↑今日の記事のタイトルは、松阪市長・山中光茂氏の、『ピースウイング』発足会見での言葉です。
その会見の様子を、IWJテキストスタッフの関根さんと奥松さんが、詳しく、分かりやすく、まとめてくださいました。
松阪はわたしにとって、とても懐かしい町です。
その松阪の市長さんが、立ち上がってくださいました。
わたしが知らないだけで、日本の地方都市、町や村の首長さんが、今も次々と立ち上がってくださっているのでしょうか。
ひとりの愚かな為政者、ひとつの愚かな政権のために、当たり前の幸せを台無しにされてきた市民は、世界中に大勢います。
その現実をまさに今、見せつけられているではありませんか?
イラクが、ギリシャが、アフリカの多くの国々が、パキスタンが、ウクライナが、
いえ、そんな国名を上げていること自体が、わたしがまだまだ世界の惨たらしい現実を、しっかりと理解していないことを示しています。
どの国も、大なり小なり、ひとりの愚かな為政者や、ひとつの愚かな政権のために、
生きること、幸せと求めること、健康を願うこと、そんな、命の根本を、土足で踏みにじられている市民が存在しています。
今こそ、本当に、本気で、非現実だ、などと言っていないで、
世界市民のひとりとして、手を差し延べ、求め、つないでいかなければならない時が来ていると、
わたしは強く感じています。
IWJ Independent Web Journalより、転載させていただきます。
↓以下、転載はじめ
【三重】山中光茂 松阪市長「集団的自衛権の閣議決定は違憲!国家賠償請求を行なう」 ~「ピースウイング」発足会見
2014/07/17
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/154385
「ひとりの愚かな為政者、ひとつの愚かな政権のために、当たり前の幸せを台無しにすることはできない。
我々は、平和的生存権に基づいて、国家賠償請求を行っていく」──。
2014年7月17日、三重県松阪市の松阪市産業振興センターにて、「ピースウイング」を立ち上げた松阪市の山中光茂市長と、
「ピースウイング議員の会」による、発足共同記者会見が行われた。
山中市長を中心とした市民団体「ピースウイング」と、松阪市議会議員5名と他府県40名の地方議員による「ピースウイング議員の会」の発足を報告。
安倍内閣による集団的自衛権行使の閣議決定に対し、集団訴訟、国家賠償請求を行い、司法の場で糾弾していくことを表明した。
山中市長は会見で、
「集団的自衛権の閣議決定は暴挙であり、憲法違反。
国民の生存権が害され、未来を生きる子どもたちの幸せが壊される。
その不利益を拒否をするためにも、安倍政権に『ノー』を突きつけなければならない」と語った。
約1時間にわたる記者会見の間、終始熱弁を振るった山中市長は、
「自分はピースウイングの代表であり、シチズンという意味での市民だ。
松阪市長として、市民の安全安心を守る立場で、集団的自衛権の閣議決定に対して提訴、原告団の一員として活動する。
また、立憲主義を危惧する有識者や学者とも連携をとっていく」と決意を述べた。
---------------------------------------------------------
記事目次
・「自衛」という美名の下での侵略戦争
・平和主義が抑止力だった日本外交
・集団提訴も国家賠償請求も辞さない
・世界に名だたる平和国家が壊れてしまう
・集団的自衛権は、国際貢献ではない
・国がやらないことを、地方からやっていく
・愚かな為政者の専制にストップを!
