ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「『吉田調書』流出で、安倍サイドの洗脳はぶちこわし」 by室井佑月氏

2014年06月05日 | 日本とわたし
「『吉田調書』流出で安倍サイドの洗脳はぶちこわし」
室井佑月さん
【週刊朝日】2014年6月13日号

先週のこの原稿にも書いたけれど、安倍総理は「美味しんぼ」騒動を踏まえて、
「政府としては、根拠のない風評を払拭していくためにも、しっかりと正確な情報を分かりやすく提供していく」と発言した。

本当にそうしてくれるんでしょうね? 
望むところだ、と思っていた。

しかし、5月23日付の「日刊ゲンダイ」に、

「安倍官邸が激怒! 福島原発『吉田調書』流出で“犯人捜し”」

という記事が出ていた。

安倍首相とその周辺の人達は、朝日新聞がスクープした、「吉田調書」にカンカンだというのだ。

「吉田調書」とは、朝日新聞によれば、
原発事故時の福島第一原子力発電所所長(当時の現場の最高責任者)の吉田昌郎氏が、政府事故調査・検証委員会の調べに対して答えた「聴取結果書」である。
今まで、非公開にしてたらしい。

A4判で、四百数十ページというその調書は、全7編で構成されていて、内容がとてもハードだ。

事故直後に、所員の9割にあたる約650人が、吉田所長の待機命令を無視して“逃亡”した
高濃度の放射性物質を放出する、ベントの準備を密かに進め、住民が大量被曝する恐れがあったこと……。


国は、福島原発事故の話題を、「風評被害」などという小賢しい言葉を使って、国民が忘れるようにし向けてる
そして実際、結構な数の人間が、国の思惑に踊らされている

でも、こんなもの(吉田調書)が出て来たら、少しずつ上手くいきつつある、国の国民への洗脳がぶちこわしだよな
だから、安倍サイドはカンカンなんだろう。

「官邸ではいま、『一体誰が朝日の記者に吉田調書を流したのか』と“犯人捜し”が始まっています。
菅官房長官は、『(調書は絶対に)公開しない』と憤然としている
とくに安倍周辺は、原発は過酷事故が起きれば、電力会社さえもコントロール不能に陥る――という解説部分が気に入らないらしい。
原発再稼働に突き進む安倍政権にとって、少しでも反原発につながる動きは許せないのでしょう」

これは、記事の中で、官邸事情通という人がいっていること。

安倍さんが本気で、「(国民に)しっかりと正確な情報を分かりやすく提供していく」というなら、なにも問題ないじゃんね。

事故後の福島第一原発で、なにが起きていたか書かれている「吉田調書」を、積極的に「しっかりと正確」に、国民に公開してよ。

そうそう、記事には、

「『特定秘密保護法』が施行されていれば、『吉田調書』は確実に“闇”に葬られていた」
「『吉田調書を入手した朝日の記者も、渡した役人も、逮捕される事態になっていたでしょう』
(司法ジャーナリスト)」

だって。
おお、怖い。

安倍さんも、ここまで来て、まだ嘘ばっかつくって、ある意味すごい。
そして、それを信じる人がいるのも、あたしにとっては衝撃的。
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リニアの正体

2014年06月05日 | 日本とわたし
ものすごく汚染された水が、地下に、海にダダ漏れで、溶けた核燃料がいったいどこに行ってしもたのかもわからないという、
3年以上もの間、毎日毎日、とんでもなく酷い汚染を地球に与え続けてる国が、

なぁ~にがリニアやっ!!と、わたしは思います。

その上、↓こんなにいい加減なことを言うてる連中が、この計画の中心に居るんですよ。
まるで、原子力発電所のような世界ではありませんか!

しかも、全線の8割(ほとんど)が真っ暗なトンネルの中って……。
わたしは、あのテロの後からずっと、たかだか2キロちょっとのリンカーントンネルを運転するたんびに、もしものことがあったら……と覚悟しながら走ってるので、
とてもじゃないけれども、成り立ちや関係者(特に電力会社や御用学者、御用科学者)、それから環境の現実、そのどれをとっても恐ろしい乗りものに、乗りたいとは思えません。


リニア・市民ネット リニアは夢の乗りものか?~リニア中央新幹線計画を問い直す

リニアという乗りものが、いったいどのようなものか、そのことをきちんと調べてくださった『リニア・市民ネット』さん。
みなさんにもぜひ、読んでいただきたいと思い、ここに転載させていただきます。

