ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

国民投票するなら、国会が憲法改正を発議してから投票日まで、民間団体によるテレビCMの放送を全面禁止!

2018年01月08日 | 日本とわたし
選挙のたびに、フェイスブックやツイッター上で、いろんな議論が交わされたり、抗議集会や勉強会が行われてきました。

立候補についてのシステムも酷いし、選挙制度そのものもたくさんの問題を抱えているのに、それらのことを変えられないまま次々と選挙が行われ、
行政のみならず、司法やメディアまでもが、敗戦後からずっと執念を燃やしながら、地方の隅々にまで行き渡る市民運動もどき(監視と脅迫)を根気よく続けてきた日本会議の悲願達成の、手助けをしているのですから、
選挙だからといって、付け焼き刃のような啓蒙や運動をしても、間に合うはずがありません。
結果として出てくるまでには相当な時間がかかるし、そんな時間をかけている間に、日本はどんどんと戦前回帰への坂道を転がり落ちてしまいます。

一体どうしたら、今のこの、どうしようもない感を払拭できるのか。
一体どうしたら、どう考えても間違っているシステムや法律を、変えることができるのか。
与党の議員数が圧倒的に多いという選挙結果が、大きな壁になってしまっている現実の中で、変えることは不可能なのか。
変えられないままに、今の社会のままに、日本会議を筆頭に、日本に国家神道を復活させようと意気込む連中の悲願である憲法改悪を、国民投票にかけられてしまうのか。

これを読んでみてください。
2012年の新聞記事ですが、日本国憲法の良さがよくわかります。

日本国憲法 今も最先端

米科学者ら、188カ国を分析

65年も前に、画期的な人権の先取りをした、とてもユニークな憲法。
世界でいま主流になった『人権』の、上位19項目までを全て満たす先進ぶり。
日本の憲法が変わらずにきた最大の理由は、国民の自主的な支持が強固だったから。
経済発展と平和の維持に貢献してきた成功モデル。
それをあえて変更する政争の道を選ばなかったのは、日本人の賢明さではないか。


日本人の賢明さが、今も敢然と存在していることを、心の底から願っています。








2014年初頭、衆議院予算委員会において、『憲法とは』という質問に対する安倍首相の答弁


あ〜だめだこりゃ!

「憲法を応援していこう」 改憲反対集会で松尾貴史さん
【東京新聞】2018年1月8日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201801/CK2018010802000104.html

戦争放棄を定めた九条の改憲に反対する市民集会が7日、東京都北区の北とぴあで開かれ、1300人超が参加した。
安倍晋三首相が九条改憲に意欲を見せる中、タレントの松尾貴史さんは講演で、
「憲法を応援していこう。改正で良くなるなら賛成もするが、その可能性は低い。今の方々には変えてほしくない」と語った。
 
松尾さんは、
「上から下の人へ、『空気読めよ』という空気がまん延し、気持ち悪い。一億総活躍社会というなら、いろんな空気を出せばいい」と、政権への皮肉を交えて指摘した。
 
また、特定秘密保護法や、「共謀罪」の趣旨を含む改正組織犯罪処罰法の成立などについて、
「一つ一つは乱暴に決められても、何も起きないから安心してしまう。でも、気づいたら全包囲され、憲法で一丁上がりの状態」と現状を分析。
その上で、
「憲法は権力者を縛るものなのに、一番力を持った人が声高に変えたいと言っているのはおかしい」と、安倍首相ら閣僚らのモノマネも挟みながら語った。
 
集会では、石川健治東大教授(憲法学)も講演。
自衛隊の存在を憲法に明記するという、安倍首相が提起した「九条加憲論」について、
「自衛隊を統制する規定を設けるのが必要な前提条件なのに、その前提を持っていない人が改憲を語っている」と批判した。


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首相「占領時代の憲法」 自民に改正論議加速促す
【東京新聞】2018年1月5日
http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2018010501000639.html?ref=rank

安倍晋三首相(自民党総裁)は5日午前、党本部で開いた新年仕事始めの会合で、憲法改正論議の加速を促した。
1955年の保守合同による自民党結党に触れ、
「合同の理由は経済を成長させること。もう一つは、占領時代につくられた憲法をはじめ、さまざまな仕組みを安定した政治基盤の中で変えていくことだ」と述べた。
 