・国民の声の受け皿がない
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日時 2014年7月17日(木)11:00~
場所 松阪市産業振興センター2階(松阪市本町2176番地)の人材育成室
会見者 山中光茂市長、松阪市議会議員(久松倫生氏、松田千代氏、今井一久氏、深田龍氏、海住恒幸氏)、
他の自治体から参加の議員(議員経験者も含む)、松阪九条の会の呼び掛け人の一人で、元三重県議会議員の多喜正男氏ら
詳細 ピースウイング議員の会
■『自衛』という美名の下での侵略戦争
冒頭、「ピースウイング」「ピースウイング議員の会」会見出席者の紹介に続いて、松阪市の山中市長が挨拶に立ち、
「本日は、呼びかけていなかったにもかかわらず、本団体の趣旨に賛同するたくさんの方々に集まっていただいた」と謝辞を述べた。
山中市長は、今回立ち上げた「ピースウイング」は政治的な活動ではなく、市民に開かれた運動であることを説明。
シンボルマークの虹色の翼を示して、
「半世紀以上、この国が守ってきた平和を翼に乗せて、次の世代に届ける、という思いを込めた。
右でも左でもない、さまざまな議論には染まらない、虹色の平和の翼である」と話した。
その上で、
「安倍内閣が、集団的自衛権を閣議決定した。
武力による平和、武力による抑止と言うが、武力による平和が、今まであったのだろうか。
自衛という美名の下に、多くの侵略戦争が行なわれてきたではないか」と訴えた。
■平和主義が抑止力だった日本外交
「日本は憲法9条に基づき、現在まで、徹底した平和主義を貫いてきた。
平和主義を抑止力としてきた国家だった。
それが、日本の誇りでもあった」
と語る山中市長は、
「集団的自衛権の行使は、他国の自衛の正当性に基づき、武力行使が可能になる。
肯定論者は『一国の平和主義だけではダメだ。積極的な平和主義、国際貢献が必要だ』と主張する。
しかし、同盟国と共に戦争ができる権利を使って、国際貢献活動を行なうことは、まったく適切ではない」
と断じて、次のように続けた。
「国際貢献活動や平和維持活動と、集団的自衛権の論拠を混同している。
積極的平和主義を言うならば、人道支援、国連、国際機関の枠組みを通じた、自衛隊による国際貢献活動でいい。
アメリカのような、単独の武力行使による紛争解決は、侵略戦争に他ならない」。
医師である山中市長は、
「私はアフリカでの医療活動で、戦争の悲劇を痛感した。
日本では愚かな為政者が、集団的自衛権という、戦争ができる論理を打ち立てた。
市民の当たり前の幸せが壊されてしまう。
今が分水嶺だ」
と、強い口調で訴えた。
「今回の集団的自衛権の閣議決定は、一内閣の暴挙であり、憲法違反。国民の生存権が害される。
未来を生きる子どもたちの、幸せが壊される。
その不利益を拒否するためにも、安倍内閣に司法の場を通じて、『ノー』を突きつけなければならない。
ひとりの愚かな為政者、ひとつの愚かな政権のために、当たり前の幸せを台無しにすることはできない」。
■集団提訴も国家賠償請求も辞さない
続けて、
「そのために、集団提訴を考えている。
また、憲法違反を合法化するならば、立法機関としての国会に対して、平和的生存権に基づいて、国家賠償請求を行なう。
政治家が立憲主義を守れないなら、市民運動で訴えていかなくてはいけない」
と主張。
「一内閣の総理大臣でしかない人、閣議という行政機関のひとつの役割でしかない、憲法の中でも一組織でしかないものが、
これまでの国家の歴史を冒涜する判断をしたことを、司法の場で糾していかなくてはならない」。
「ピースウイング運動は、松阪地域から全国へと広げ、この思いを、次の世代へ伝えていきたい。
一度、平和が壊されてしまったら、再び取り戻すのは大変困難だ。
愚かな為政者によって、当たり前の幸せが壊されてしまう前に、それを防ぐことの重要性を、全国民に伝えていきたい」。
「この運動は、決して理想主義ではない。
国家としての安全を守る、現実的で戦略的な、非常に有効な手段である。
虹色の翼で、次世代に向けて平和の風をしっかり届けたい」
と力を込めた。
■世界に名だたる平和国家が壊れてしまう
次に、松阪市議会議員の海住恒幸氏がマイクを握り、
「ピースウイング議員の会」に参加する松阪市議会議員(久松倫生氏、松田千代氏、今井一久氏、深田龍氏)を紹介。
「愛知、岐阜、埼玉などからも、12名の市町村議員がここに出席した。
2府8県、計40名の議員が賛同している」
と報告した。
続いて、市民の賛同者が、
「これまで、日本の自衛隊員は、戦闘でひとりも死んでいない。
そんな、世界に名だたる平和国家が、このままでは壊れてしまう。
この運動を全国に広げていきたい」
とスピーチした。
■集団的自衛権は、国際貢献ではない