リニアの検証

技術・エネルギー問題

Q. リニアで過去に起こった事故はありますか?

宮崎実験線や、ドイツでも走行実験中に大事故が起きました。

1991年10月3日に、リニア宮崎実験線で、車輌が全焼する事故が起こりました。
そのため、今回のリニア中央新幹線においても、絶対安全が保障され、利用者からも信頼を得られるかは、死活的な問題です。
例としては、事故一機で、ドイツのリニアも、超高速機コンコルドも、実現化しなかった事実を忘れてはなりません。



Q. 時速500キロで走行するリニアは、緊急時や災害時にどのように停車できるのですか?

リニアは運転手のいない無人の乗り物です。
リニアの加速、減速、停車は、直接的には変電所(送電線からの電量を、電力変換変電所で受電)を通じて行われます。


このため、列車位置を知るために、列車に発信機をのせ、ガイドウェイに交差誘導線を張りめぐらせて、「中央指令所」にて、列車位置信号を受信する仕組みを導入しています。
そのため、全線81%と、ほとんどがトンネルの中を走行するリニアは、
災害時に、もし発信器が、故障や停電で発信できなくなったり、妨害電波があったり、受信の途中で故障、断線、停電などで信号が消えてしまうと、
中央指令所では、列車位置や速度が分からなくなり、制御できなくなってしまいます



Q. 都市部での大深度地下、長大山岳トンネル内における緊急停止、避難対策、技術対策は万全なのでしょうか?

大深度地下というのは、地震の影響を受けにくいと言われていますが、
問題は、地表部までの駅務室、通路、出口等に被害を受けた場合、運行に与える影響は計り知れません。


磁力で直線走行するリニアにとって、数ミリのガイドウェイの破損やズレは、致命的です。



・ 国土交通省の交通政策審議会における、リニアの技術検討の公表では、
火災については、
トンネルの中で止まると大変であるので、必ず安全なところまでまず走る、というのが基本」とのことです。
そして、
万が一、トンネルの中で止まってしまった場合は、通路において安全に避難できるように」としています。
また、
地震で停電しても、電磁誘導作用により、車輌の浮上状態を維持」、
早期地震警報システムによる地震見地後、速やかに車輌にブレーキ作動」、
ガイドウェイの中を、磁気に縛られて走っているので、基本的に脱線という概念がない」との情報です。

・ しかし、特に南アルプスを貫通するCルートにおいては、今後30年以内に、マグニチュード8程度の東海地震が発生する確率が、87%とされています。 
全長20kmにも及ぶ、長大山岳トンネルにおいて、万が一地震が発生した場合
土砂崩れや活断層の影響等で、ガイドウェイがずれたり破壊される」、
または、
推進案内用のコイルの位置が狂ってしまうことで、列車が異常な蛇行をして、ガイドウェイに激突したり、脱線する」ことはないのでしょうか。
また、そういった状況下で、果たして時速500キロで走行するリニアを、安全に緊急停車し
南アルプス山中における通路、地上出口へと、乗客を安全に避難させることができるのでしょうか?
 


地震によるガイドウェイに破損、故障があった場合、簡単に修理ができず、復旧に長時間を要します。

ガイドウェイには、新幹線の6倍と、膨大な建設費がかかりますが、地震などの際、修理するのも大変です。
また、点検して運転再開をするにも、時間を要します。
こだま型の車両が停車する駅があると、この巨大なガイドウェイを、ポイント切り替えしなければなりません。
新幹線なら数秒で済むこの切り替えが、30秒かかります。
直線で、数キロメートルの長さ(重さ340トン)のものを、動かす必要があります



Q. JR東海のリニアは、どれほど電力を使用するのでしょうか。

未発表のため明らかではありませんが、座席数、走行本数が新幹線と同じとして、総電力容量は544万KWとなり、これは原発5基に相当する電力です。
リニアの電力消費量は莫大です。

(山梨県立大学の学長、伊藤洋氏は、ドイツの「トランスラピッド」の、1両当たり10MW/50人 を基礎に試算)

リニアは、在来の新幹線の、3~5倍の電力を必要とします。
電力消費については、20年前1989年に、朝日新聞紙上で論争がありました。

元国鉄技師で、リニアの提唱者であった川端俊夫氏は、「新幹線の40倍」とし、その浪費構造を批判、
これに対して、鉄道総合技術研究所理事長の尾関雅則氏は、「東京―大阪間のシステム設計では、新幹線の3倍を計画している」と反論しています。

