先月の11月30日(土)は「ベリーダンスと音楽の夜 第160夜」でした。集客的には残念な結果となりましたが、ショーの内容としては大成功の夜でした。11月はアラディーンの結成月という事もあり、2005年以来、アラディーンのレパートリーがどう変化して行ったか俯瞰できるような曲目でした。
2005年当時は、まだまだアラブ音楽を奏でるミュージシャンが今以上に少なかった上、そのミュージシャンのレパートリーも限られた物しかなかった時代でした。
私もエジプトでウードを学んで来たとはいえ、サマーイやロンガなどのオスマン・トルコで発達した器楽曲を中心に学んで来た為、ベリーダンスの伴奏に合うような曲は数曲程度。
そんな中、個人的に好んで聞いていたジプシー音楽やトルコの舞曲など、簡単な構成の曲をレパートリーとしてダンスの伴奏曲として溜め込んでいきました。
そして、その後、ダンサーが希望するエジプトの曲を譜面に起こして行き、それを理解するために本格的にアラビア語を学ぶようになり、そしてアラビア語で歌えるように歌モノも精力的にレパートリーに加えて行き…。
という事を地道に行って来た訳ですが、そのお蔭で、トルコ、エジプトはもとより、ルーマニア、マケドニア、ギリシア、と、日本で普通に暮らしていたら関わる事が無かったであろう国の曲を演奏するようになりました。
実際、アラディーンが関わって14年以上の間に、ベリーダンスのスタイルもガラリと変わって来ていて、その意味でもアラディーンのレパートリーの変化も同じようにガラリと変わってきました。
今のアラディーンは、2016年7月以降に始まった第3期と言え、正式メンバーとして入ったチュニジア人ヴァイオリニストのハスィンの存在は大きく、アラディーンのサウンド自体も大きく変化しました。
その一つの象徴的な変化として、Kull Da Kan Leih(クッル・ダー・カーン・レイ:なぜ、その全ての出来事が起きたのか?)を歌付で今回演奏した事は特筆すべき点です。
この曲は、私のウードの師匠、常味裕司師の大事なレパートリーとして、インストメンタル曲として聞いてきましたし、私もわざと手を付けて来なかった訳ですが、
アラブ世界ではとてもポピュラーな曲であり、今ではYouTube でも様々な歌手が歌っているヴァージョンを聞く事が出来るようになりました。
つまり、今までは現地でフィールドワークをしない限りレパートリーに成りえなかった曲も、インターネットの発達で、情報は求めて行きさえすれば日本にいても手に入るようになった訳です。
時代が大きく変化して来たと言えます。
ただ、情報はいくら簡単に大量に入っても、それを扱う人間は、結局はアナログ的で、これだけは素人では太刀打ちできません。
そういう意味でも、まだまだ進化を遂げて行くであろうアラディーンを、今後さらにどう発展させていくか、これがこれからの大きな課題です。
その意味でも「ベリーダンスと音楽の夜」という月例イベントのマネージメントも大きな課題です。
1部:
悟空(インスト)
Misrlou(Yaliel)
月天子(Apsara)
Murakkaz(翠雅)
Faddah(Ray)
Ala Babi Waef Amarin(Nasim)
2部:
天空の舞(インスト)
Mariovska Tresenica(Apsara)
Tchiki Tchiki(Yaliel)
Sien(翠雅)
Mashaal(Ray)
Kull da Kan Leih(Nasim)
Rakkas(Finale)