その上で、
「時代に対応した国の姿、理想の形をしっかりと考え、議論していくのは歴史的な使命だ」と強調した。
 
昨年10月の衆院選結果を踏まえ、「勝利におごることなく、緊張感を持って進んでいきたい」とも語った。


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「占領時代につくられた憲法」
これは、安倍首相が深く関わっている「日本会議」系列の極右団体が、常に公言している言葉です。
でも今現在、日本は占領からきっぱりと切り離されているのでしょうか?
時代に対応した国の姿、理想の形…そんな言葉を並べているだけで、ものの本質をきちんと考えているのかどうか、かなり怪しい。
そればかりか、憲法を変えようと意気込んでいる政治家たちの中には、とんでもないことを堂々と公言している輩も少なくありません。

日本国憲法の全てを、何が何でも変えてはならないとは思っていません。
細かな部分で、草稿された時代には無かったことや、想像し得なかったことについて、多少のズレが生じているので、それらのことを国民に問いかけ意見を募ることが、近い将来必要になるかもしれません。
でも、日本国憲法の背骨、魂の部分は、一部の政治家たちの悲願の達成などのために、変えるようなことは許されません。




でも、安倍政権はしつこい。
ついに悲願が達成される時がきたと、大いに興奮している日本会議系列の著名人たちの支援もものすごい。
この時を迎えるために、安倍政権をひたすら鼓舞し、支え続けてきた『国体復活』を悲願としている人たちは、今後行われるであろう国民投票に向けて、知名度と金を駆使し、誘導していくはずです。












憲法が変わっちゃったら、どうなるの? ~ 自民党案シミュレーション ~





最後にこれは、2016年の5月11日に、鈴木耕さんが『マガジン9』に投稿された記事です。
2016年の5月11日というと、熊本の大地震が起こってまだ間もない、そして7月に予定されていた参院選に合わせ、衆参同時選挙を目論んでいるんではないか、という話が出ていた頃です。
この熊本の大地震をも利用して、『緊急事態条項』を憲法に書き込もうという、安倍会見戦略が見え見えの言葉を、菅官房長官が会見で発言していましたね。

長くなるので、記事の中から、部分的に引用させてもらいますが、今の国民投票法がいかに危険な内容を含んでいるかがわかりやすく説明されていますので、ぜひ全文を読んでみてください。

危ない「憲法改正国民投票法105条」
【マガジン9・風塵だより・鈴木耕】2016年5月11日
http://www.magazine9.jp/article/hu-jin/27714/ 

ー前略ー
 
実はこの「憲法改正国民投票法」という法律は、考えようによってはかなり危険な内容を含んでいる。
そんな危惧を、きちんと表現してくれていたのが、新聞や雑誌、テレビなどのマスメディアではなく、なんと『通販生活』という通販カタログ雑誌である。
通販カタログではあるけれど、この雑誌、ただものじゃない。
毎号、そうとう政治や社会に踏み込んだ、中身の濃い特集を掲げることで、評価の高い雑誌なのだ。
 
ー中略ー
 
この雑誌が「憲法改正国民投票法」について、以下のような小特集を組んでいた。




迫力の太ゴチック文字で示された「テレビ意見広告」こそが、ぼくがかねてから危惧していた問題なのだ。
 
この記事では、国民投票法に詳しい南部義典さんが解説してくれている。
長くなるけれど、大切なことなので、抜粋しながら引用する。

今の「憲法改正国民投票法」では、改正賛成ないし反対のテレビCMは、おカネがあれば好きなだけ流せます
これって、とても不公平です。(略)

現行の国民投票法では、誰でも広告主となって、テレビ・ラジオなどの放送媒体、新聞・雑誌などの活字媒体に、投票を呼びかける広告を出すことができます
 
この「誰でも」を、最も影響力の大きい、テレビCMに適用して考えてみましょう。

広告主は、「九条改正案に賛成の投票をしよう!」「みんなで反対の投票をして否決に追い込もう!」といった内容で、15秒ないし30秒のCMを制作し、放送枠をどんどん買い取って、流していくことができます。(略)
 
もし、一方の陣営が、自分たちへの投票を呼びかけるCMを大量に流し続けた場合、
多くの有権者が、そのCMの強烈なイメージに影響されて、改正案の内容を熟慮することなく、投票してしまう恐れがあります。
テレビCMに、なかば「洗脳」された状態で、軽率な投票をしてしまう危険性が生じます。(略)

そこで、9年前に制定された国民投票法では、
「投票日の15日前までは、投票を呼びかけるテレビCMは流せるが、投票14日前から投票日までは、テレビCMは一切禁止」と定めました。(略)
 