過剰なエネルギー浪費型の乗り物です。また建設中にかかる環境負荷も計り知れません。

・ リニアは浮上するために、できるだけ車体を軽くし、空気抵抗も減らしたい、ということで、幅を小さくして設計しています。
この通りに、構造的に、または技術的に、エネルギー消費量を減らせるとすれば、
それは、新幹線の技術でもほとんど同様なはずであり、電力消費量が数倍であることに変わりはなく、
いずれにしても、過剰なエネルギー浪費です。

・ 東京電力は、山梨リニア実験線の変電所等に送電するために、新潟県の柏崎刈羽原子力発電所から山梨県に、超高圧100万ボルト送電線の鉄塔工事を進め、
すでに新潟、群馬、長野、山梨にわたって、数百基に及ぶ膨大な数の、送電網が建設されています

これは、大地震でストップする前のことですが、原発建設が猛反対に会う中で、リニアが電力需要の一つとして、原発増設の理由とされました


Q. リニアのCO2の排出量はどれくらいでしょうか。

JR東海は、「CO2排出量で新幹線『のぞみ』の3倍で、航空機の3分の1以下」という、おおよそな言い方をしているのみです。

現在の、山梨リニア実験線での実践、あるいは実用線での計算等は、まったく公開されていません
また、審議会でも、
「Cルートは最短ルートであるため、CO2排出量は、当然のこととして最も少なくなる」
「地表をたくさん通るよりは、(大深度地下利用で)少し通った方がよい。用地買収も少ないし環境の負荷も少ない」などと、
そもそも、原発増発や大規模な生態系破壊による、CO2排出量や影響等が、議論さえされていません。
リニアは、「環境に優しい」という文句からはかけ離れた、エネルギー浪費型の乗り物です。



<用語>

◆ガイドウェイ

・ リニアの場合、鉄輪鉄道の様なレールは使われず、レールはコンクリート製の枠です。
その構造上、直線的なコースが要求されます。

・ リニアでは、車体に発信器をのせ、ガイドウェイに張りめぐらせた「交差誘導線」に対して、列車の位置を車体側から発信することで、
「中央司令所」のコンピューターが、列車の位置を知る仕組みになっています。
列車の位置とスピードを知って、「中央指令所」・「変電所」から、それに合わせた波形(位相・周波数・強度)の電流が送られます。

◆大深度地下利用
リニア中央新幹線では、東京・名古屋・大阪の大都市圏を通るため、円滑な用地確保策として、
「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」(2001年4月施行)による、大深度地下空間の利用(地下40m以深)が想定されています。


↑以上、転載おわり
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独りごつ

2014年06月04日 | ひとりごと
気温の上り下がりの激しい毎日が続いています。
そうかと思うと大雨が降ったり、雷が鳴ったり、なんの季節なのかよくわからない、といった感じ。

今年は、窓ガラスに体当たりする鳥が、例年よりも多い気がします。
たいていは、失神したまま地面に落ちたのを、窓越しにドキドキしながら見守っていると、数分後にまた気がついて飛んで行くのですが、
この時のは、そういうわけにはいきませんでした……。



多分、泥遊びした後に、ぶつかってしまったのだと思います。

見るたびに思い出して悲しくなるので、拭き取ることにしました。



この2重窓のシステムは、とても便利で気に入っています。
一番安価な窓枠だそうですが、どちらもレバーを外すと部屋の内側に倒れてきて、外側の窓拭きがとても楽にできます。



今日は、ピアノ弾きとして、絶対にやってはいけない、とんでもないミスをしてしまいました。

14年使ったジューサー・ミキサーが、使用中にモーターが焦げたような臭いがするようになったので、買い替えたのですが、
それを箱から出し、サッと軽く洗っておこうと分解している時に、
底の、歯のついた部分がとても外しにくかったので、つい力を入れたら……急に外れて、気がついたら、中指の先に刃が食い込んでしまっていました。

いやあ、たくさんの血が噴き出すように出て、鼓動と一緒にビンビンビンビンしています。

明日は、伴奏バイトのコンサートなのになあ……およよ……。

パソコンのキーぐらいなら、中指を外して叩けるけれども……。
明日の次は、翌週の木曜日に、最後のコンサートが控えているので、リハーサルもてんこ盛りです。

旦那に、痛み止めのツボを教えてもらいました。
自己治癒促進のために、今夜は早寝します。
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超緊急署名『原子力村の、原子力村による、原子力村の為の人事はもうたくさん!規制委の人事案反対!』

2014年06月04日 | 日本とわたし
すごく緊急で申し訳ありませんが、もう締切間際です!
どうか、よろしくお願いします!