質疑応答に移り、時事通信の記者が、山中市長に、提訴に関して具体的な計画を尋ねた。
山中市長は、
「集団的自衛権の閣議決定後も、防衛省のホームページには、『集団的自衛権は、憲法上、認められない』と書いてあった(現在は削除)。
行政の手続きすら不十分のままで、憲法解釈で変えてしまう。
立憲主義国家に、あってはならないことだ」
と批判。
その上で、
「政府は、私的機関に過ぎなくなった。
私たちの平和的生存権が害されるということを、全国規模の活動を通して、みんなで共有したい。
テクニック的にも完璧にしてから、法的手段に訴えたい」
と述べ、この会の結成は、提訴が目的ではないことを強調した。
※ 【IWJブログ】防衛省の反乱? 「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」の文言、閣議決定から6日後にやっと削除
さらに、
「この会は、同じ思いを持つ各種団体ともつながりを持ち、集団的自衛権の法的な間違いを正しく精査し、訴えていく。
また、集団的自衛権の意味を、国際貢献と取り違えている国民も多いので、啓蒙活動もしたい」
と述べた。
「集団的自衛権行使を肯定する人たちを、批判するつもりはまったくない。
さまざまな意見の方々が、一堂に介したシンポジウムを開催するなど、平和を守るためにはどうしたらいいのかと考える活動も行っていきたい」。
■国がやらないことを、地方からやっていく
今後の活動サイクルについて訊かれた山中市長は、
「次回は8月1日、松阪市の商工会議所で、第1回市民集会を開催する」
と告知した。
「ただし、市長としての公務が最優先だ」
と言い添えた。
この市民集会については、
「とにかく、市民が、集団的自衛権の是非を議論する場がない。
なぜ、集団的自衛権が問題なのか。
平和を守っていくために、何が必要なのか。
議論のできる場を作り、意見交換を行いたい。
そもそも、議論の場を作ることなく閣議決定したこと自体が、何よりの問題だ。
国がやらないことを、地方からやっていく」
と語った。
CBC記者が、「ピースウイング」と「議員の会」との違いを質問した。
山中市長は、
「市民団体としては、今日がスタートだが、すでに、賛同する1万通以上のメッセージが届いている。
議員の会には、他地域の首長も賛同している。
議員の会は形式的なもので、市民団体とまったく同じ趣旨である」
と答えた。
届いたメッセージの詳細を問われると、
「中には、安倍政権を応援する、という内容もあったが、8対2で、1万通以上が、われわれに賛同するメッセージだった。
若い世代、女性、戦争経験者の高齢の方からの反響が多い。
海外も含めて、全国から寄せられた」
と述べた。
■愚かな為政者の専制にストップを!
さらに山中氏は、次のように熱弁を振るった。
「国家賠償請求や訴訟が、第一目的ではないが、集団的自衛権の憲法判断を、法廷で仰ぐ。
日本には、ドイツのような、憲法裁判所がない。
具体的な事例で、判断を求められる。
平和的生存権を失うこと、自衛隊員が、契約以外の職務で損害を被ること、
平和憲法の下で、外交交渉を行なってきたことの変更は、不作為による行政の憲法違反、と考えている」。
「今の憲法学者の見解では、司法は、この訴訟を拒むことはできないという。
本来、立憲主義を守るための三権分立であり、少数者を守るために司法がある。
司法の場で、愚かな為政者の専制をストップさせることは、とても大事だ」。
毎日新聞記者が、
「市長は、改憲議論自体に反対なのか。
それとも、手続きに対して、異議を申し立てているのか」
と訊いた。
山中市長は、
「まず、問題意識の共有や、具体的な事案を議論することなく、改憲議論することの不毛性がある。
国民的な意識変化、国家の環境変化の中で、具体的な改憲の必要性が生じた場合に、改憲議論が行なわれるべきだ」
と見解を述べた。
「憲法前文の平和的生存権の保障、9条の交戦権の否認、13条の幸福追求権、98条1項の最高規範性としての意味、99条の憲法尊重擁護義務。
これら、今の憲法における大前提について、内閣が憲法解釈ができるのか。
行政行為、もしくは立法行為として、不適切ではないか、と訴えたい」。
■国民の声の受け皿がない
「今回、『集団的自衛権には賛成だが、改憲をした上で行なうべき』という小林節氏(憲法学者)の意見もあるが、
集団的自衛権は、国を守るべき必要最小限度の武力からは逸脱していることを、多くの憲法学者、有識者、そして国民も認識している。
現行憲法に基づき、集団的自衛権を認めることはあり得ない」
と断言した。
※ 2014/06/20 小林節氏「交戦権を放棄した日本に『戦争する道具』はない」~生活の党勉強会で
「現行憲法では認めないが、手続きを踏めばOKなのか」という質問に対しては、
「ピースウイングには、いろいろな意見があると思うが、自分個人の考えでは、現行憲法の改正は不要。
