ウード奏者 松尾 賢 のブログ(アラディーン主宰者)

ウード奏者、ダラブッカ奏者、サズ奏者、歌手、アラブ、トルコのオリエンタル音楽演奏家・作曲家である松尾賢のブログ。

ウードの指板の修理(その2:失敗例)

2019-09-15 11:18:50 | 音楽

さて、エポキシ樹脂で盛り上げる工程の前に、もっと簡単な方法は無いか、調べてみて試した結果、失敗したことも書いてみたいと思います。

先に書いたように指板に絵を描いたが為に、
①、透明なモノで
②、指板を盛り上げなければならない、
という条件をクリアする為に、色々とリサーチした結果、透明粘土を使ってみようと思いつきました。

透明粘土ならば加工しやすいし、必要とあらば、上からゴルペ板(透明なプラスチックの板)を貼ればイイや、と気軽に考えていました。

結果は、先に書くと失敗。

まず、透明粘土は「シリコン」なので、指板に必要とされる木と同じ硬さにならない上、下の指板に接着しませんw

綺麗にペリペリと、剥がれましたw

更には、紙やすりなどで削れない、加工できない、という事で、全くの失敗。

が、この剥がれた指板が「型」となり、どの位の厚さまで盛れば良いのか、実感できたのは不幸中の幸いでした。

実際、その「型」は、最大で4mmも幅があり、どんだけ胴体側に指板が沈み込んでいたか判明したわけで、これはエポキシ樹脂でやるしかない、と決意させてくれた訳です。

その工程は、

1.先ずは先貼っていたゴルペ板はがし。
アイロンをゴルペ板(アリアの市販の物)の上にかけ、糊を熱すると簡単に剥がれます。アイロンかけないと、指板の木が剥がれますから、必ずアイロン、またはドライヤーで熱して糊を無力化しましょう。
熱した後のゴルペ板をはがす時はスクレーパーで指板を傷つけないように丁寧に慎重に行います。

2.綺麗にゴルペ板が剥がれました。

3.透明粘土。粘土板、コネ棒。そしてヘラを用意。

4.硬化剤を混ぜて大体の大きさになるまでコネ棒を使って貼り付け用の「指板」を作りました。

5.加工したい部分に貼り付けます。(結局は十分な接着力が無くて失敗しますが。)

6.コネ棒で必要な厚さになるまで伸ばします。(成功すれば、一番良かったのですが、残念ながら、これは結果的に失敗)

7.余分にはみ出た部分をヘラで切り取ります。

8.形も厚さも整ったところ。これがカチカチになって接着力あれば大成功だったのですが…。残念。

9.見てわかる通り、結構な厚さ。測ると4mm の厚さ。 

 10.これがカチカチのプラスチックになれば良かったのに。誰か発明してくれませんか?

(つづく)


ウードの指板の修理(その1)

2019-09-15 03:34:37 | 音楽

怒涛の日々が終わったので、ここらでウードの指板コーティングの苦闘の日々の記録を記事に残しておこうと思います。

事の起こりは、私がオーダーメイドで購入したトルコ製のウードの高音域の指板が、全く役立たずだった事が原因です。

トルコ・ウード、というより、ウードは元々、胴体上の指板ととネックの指板が同一の高さで製作されるのが一般的だったのですが、

20世紀後半あたりのアラブ世界で制作されるウードは、ネックと胴体の上に一枚の統一した指板を張るのが一般的になりました。

(写真は2007年に購入した伝統的なタイプのウード(トルコ製):見ての通り胴体からネックが出ているかのように制作されており、胴体部分には指板は無い。)

そのおかげで弦高もとても低くなり、弾きやすくなり、更に消耗品である指板の張替も容易になるという、画期的な進歩が起きた訳ですが、

(写真は私の初代7コース・ウード。21世紀型の進歩したウードと言ってもよいと思いますが、ご覧の通り、ネックと胴体部分の上に一枚の指板が張り付けてある形になっています。)

さて、私のオーダーしたウードは、胴体上に指板が貼ってあったものの、結局は、伝統的なトルコ・ウードのままで、購入した当時(2015年6月)から胴体部分が沈み込んでしまっていて高音域が弾けない状態でした。

なので、その部分にパテ埋めして指板の高さをネック部分と揃えた工事をして何とか高音域を弾きやすく仕上げた訳ですが、

結局、購入して4年経ち、胴体部分は更に沈み込んでいき、結局高音域が弾き辛くなっていきました。

この問題を解決するにはどうすれば良いか?