【緊急署名】
原子力村の、原子力村による、原子力村のための人事は、もうたくさん! 
原子力規制委の人事案に反対!

(締切:6月5日朝9時)

原子力規制委の人事案が政府から示され、国会で審議されようとしています。
なかでも問題なのは、田中知氏の人事案。これを認めてしまえば、原子力推進派はやりたい放題です。

今だって問題だらけの形だけ審査をやっている原子力規制委員会ですが、「原子力村の、原子力村による、原子力村のための」原子力規制と化してしまいます。

何よりも、政府は自らがつくった規制委の人事のルール(原子力事業者/関連団体出身ではないこと、原子力事業者等からお金をもらっていないこと)を守るべきではないでしょうか?

ということで、以下のような緊急署名を始めました。

「こんな人事案は認められない!」「3.11を忘れるな!」という声を国会に届けましょう!拡散お願いします。
--------------------------------------------------------

【緊急署名】 原子力規制委 原子力ムラ人事案にノー!
国会議員のみなさま
原子力規制委員会の人事案に反対をしてください!

署名フォーム1(PCのみ)http://goo.gl/KvgRwo
署名フォーム2(携帯&PC)https://pro.form-mailer.jp/fms/0f88850f59845
--------------------------------------------------------

締切:6月5日(木)朝9時 
★この署名は、6月5日(木)午後に、主要な国会議員の事務所に提出予定です。
ぜひ、提出行動にもご参加ください。
提出行動集合 14:30に、参議院議員会館ロビー
★提出行動のあと、15:30から衆議院第二議員会館前で抗議行動を行います。
こちらもぜひ!

--------------------------------------------------------

政府が国会に提示した原子力規制委員会の人事案に反対してください。

とりわけ、田中知氏は「原子力ムラ」の中心人物であるばかりか二重の意味で、原子力規制委員会の委員として欠格です。

1.2011年から2012年にかけて、「原子力産業協会」の役員を務めていた。
2.日立GEニュークリア・エナジー東京電力の関連団体から、献金や報酬を受けていた。


2012年7月3日に、内閣官房原子力安全規制組織等改革準備室が出した文書の、「欠格要件」に関する記載には、
就任前直近3年間に、原子力事業者及びその団体の役員、従業者等であった者」とあり、
政府の関連文書に列記された団体には、「原子力産業協会」が明記されています。

また、同文章には、「就任前直近3年間に、同一の原子力事業者等から、個人として、一定額以上の報酬等を受領していた者」としています。

今回の人事が強行されれば、「原子力ムラ」の公然たる復活であり、福島原発事故がなかったかのような暴挙にほかなりません。
政府は、自らが定めたルールを守るべきです。
国会議員には、一人ひとりの良識を発揮して、このとんでもない人事案に対して、反対することを求めます。

呼びかけ団体:
原子力規制を監視する市民の会
脱原発福島ネットワーク
原発いらない福島の女たち
ハイロアクション福島
反原発・かごしまネット
FoE Japan
福島老朽原発を考える会
核燃サイクル阻止1万人訴訟原告団
核燃料廃棄物搬入阻止実行委員会
グリーン・アクション
美浜・大飯・高浜原発に反対する大阪の会
玄海原発プルサーマルと全基をみんなで止める裁判の会
柏崎刈羽原発反対地元三団体
原発からいのちとふるさとを守る県民の会
フクシマ・アクション・プロジェクト
ふくしまWAWAWA-環・話・和ーの会


※問い合わせ先
原子力規制を監視する市民の会
TEL/03-5225-7213
FAX/03-5225-7214
〒162-0822 東京都新宿区下宮比町3-12明成ビル302号

--------------------------------------------------------
★下記の通り、原子力規制委の人事案に反対する抗議行動を行います。ご参加ください。