70年間守ってきた平和主義の日本で、憲法による不都合、憲法による行政行為や、立法行為が不適切に行なわれてきたことはない、と思っている。
新たな問題は、違憲立法審査権で対応できる」。
※ 2013/10/07 大江健三郎氏ら「九条の会」がアピール文発表 「解釈改憲による集団的自衛権行使容認は戦争への道
IWJの徳王記者が、
「松阪市議会では、集団的自衛権の行使容認の閣議決定の、白紙撤回を求めた請願が否決され、三重県議会でも、慎重を求める意見書が否決されている。
これからの議会運営で、市長は、与党自民党を動かしていかないとならないが、どうするのか」と質問した。
山中市長は、
「自民党はともかく、今の野党にはリスクを感じる。
民主、みんな、維新、結いの各党は、今回の閣議決定のプロセスに関しては批判しているが、
集団的自衛権に対する意識、平和に対する意識が、自民党とほとんど変わらないのではないか。
国民の意識と乖離した政府の方向性に、野党が『ノー』を突きつけられない現状がある」
と話した。
その上で、
「国民の声の受け皿となる政治家、政治勢力がないのが、今、この国の問題点ではないか。
議員や首長に任せるという、従来の政治の流れではなく、市民から運動を動かしていく」
と述べた。
【IWJテキストスタッフ・関根/奥松】
↑以上、転載おわり
その会見の様子を、IWJテキストスタッフの関根さんと奥松さんが、詳しく、分かりやすく、まとめてくださいました。
松阪はわたしにとって、とても懐かしい町です。
その松阪の市長さんが、立ち上がってくださいました。
わたしが知らないだけで、日本の地方都市、町や村の首長さんが、今も次々と立ち上がってくださっているのでしょうか。
ひとりの愚かな為政者、ひとつの愚かな政権のために、当たり前の幸せを台無しにされてきた市民は、世界中に大勢います。
その現実をまさに今、見せつけられているではありませんか?
イラクが、ギリシャが、アフリカの多くの国々が、パキスタンが、ウクライナが、
いえ、そんな国名を上げていること自体が、わたしがまだまだ世界の惨たらしい現実を、しっかりと理解していないことを示しています。
どの国も、大なり小なり、ひとりの愚かな為政者や、ひとつの愚かな政権のために、
生きること、幸せと求めること、健康を願うこと、そんな、命の根本を、土足で踏みにじられている市民が存在しています。
今こそ、本当に、本気で、非現実だ、などと言っていないで、
世界市民のひとりとして、手を差し延べ、求め、つないでいかなければならない時が来ていると、
わたしは強く感じています。
IWJ Independent Web Journalより、転載させていただきます。
↓以下、転載はじめ
【三重】山中光茂 松阪市長「集団的自衛権の閣議決定は違憲!国家賠償請求を行なう」 ~「ピースウイング」発足会見
2014/07/17
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/154385
「ひとりの愚かな為政者、ひとつの愚かな政権のために、当たり前の幸せを台無しにすることはできない。
我々は、平和的生存権に基づいて、国家賠償請求を行っていく」──。
2014年7月17日、三重県松阪市の松阪市産業振興センターにて、「ピースウイング」を立ち上げた松阪市の山中光茂市長と、
「ピースウイング議員の会」による、発足共同記者会見が行われた。
山中市長を中心とした市民団体「ピースウイング」と、松阪市議会議員5名と他府県40名の地方議員による「ピースウイング議員の会」の発足を報告。
安倍内閣による集団的自衛権行使の閣議決定に対し、集団訴訟、国家賠償請求を行い、司法の場で糾弾していくことを表明した。
山中市長は会見で、
「集団的自衛権の閣議決定は暴挙であり、憲法違反。
国民の生存権が害され、未来を生きる子どもたちの幸せが壊される。
その不利益を拒否をするためにも、安倍政権に『ノー』を突きつけなければならない」と語った。
約1時間にわたる記者会見の間、終始熱弁を振るった山中市長は、
「自分はピースウイングの代表であり、シチズンという意味での市民だ。
松阪市長として、市民の安全安心を守る立場で、集団的自衛権の閣議決定に対して提訴、原告団の一員として活動する。
また、立憲主義を危惧する有識者や学者とも連携をとっていく」と決意を述べた。
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記事目次
・「自衛」という美名の下での侵略戦争
・平和主義が抑止力だった日本外交
・集団提訴も国家賠償請求も辞さない
・世界に名だたる平和国家が壊れてしまう
・集団的自衛権は、国際貢献ではない
・国がやらないことを、地方からやっていく
・愚かな為政者の専制にストップを!