更にもう一つの問題は、前回パテ埋めした部分に絵を描いてしまった事。この上から木工パテで埋めしてしまうと、折角描いた絵が消えてしまいます。どうした物か?

実はこの問題は、装飾が凝っているウードについてもいえる事で、指板に凝った細工がしてあるウードだと、木工パテで盛り上げる、なんてことも、新たに指板を貼り付ける、という事もできません。

それらを全て解決する方法を、ずっと考え、様々リサーチしていましたが、結論として透明なエポキシ樹脂で指板を盛り上げる、という事を考え付いたわけです。

(つづく)


Esmeralda発表会 Nur.8(岩手県)後記

2019-09-09 00:15:54 | ベリーダンス

9月7日(土)は今回で4年目の招待となった岩手県のエスメラルダ・ベリーダンス・スクール発表会、Nur vol.8 で演奏して参りました。毎回、暖かく迎えてくれて本当に感謝、感謝です。

今回は、私が作曲した悟空のデュオヴァージョンを皮切りに、ライラット・ホッブ(ユリカ), アルフ・ライラ・ワ・ライラ(ルナ)、マシャール(ユナ), ランマ・バダ・ヤタサンナ(ナイマ)、ザイ・エル・ハワ(エスメラルダ)を演奏、歌ってきました。
ザイ・エル・ハワは、前日にワークショップを行って歌詞の内容の意味を共に学び、去年のガナ・エル・ハワ同様、コーラスを付けた豪華なステージになり、とても楽しかったです。

これからもエスメラルダ・ベリーダンス・スクールの皆さんの益々の活躍と発展を祈っております!


ベリーダンスと音楽の夜 第157夜 後記

2019-09-06 08:41:28 | ベリーダンス

先月になってしまいましたが、8月31日(土)は「ベリーダンスと音楽の夜 第157夜」でした!大盛況の夜になり、誠にありがとうございました!

今回は、アラディーン結成当初以来、実に13年ぶりに出演したスーランさんを始め、産休後の復活第1弾としてこのステージを踏んだMaysoon さん、初出演のMalica さん、ここ数年間、毎年出演して頂いている、Luludi さん、そしてMomo さんに登場して頂きました。

また観客として、久しぶりにキキさんがお越し下さいました。キキさんは、アラディーンの結成と、この「ベリーダンスと音楽の夜」の発展に携わっていただいた事もあり、感慨深い思いでした。

スーランさんが、Lessa Fakir を歌付で生演奏をバックに踊れるなんて夢のようだ、と言って居ましたが、それを実現できたのも、私が13年間、弛まず努力し、アラディーンと「ベリーダンスと音楽の夜」を経営し続けた結果であり、また今後も更に持続、発展していきたいと思っています。

個人的には、Momo さんが私の作曲した飛天で踊ってくれたことが一番感慨深かったのですが、何故かというと、実は、Momo さんがベリーダンスを始めたばかりの頃から知っているのです。

彼女が独立しスクールを持ったのを知ったのは、自分の友人が彼女からベリーダンスと学んでいること知って、再会し、そして「ベリーダンスと音楽の夜」に出演して頂きました。

そして今日までMomo さんのご両親は毎回見に来てくださいましたが、その間、アラディーンには大変なことが続きましたが、変わらず参加して頂き、

今回、私が作曲した飛天で踊りたい、との希望を受けて踊っていただきました。

Momo さんの、飛天のパフォーマンスは、いろんな意味で、私の中ではベスト・パフォーマンスとしてカウントしたい位、素晴らしいパフォーマンスで、最後のフィニッシュの瞬間まで本当に素晴らしかったと思います。

ともあれ、何事も継続してこそ成長と発展があるし、次回があると思えばこそ、今度はこうしよう、と考える事が出来る訳で、そういう意味でも、ダンサー、ミュージシャン共に「次回は更にこうして見よう」と思って続けていきたいと思います。

では、皆さん、次回、9月の「ベリーダンスと音楽の夜 第158夜」も引き続き、よろしくお願いいたします!