・日時:6月3日(火)18時30分~20時、
・場所:首相官邸前(国会議事堂前駅)、
・呼びかけ:原子力規制を監視する市民の会 http://goo.gl/SzHRiL

・日時:6月5日(木)15:30~16:30
・場所:衆議院第二議員会館前
・呼びかけ:原子力規制を監視する市民の会

--------------------------------------------------------

【関連情報】
[談話]田中知氏の原子力規制委員会委員への任命案について(原発ゼロの会)
http://genpatsuzero.sblo.jp/article/98410602.html

[社説]規制委人事案 撤回も視野に再検討を(5月31日、北海道新聞)
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/editorial/542587.html

規制委員候補に電力側から報酬 田中教授、50万円超(5月27日、共同)
http://www.47news.jp/CN/201405/CN2014052701002272.html

[書き起こし]規制委の「中立」基準 適用せず
(5月30日、東京新聞「こちら特報部」)
http://magicmemo.cocolog-nifty.com/blog/2014/05/580-2044.html
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「つまり事故は、対策をしていれば防げた人災だったんだ」高校生が作成した国会事故調報告書解説ビデオ

2014年06月03日 | 日本とわたし
国会事故調の報告書は、大人が読んでも難しい内容のものです。
それを、高校生たちが、自分たちで読み解く、という勉強会を開き、自分たちで解説のビデオまでつくってくれました。
それを今朝、観させてもらい、とても感心しましたし、非常に分かりやすかったので、ぜひみなさんにも!と思い、文字起こししました。

文字の強調はわたしの考えで行いました。

わかりやすいプロジェクト
国会事故調編




国会事故調ってなに?

技術大国の日本で、深刻な原発事故が起こってしまったことに、世界中の人々がショックを受けた。
福島の原発事故は、世界の歴史に残る、大変な事故だった。
大きな犠牲を払った事故だったからこそ、しっかりした調査をして、これからに生かさないと。
でも、これがとても難しい。

東京電力も政府も、それぞれ事故の報告書を出した。
でも、東京電力も政府も、原発の運営、事故の対応、という形で、原発事故の当事者だった。
これでは、国民の信頼を得られないよね。

そこで、国民の代表であり、法律を作る力を持っている国会が、憲法に則って、調査する強い権限を持ち、独立した調査委員会を設置した
海外では、重大な問題があれば、こういうことはよくするんだ。
でも、日本では、歴史上初めてだった
10人の委員、サポートをしたスタッフは、政府や東京電力とは関係の無い人たちだった。
原子力についても、いろいろな意見の人が入っていた。
独立性という意味で東電や政府より、調査権限という意味で民間より、国会事故調はより理想的な形だったんだね。

委員長を務めた黒川さんは、三つの柱を掲げた。
・国民の視点を大切にすること。
・世界に向けて発信すること。
そして、
・未来を向いたものであること。


述べ1167人、900時間に渡るヒヤリングをし、2000件を超えて資料請求をした。
そして完成したのが『国会事故調 報告書』


わかりやすいプロジェクト『国会事故調』編では、592ページにも及ぶこの報告書から、大切な所をまとめて、その概要を説明するよ。




事故は防げなかったの?

東京電力は最初、「事故は想定外の津波によるもの」って言ったんだ。
つまり、津波のせいで事故になった。
こんなリスクがあるなんて知らなかった。
ということだね。
言い換えると、この事故は、天災だったって。
でも、これって、本当だろうか。

津波のせいだけで事故になったかは、よくわからない
地震の揺れで、原発が傷ついた可能性も、否定できない
800億円の耐震補強工事が必要とされていたが、1号機、2号機、3号機では、全く実施されていなかったんだ。
さらに今回の地震は、工事が必要と考えられていた基準よりも、激しかったんだ。

原発が危険だって、知らなかったんだろうか

原発を造った1974年は、福島の辺りは、地震や津波の危険が少ない、と思われていた
でも、新しい調査(2000年)で、福島も安全ではない、とわかっていた
じゃあ、東電も、見張り役の規制当局も、どうして充分な安全対策をしてこなかったんだろうか。

原発は安全、事故は起こらないっていう思い込みを、東電も規制当局もしてきた
止める、冷やす、閉じ込める、という三つの安全システムで、どんな時も大丈夫だって信じてきた
それで、本当の安全を確保することよりも、今ある原子炉を止めないことを、優先するようになってしまった
万が一に備えて、漏れる放射能を食い止める、周辺住民の安全を確保する、の視点も足して、
五つの防護で考えるのが世界の常識だったのに……。

震災が起こるまでに、対策のチャンスはあった
でも、2009年までに地震対策をさせる予定を、2016年まで延期するのを認めてしまった
2006年には、大きな津波で大変な事故になる可能性を知っていたのに、何もしなかった
世界の他の国々や国際機関に比べても、日本は対策を後回しにしてきた。
東電は、事故を振り返ると、問題は、事前の備えができていなかったこと、と言い直している。

つまり、事故は、対策をしていれば防げた、人災だったんだ。




事故の時、原発の中で、なにが起こっていたの?

