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ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

はじめの一歩

2014年07月09日 | 日本とわたし
『ヘイトスピーチ』『在特会』
これらの単語がよく目に入るようになったのも、ここ数年のことで、最初は訳が分からないままでいました。
アメリカの東海岸地域は、人種のるつぼです。
住んでいる通りひとつとっても、エチオピア、インド、ヨーロッパの国々からの家族が暮らしています。
生徒たちも、アジア、ヨーロッパ、アフリカなどから移民してきた家族なので、夏になると郷里に戻り、少し長めの休みを過ごします。

これまでにも、何の気無しに言ったことが、差別につながるから注意するようにと、諭されたことがありました。
アメリカは、ポリティカリーコレクトか否かということに、神経質になり過ぎているのではないか、と反感を持ったこともありましたが、
長く暮らしていくうちに、それは神経質か否か、などという類いのものではなくて、少数者たちのアイデンティティを護るための、当たり前の行為なのだと感じ始めています。
そしてそれは、同じく、極めつけの少数者のひとりであるわたし自身が、日常の中に存在するほんの些細な差別に、驚くほど深く傷ついたり、恐れを抱いたりしていることを、改めて見直すことにつながりました。

わたしの父は、わたしたち子どもの前で平然と、エッタなどという言葉を使い、差別的な考えを口にしていました。
昭和のど真ん中の頃です。
大阪の中学校に在籍していた時、と呼ばれる地域の住人だった男の子と付き合うことを宣言したら、
頬を思いっきり張られたりしたこともありました。
「おまえは、世の中のことをなんにもわかってへんのや」と、そう父は怒鳴っていましたが、
そんな世の中なら、わからんでけっこう!と、心の中で怒鳴り返していたことを覚えています。
けれども他のことに関しては、気の優しい、だからよく人に騙されるような気質の父でもありましたし、困っている人を見ると、放っておけない正義感も持っている人でした。


「北朝鮮のスパイ養成機関、朝鮮学校を日本から叩き出せ」
「ろくでなしの朝鮮学校を日本から叩き出せ。なめとったらあかんぞ。叩き出せ」
「日本から出て行け。何が子供じゃ、こんなもん、お前、スパイの子供やないか」
「約束というものは人間同士がするものなんですよ。人間と朝鮮人では約束は成立しません」

これらの言葉は、以下の新聞にも書かれていますが、在特会が朝鮮学校近くで街宣中に、大音量で連呼したものです。
このような思想や、それを元に言葉の暴力を加える行為を支持する人が、推定にせよ、1万5千人あまりも存在することに、とても驚いています。




在特会 賠償と街宣禁止
大阪高裁「民族教育は重要」

ヘイトスピーチ 二審も『差別』


「ヘイトスピーチ」(増悪表現)と呼ばれる、人種差別的な街宣活動で、授業を妨害されたとして、
朝鮮学校を運営する京都朝鮮学園が、『在日特権を許さない市民の会』(在特会)などに、損害賠償などを求めた訴訟の控訴審判決で、
大阪高裁は8日、約1200万円の賠償と、学校周辺での街宣禁止を命じた一審京都地裁判決を支持し、在特会側の控訴を棄却した

高裁の森宏司裁判長は、
「朝鮮学園には、在日朝鮮人の民族教育を行う利益がある」と認定。
在特会の活動について、
「人種差別に当たり、法の保護に値しない」と述べた。
原告側によると、マイノリティ(少数派)が、民族の言葉で教育を受ける、民族教育の重要性について、積極的に評価した初の判決という。
一審は言及していなかった。

森裁判長は、
「在日朝鮮人を嫌悪、軽視する発言は、差別意識を世間に訴える意図で、公益目的はない。
民族教育事業の運営に重大な支障をきたし、社会的評価を低下させた」
と指摘。
映像を、インターネット上に公開したことに触れ、
「今後も被害が拡散、再生産される可能性がある」とした。

判決によると、在特会のメンバーら8人は、2009年~2010年、当時京都市南区にあった朝鮮学校近くで、3度にわたり、拡声器を用い、大音量で、
「朝鮮人を保健所で処分しろ」「スパイの子ども」などと連呼し、その様子を撮影した動画を、ネットで公開した

一審判決は、日本も加盟する人種差別撤廃条約を根拠に、
「差別に当たる。平穏な授業を困難にし、学校の名誉を損なった」と判断。
在特会の街宣を、人種差別とした初めての判決だった。

控訴審で在特会側は、
「国籍による区別を主張するもので、集会・表現の自由だ」と主張し、賠償額も高すぎると訴えた
学園側は、
「街宣の悪質さや被害に基づく、妥当な額だ」と、一審判断を維持するよう求めていた。

在特会は、在日コリアンの特別永住資格などを『特権』とみなし、排斥を掲げる団体で、
ホームページによると、会員は、約14500人。
街宣では4人が、威力業務妨害罪などで、有罪が確定した。


◆ヘイトスピーチ

人種、民族、宗教上の少数者に対し、敵対意識を持ち、憎しみをあおつ差別的な表現。
『増悪表現』『差別扇動』などと訳される。
2009年ごろから、在日コリアンが多く住む、東京・新大久保や大阪・鶴橋で、
保守をうたう団体が、「殺せ」「たたき出せ」などと叫びながらデモを繰り返した。
『カウンター』と呼ばれる反差別団体との、乱闘事件も起きている。
人権差別撤廃条約は各国に、ヘイトスピーチの法規制を求めているが、日本にはない



◆ヘイトスピーチ訴訟の経過

2009年
12月4日
在特会メンバーらが、京都市南区の朝鮮学校近くで街宣

2010年
1月14日
学校付近で2度目の街宣
3月24日
京都地裁が、学校周辺での街宣を禁じる仮処分決定
3月28日
学校付近で3度目の街宣
6月28日
学校側が、街宣禁止と損害賠償を求め、京都地裁に提訴

2011年
4月21日
京都地裁が4人に、有罪判決

2013年
10月7日
京都地裁が在特会に、街宣禁止と賠償を命令
10月19日
在特会側が控訴

2014年
3月25日
大阪高裁で控訴審第一回口頭弁論があり、即日結審
7月8日
高裁が、在特会側の控訴を棄却
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