・国民の声の受け皿がない
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日時 2014年7月17日(木)11:00~
場所 松阪市産業振興センター2階(松阪市本町2176番地)の人材育成室
会見者 山中光茂市長、松阪市議会議員(久松倫生氏、松田千代氏、今井一久氏、深田龍氏、海住恒幸氏)、
他の自治体から参加の議員(議員経験者も含む)、松阪九条の会の呼び掛け人の一人で、元三重県議会議員の多喜正男氏ら
詳細 ピースウイング議員の会
■『自衛』という美名の下での侵略戦争
冒頭、「ピースウイング」「ピースウイング議員の会」会見出席者の紹介に続いて、松阪市の山中市長が挨拶に立ち、
「本日は、呼びかけていなかったにもかかわらず、本団体の趣旨に賛同するたくさんの方々に集まっていただいた」と謝辞を述べた。
山中市長は、今回立ち上げた「ピースウイング」は政治的な活動ではなく、市民に開かれた運動であることを説明。
シンボルマークの虹色の翼を示して、
「半世紀以上、この国が守ってきた平和を翼に乗せて、次の世代に届ける、という思いを込めた。
右でも左でもない、さまざまな議論には染まらない、虹色の平和の翼である」と話した。
その上で、
「安倍内閣が、集団的自衛権を閣議決定した。
武力による平和、武力による抑止と言うが、武力による平和が、今まであったのだろうか。
自衛という美名の下に、多くの侵略戦争が行なわれてきたではないか」と訴えた。
■平和主義が抑止力だった日本外交
「日本は憲法9条に基づき、現在まで、徹底した平和主義を貫いてきた。
平和主義を抑止力としてきた国家だった。
それが、日本の誇りでもあった」
と語る山中市長は、
「集団的自衛権の行使は、他国の自衛の正当性に基づき、武力行使が可能になる。
肯定論者は『一国の平和主義だけではダメだ。積極的な平和主義、国際貢献が必要だ』と主張する。
しかし、同盟国と共に戦争ができる権利を使って、国際貢献活動を行なうことは、まったく適切ではない」
と断じて、次のように続けた。
「国際貢献活動や平和維持活動と、集団的自衛権の論拠を混同している。
積極的平和主義を言うならば、人道支援、国連、国際機関の枠組みを通じた、自衛隊による国際貢献活動でいい。
アメリカのような、単独の武力行使による紛争解決は、侵略戦争に他ならない」。
医師である山中市長は、
「私はアフリカでの医療活動で、戦争の悲劇を痛感した。
日本では愚かな為政者が、集団的自衛権という、戦争ができる論理を打ち立てた。
市民の当たり前の幸せが壊されてしまう。
今が分水嶺だ」
と、強い口調で訴えた。
「今回の集団的自衛権の閣議決定は、一内閣の暴挙であり、憲法違反。国民の生存権が害される。
未来を生きる子どもたちの、幸せが壊される。
その不利益を拒否するためにも、安倍内閣に司法の場を通じて、『ノー』を突きつけなければならない。
ひとりの愚かな為政者、ひとつの愚かな政権のために、当たり前の幸せを台無しにすることはできない」。
■集団提訴も国家賠償請求も辞さない
続けて、
「そのために、集団提訴を考えている。
また、憲法違反を合法化するならば、立法機関としての国会に対して、平和的生存権に基づいて、国家賠償請求を行なう。
政治家が立憲主義を守れないなら、市民運動で訴えていかなくてはいけない」
と主張。
「一内閣の総理大臣でしかない人、閣議という行政機関のひとつの役割でしかない、憲法の中でも一組織でしかないものが、
これまでの国家の歴史を冒涜する判断をしたことを、司法の場で糾していかなくてはならない」。
「ピースウイング運動は、松阪地域から全国へと広げ、この思いを、次の世代へ伝えていきたい。