これを理解するために、発電所や原子力エネルギーの仕組みを見てみよう。

発電所っていうのは、大きな薬缶。
水を熱して、水蒸気でタービンを回して、電気を起こしているんだ。
これを原発では、火ではなく、原子力で熱しているんだね。
原子力は、もっのすごぉ~いエネルギーで、700個もの薬缶の水を、わずか1秒で、カラカラに蒸発させてしまうほどなんだ。
原子力エネルギーは、ウランを分裂させることによって、95%の運動エネルギーと、5%の放射性エネルギーを生んでいる
運動エネルギーはタービンを回して、すぐに電気となるとなるから、緊急停止ですぐに止めることができる。
でも、放射性エネルギーは、化学反応を止めても発熱をやめない
だから、これまたものすごい量の水で、常に冷やし続けておかなければいけないんだ。
原子炉の中でもし、冷やすことに失敗したら、放射性エネルギーが制御できない状態になる
高温になった水蒸気と燃料の入れ物が、化学反応を起こして、水素が発生する。
そして、水素が発生しても、爆発しないようにするためにするのが、原子炉を開けて空気を逃がす『ベント』と呼ばれる換気の作業だ。
でも、この作業が万が一失敗すると、激しい水素爆発を起こしてしまうんだ。
放射能はずうっと出続け、1トンの使用済み燃料に含まれる放射性物質は、1000年後に琵琶湖の水で薄めても、飲めないほどなんだ。

このような事故が起きないように、止める、冷やす、閉じ込める、の機能があるから、原発は安全だって主張されてきた。
でも、ベントの機能を動かすための電源が失われてしまって、原子炉の事故になってしまった。
安全と信じるのではなく、事故は起きるかもしれないと考えて、徹底した危難訓練をしていれば、被害を小さくできたかもしれないのに……。

女川や東海第二などの原発では、電源が失われなかったけれども、
もし満潮であったり、悪天候であったりして、事故発生のタイミングが悪かったら、もっと深刻な事故になっていた可能性もある。

ものすごいエネルギーを生み出す原子炉は、その仕組みが壊れると、それだけ大きな被害を生み出してしまうんだね。




事故の後の対応をどうしたらよかったの?

本当に良い危機管理とは、それぞれが自分の役割に集中することで、被害を出来る限り小さくすることだよね。
理想としては、原発の専門家である東京電力が、事故を収めることに集中し、政府は、住民の安全確保するために全力を尽くすことだった。

でも、このような役割決めさえ、もとからされていなかった
だから、総理たち、政府、東電の、事故対応への力の注ぎ方は、めちゃくちゃだった
同時に、住民の方々の避難も、大混乱した。

3月11日、事故発生の夜、総理たちは、東電の本社や原子力に関する規制当局の政府スタッフと、緊急ミーティングをした。
だけど、東電の責任者である会長も社長も居なくて、満足な説明を得られなかった。
総理たちは 深夜にベントの指令を出したのに、東電本社から実施報告が無いことに苛立ちを覚え、原発訪問を決意した。
この時、安全のルールと設定し助言する組織、原子力安全委員会のトップから、爆発の心配は無い、という説明を受けていた
それでも総理は、原発を訪問した時、東電の現地スタッフに、ベントを確実にやるように、と念を押した

それから、原発では、必死の努力が続けられ、ベントに成功したものの、1号機で水素爆発が起こってしまった。
それで、東電本社も、政府スタッフも、総理の信頼を一気に失ってしまった。
13日に入って、現地では、3号機の水素爆発を避けるための、必死の努力が為されるが、14日に爆発
同時に、水のつながりが壊れてしまったため、注水をしなければいけなくなった。
そしてついには、2号機の燃料も、剥き出しになってしまった
夕方、この深刻な事態を受け、東京電力は、原子炉に対するコントロールを維持しながら、一時的に安全な場所に避難することを考え始めた。
東京電力は、あいまいな説明しかせず、総理たちはこれを、全員撤退だと受け取ってしまった
総理は、15日朝、東京電力に直接赴き、撤退拒否の激しい演説をした

