き辛くなっていきました。

この問題を解決するにはどうすれば良いか?

更にもう一つの問題は、前回パテ埋めした部分に絵を描いてしまった事。この上から木工パテで埋めしてしまうと、折角描いた絵が消えてしまいます。どうした物か?

実はこの問題は、装飾が凝っているウードについてもいえる事で、指板に凝った細工がしてあるウードだと、木工パテで盛り上げる、なんてことも、新たに指板を貼り付ける、という事もできません。

それらを全て解決する方法を、ずっと考え、様々リサーチしていましたが、結論として透明なエポキシ樹脂で指板を盛り上げる、という事を考え付いたわけです。

(つづく)



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