一度、平和が壊されてしまったら、再び取り戻すのは大変困難だ。
愚かな為政者によって、当たり前の幸せが壊されてしまう前に、それを防ぐことの重要性を、全国民に伝えていきたい」。
「この運動は、決して理想主義ではない。
国家としての安全を守る、現実的で戦略的な、非常に有効な手段である。
虹色の翼で、次世代に向けて平和の風をしっかり届けたい」
と力を込めた。
■世界に名だたる平和国家が壊れてしまう
次に、松阪市議会議員の海住恒幸氏がマイクを握り、
「ピースウイング議員の会」に参加する松阪市議会議員(久松倫生氏、松田千代氏、今井一久氏、深田龍氏)を紹介。
「愛知、岐阜、埼玉などからも、12名の市町村議員がここに出席した。
2府8県、計40名の議員が賛同している」
と報告した。
続いて、市民の賛同者が、
「これまで、日本の自衛隊員は、戦闘でひとりも死んでいない。
そんな、世界に名だたる平和国家が、このままでは壊れてしまう。
この運動を全国に広げていきたい」
とスピーチした。
■集団的自衛権は、国際貢献ではない
質疑応答に移り、時事通信の記者が、山中市長に、提訴に関して具体的な計画を尋ねた。
山中市長は、
「集団的自衛権の閣議決定後も、防衛省のホームページには、『集団的自衛権は、憲法上、認められない』と書いてあった(現在は削除)。
行政の手続きすら不十分のままで、憲法解釈で変えてしまう。
立憲主義国家に、あってはならないことだ」
と批判。
その上で、
「政府は、私的機関に過ぎなくなった。
私たちの平和的生存権が害されるということを、全国規模の活動を通して、みんなで共有したい。
テクニック的にも完璧にしてから、法的手段に訴えたい」
と述べ、この会の結成は、提訴が目的ではないことを強調した。
※ 【IWJブログ】防衛省の反乱? 「集団的自衛権の行使は憲法上許されない」の文言、閣議決定から6日後にやっと削除
さらに、
「この会は、同じ思いを持つ各種団体ともつながりを持ち、集団的自衛権の法的な間違いを正しく精査し、訴えていく。
また、集団的自衛権の意味を、国際貢献と取り違えている国民も多いので、啓蒙活動もしたい」
と述べた。
「集団的自衛権行使を肯定する人たちを、批判するつもりはまったくない。
さまざまな意見の方々が、一堂に介したシンポジウムを開催するなど、平和を守るためにはどうしたらいいのかと考える活動も行っていきたい」。
■国がやらないことを、地方からやっていく
今後の活動サイクルについて訊かれた山中市長は、
「次回は8月1日、松阪市の商工会議所で、第1回市民集会を開催する」
と告知した。
「ただし、市長としての公務が最優先だ」
と言い添えた。
この市民集会については、
「とにかく、市民が、集団的自衛権の是非を議論する場がない。
なぜ、集団的自衛権が問題なのか。
平和を守っていくために、何が必要なのか。
議論のできる場を作り、意見交換を行いたい。
そもそも、議論の場を作ることなく閣議決定したこと自体が、何よりの問題だ。
国がやらないことを、地方からやっていく」
と語った。
CBC記者が、「ピースウイング」と「議員の会」との違いを質問した。
山中市長は、
「市民団体としては、今日がスタートだが、すでに、賛同する1万通以上のメッセージが届いている。
議員の会には、他地域の首長も賛同している。
議員の会は形式的なもので、市民団体とまったく同じ趣旨である」
と答えた。
届いたメッセージの詳細を問われると、
「中には、安倍政権を応援する、という内容もあったが、8対2で、1万通以上が、われわれに賛同するメッセージだった。
若い世代、女性、戦争経験者の高齢の方からの反響が多い。
海外も含めて、全国から寄せられた」
と述べた。
■愚かな為政者の専制にストップを!