このような対応は、現場の指揮命令系統の混乱も起こした
また、表面的な訓練だけしか為されていなかったため、避難区域の設定や伝達も、住民の方々の健康と安全を守るものではなかった
汚水の処理も、何度もくり返し指摘されたのに、後回しになってしまった
昼夜かまわず取り組んだ関係者には、深い敬意を払わなければいけない
しかし、事前から、もっと真摯に事故対策を考え、役割分担をできなかったのか、という悔いは止まない




被害を小さくとどめられなかったの?

福島の原発事故で、最も大きな被害を受けたのが、地元の住民の方々だった。
避難の時の負担を、もっと小さくできなかったんだろうか。

国会事故調では、タウンミーティングで、400人を超える被災者の声を聞き、1万人を超える被災地の住民に、様々な調査を行った。
つまり、様々な立場の人から話を聞いて、問題を振り返ったんだね。

三つ、大切な問題点がわかった。

一つめは、
原発事故や放射能についての情報を、住民の方に伝えるのが遅れてしまった、ということ。
避難指示が出てから、事故発生そのものについて初めて知った方々や、避難期間を知らされず、数日で戻れると思って、大切な物を持たずに避難された方も多かった。
事故発生後、みんなが速やかに避難できれば良かったけれど、多くの村で避難に遅れが出てしまった。


二つめは、
避難区域が何度も変わったことが、大きな負担になってしまったこと。
このせいで、5回、6回も避難し直さなければならなかった方も多かった。
例えば、避難した病院の患者や、介護施設の高齢者、計60人の方々が、避難の途中や直後に亡くなってしまった。
屋内避難を指示された地域でも、食べ物や交通などの不便から、生活が立ち行かなくなってしまった。
30キロ圏内は、みなさん自身で判断して避難してくださいね、ということだったけれど、判断するための、健康や安全に関する情報には、デマや噂が混ざり、判断できるような状況ではなかった。


三つめは、
今までの避難計画や訓練が、全く役に立たなかった、ということ。
地震、津波、そして原発事故が、同時に起こると想定していなかったことや、例え事故があっても、これほどひどいものになるとは、考えていなかったことが原因だ。
そもそも以前から、危険かもしれないとわかっていたけれど、対策の負担が重過ぎるからと、保安院が、厳重な訓練をすることに反対してきたんだ。
SPEEDIという、放射能の広がりを予測するシステムは、分散されたたくさんの監視測定ポイントや、原子炉のデータが不可欠だった。
でも、政府や自治体は、その設備を怠り、必要なデータも取れなかった
事故の進展が急だった今回のような事故では、役に立たなかった。
事故の発生後、避難の過程で、住民は大切なものを失い、心の元気まで失ってしまった人が、とても多かった。
もともと、最悪の場合に備えて計画を立てていれば、被害を小さく止められたかもしれない





原発をめぐる社会の仕組みの課題ってなに?

原子力発電所は、経済や産業を活発にするエネルギーを作ってくれるけれど、事故が起きると、地元の地域を台無しにしてしまう

難しいのは、事故を起こさないための安全対策は、時間もお金も手間もかかるということ。
だから、独立した人たちが、見張りをしていなければいけない
そして、見張りをしている人が、本当に独立している、ということを社会が確認できれば、納得できるよね。
つまり、独立性と公開制が大切なんだね。
そのためには、規制委員会に、国際的な見知や最先端の知識を取り入れ、地域の方々の意見も反映し、そして、見張り役が、原発を運営する時のルールを設定しなければいけない。
その上で、事業者と実効性を話し合って、安全確保のために必要な対策を、とっていけばいいんだね。
そして、なるべく早い段階から、社会の目が届くようにできればいい。


でも、実態は全然違った

どのようなルールを作るか、という段階から、安全対策なんてめんどくさい、と思っている事業者が、規制当局にも学者にも、働きかけを行っていた
だから、国際的な知識にも目を向けず、住民の不安も、原発は安全、と抑え込まれ、今ある原子炉を止めない範囲のみでしか、規制がかけられなくなってしまった