しかし、私は、次の2点から、現行の国民投票法には問題があると考えています。
 
第1の問題は、投票を呼びかける「テレビCMの総量、回数」に関して、何の制限も設けていないことです。
 
つまり、お金のある陣営は、いくらでもテレビCMを買って、自分たちの主張を流せますが、
お金のない陣営は、テレビCMを買うことができず、資金に恵まれる陣営が、終始優位に立つことになるでしょう。
よく、「言論には言論で対抗すべき」と言われますが、CMに限っては、最初から資金力で差がついてしまうので、対抗のしようがありません
 
前述したように、国民投票法では、期日前投票に合わせて、投票日の14日前からはテレビCMを禁止しました。
しかし、最大180日ひく14日の166日間(注:発議された日から60日~180日までの間に、憲法改正国民投票が実施でき、発議から投票日までの間は「国民投票運動期間」といい、賛否両派のキャンペーンが展開される)、
大量のテレビCMが流し続けられれば、14日前からの2週間だけ禁止したところで、すでに「勝負あり」でしょう。(略)
 
第2の問題は、国民投票法が規制する「テレビCM」の対象が狭いため、「2週間禁止ルール」すら適用されないテレビCMが、流されてしまう可能性があることです。
 
国民投票法で、テレビCMの規制に関して定めているのは、第105条ですが、条文上、テレビCMのことを「国民投票運動のための広告放送」と明記しています。

「国民投票運動のため」とは?
 
国民投票法では、国民投票運動とは、「憲法改正案に対し、賛成又は反対の投票をし、又はしないように勧誘する行為」と定義しています(第100条の2)。
 
「勧誘」がキイワードです。

つまり、投票2週間前から禁止されるのは、憲法改正案に対して賛成・反対を「勧誘する」テレビCMで、賛成・反対を「勧誘しない」テレビCMは、放送してもよいことになるのです。
 
「私は九条改正に賛成します」「私は九条改正に反対します」という「自らの意見を表明するだけのテレビCM」は、「賛成・反対を勧誘するテレビCM」ではないので、期間を問わず、放送可能となるのです。
 
たとえば、投票日の数日前から、好感度の高いタレントたちに、
「私は改正案に賛成です」、または「反対です」と意見表明させるCMを大量に流せば、その効果は絶大
です。
 
現行の国民投票法のままでは、資金力に恵まれた陣営は、投票日直前まで「意見表明型テレビCM」を流すことができるのです。
 
以上、2つの問題を解決するには、
 
国会が、憲法改正を発議してから投票日まで、民間団体によるテレビCMの放送を全面禁止する
 
これしかありません。
そのためには、国民投票法を改正する必要があります。(以下略)

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どうだろうか。
南部さんが指摘している問題点は、少し考えれば誰にでも分かることだ。
現在、ほとんどの“財界人”と呼ばれるような大企業経営者たちは、安倍改憲に賛成ないし理解を示す、という態度だ。
彼らは今も、膨大な政治献金を、主に自民党につぎ込んでいる。
それを考えれば、テレビCMでの勝負は、結果がすでに見えている。
 
ここで、その典型的な例として、「原発安全神話」がなぜ作られたのかを思い起こしてほしい。
それは、「原発広告」に湯水のように注ぎ込まれた、膨大なカネの力によるものではなかったか。
 
原発と広告の黒い関係を追い続ける、本間龍さんの最新刊『原発プロパガンダ』(岩波新書)を読んでみれば、その凄まじさがよく分かる。
しかも、福島原発事故以降、控えられてきた原発広告がまたも復活して、原発立地県のテレビ局や、雑誌新聞などで流され始めた
上記の記事で南部さんが指摘した通り、“好感度タレント”たちが、カネで買われた鳥のように、またも“原発の安全”をさえずり始めたのだ。
 
つまり、電力会社や財界は、あれだけの事故にもかかわらず、巨大な広告費を、今でも費やすことができるわけだ。
 
これが「憲法改正国民投票」となったら、多分、その何倍ものカネが、財界筋から改憲派団体へ流れ、そこから凄まじい量の“改憲賛成テレビCM”、が垂れ流されるのは間違いない
南部さんの言うように、反対派は「対抗のしようがない」だろう。
だからこそ、最低でも、「憲法改正国民投票法第105条」は“改正”する必要があるのだ。


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こんな連中がほくそ笑むような結果にならないためにも。
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