さらに山中氏は、次のように熱弁を振るった。
「国家賠償請求や訴訟が、第一目的ではないが、集団的自衛権の憲法判断を、法廷で仰ぐ。
日本には、ドイツのような、憲法裁判所がない。
具体的な事例で、判断を求められる。
平和的生存権を失うこと、自衛隊員が、契約以外の職務で損害を被ること、
平和憲法の下で、外交交渉を行なってきたことの変更は、不作為による行政の憲法違反、と考えている」。
「今の憲法学者の見解では、司法は、この訴訟を拒むことはできないという。
本来、立憲主義を守るための三権分立であり、少数者を守るために司法がある。
司法の場で、愚かな為政者の専制をストップさせることは、とても大事だ」。
毎日新聞記者が、
「市長は、改憲議論自体に反対なのか。
それとも、手続きに対して、異議を申し立てているのか」
と訊いた。
山中市長は、
「まず、問題意識の共有や、具体的な事案を議論することなく、改憲議論することの不毛性がある。
国民的な意識変化、国家の環境変化の中で、具体的な改憲の必要性が生じた場合に、改憲議論が行なわれるべきだ」
と見解を述べた。
「憲法前文の平和的生存権の保障、9条の交戦権の否認、13条の幸福追求権、98条1項の最高規範性としての意味、99条の憲法尊重擁護義務。
これら、今の憲法における大前提について、内閣が憲法解釈ができるのか。
行政行為、もしくは立法行為として、不適切ではないか、と訴えたい」。
■国民の声の受け皿がない
「今回、『集団的自衛権には賛成だが、改憲をした上で行なうべき』という小林節氏(憲法学者)の意見もあるが、
集団的自衛権は、国を守るべき必要最小限度の武力からは逸脱していることを、多くの憲法学者、有識者、そして国民も認識している。
現行憲法に基づき、集団的自衛権を認めることはあり得ない」
と断言した。
※ 2014/06/20 小林節氏「交戦権を放棄した日本に『戦争する道具』はない」~生活の党勉強会で
「現行憲法では認めないが、手続きを踏めばOKなのか」という質問に対しては、
「ピースウイングには、いろいろな意見があると思うが、自分個人の考えでは、現行憲法の改正は不要。
70年間守ってきた平和主義の日本で、憲法による不都合、憲法による行政行為や、立法行為が不適切に行なわれてきたことはない、と思っている。
新たな問題は、違憲立法審査権で対応できる」。
※ 2013/10/07 大江健三郎氏ら「九条の会」がアピール文発表 「解釈改憲による集団的自衛権行使容認は戦争への道
IWJの徳王記者が、
「松阪市議会では、集団的自衛権の行使容認の閣議決定の、白紙撤回を求めた請願が否決され、三重県議会でも、慎重を求める意見書が否決されている。
これからの議会運営で、市長は、与党自民党を動かしていかないとならないが、どうするのか」と質問した。
山中市長は、
「自民党はともかく、今の野党にはリスクを感じる。
民主、みんな、維新、結いの各党は、今回の閣議決定のプロセスに関しては批判しているが、
集団的自衛権に対する意識、平和に対する意識が、自民党とほとんど変わらないのではないか。
国民の意識と乖離した政府の方向性に、野党が『ノー』を突きつけられない現状がある」
と話した。
その上で、
「国民の声の受け皿となる政治家、政治勢力がないのが、今、この国の問題点ではないか。
議員や首長に任せるという、従来の政治の流れではなく、市民から運動を動かしていく」
と述べた。
【IWJテキストスタッフ・関根/奥松】
↑以上、転載おわり