つまり、本当は独立しているべき規制当局が、事業者の虜になってしまったんだ。

法律も、事故が起こってしまった場合の、事業者と政府の、それぞれの役割を明記し、原発の推進よりも、国民の安全や健康を、第一にしなければいけないよね。

でも、法律も、そのようにはできていなかった

事故を起こしてしまった福島原発はあるし、日本全国にある原発には、使い終わった核燃料がたくさんある。
日本の安全のためには、この使用済み核燃料を、きちんと冷やし続けないといけない。
日本は、原発と、それに伴うリスクから、逃げられないんだ。

原子力発電所がいいかどうか、意見が分かれるところだけど、どちらにせよ、そのリスクを直視すること
民主主義の仕組みをちゃんと動かし、国民の声が、政策や政治に反映されるような仕組みを作っていかなければと、
国会事故調は、今回の反省を結論づけているんだ。
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本来『公僕』であるはずの公務員達が、権力の意思を汲み、それぞれの場で市民を抑えにかかってきている

2014年06月02日 | 日本とわたし
市民メディアリベラル21の記事を紹介させていただきます。

↓以下、転載はじめ
(文字の強調は、わたし自身の考えで行いました)

リベラル21
私たちは護憲・軍縮・共生を掲げてインターネット上に市民のメディア、リベラル21を創った。


自民党と安倍政権の権力が浸み込み始めた
2014.06.02 メール通信「昔あったづもな」第13号              
小澤俊夫 (小澤昔ばなし研究所所長)
               
4月21日、午後7時のNHKニュースを見て驚いた。
地方自治体が、市民の講演会や展示会に対して、会場の提供を拒否したり、会の後援を断ったりするケースが急増している、というのである。
理由は、「政治的中立を配慮する」ということだそうだ。

調査は、県庁所在地、政令指定都市と、東京23区についてのものだそうだが、その自治体の対応内容は、
会場使用を断ったものが奈良市で2件
内容の変更を求めたものが東京都、福井県、京都市など5自治体で6件
会の後援申請を断ったものが札幌市、宮城県、茨城県、京都市、神戸市、福岡市など14自治体で22件
あったということだ。

会合の内容は、
憲法に関すること11件
原発に関すること7
その他に社会保障、税金、介護、TPP問題など
であったとのこと。

いずれも市民にとって切実な問題である。
 
地方公共団体が、市民の活動に制限をかけてくるのは、大きく言えば、時の政権の顔色を窺って、その意を汲んでのことであろう。
末端の公務員が、政権の意を汲んで、政権のやりたい方向に働くことは、極めて危険な傾向である。

その典型的なケースは、日本の軍隊であった。
軍隊では、どの階級の軍人にとっても、それぞれの上官の命令は絶対だった。
戦闘行動ではもちろんこと、日常の行動でも、「命令である」と言われたら、絶対に服従しなければならなかった
なぜならば、「上官の命令は、天皇陛下の命令である」ということになっていたからである。
だが、たとえ戦闘行動の最中でも、一つ一つの場面での命令が、天皇の命令であるはずはない
その場その場で思いついた、命令である。
しかし、それを、あたかも天皇の命令であるかのようにして、強制力をもたせ、全員に従わせた

上に述べた会場使用の拒否にしても、内容変更の要求にしても、後援申請の拒否にしても、
管轄する総務省の、大臣からの指示ではあるまい。
いわんや、安倍首相からの指示ではあるまい。
末端の公務員が、思いついた規制であろう。
だが、それをあたかも、国家の大命令であるかのように強く、絶対的な規制として、市民に強要する
この構造は、ぼくの目から見ると、戦争中の日本軍の命令構造と、同じものに見える
 
この命令構造によって、軍の権力の意志は、一兵卒に至るまで浸透したのであった。
そして、今、平和であるはずの日本社会で、天皇ならぬ、安倍首相の意思が、市民の心の中に浸み込んできているのである。
非常に危険なことだと思う。

これと同じことが、生活保護申請についても起きているそうだ。

5月9日の「東京新聞」朝刊によれば、
生活保護費の不正受給に関する情報を、市民から募る専用電話が、少なくとも12の都市で開設されるそうだ。
設置した市は、「不正受給が増え、行政だけでは発見できない事案もある」と言っているそうだが、
これは明らかに、市民の「相互監視社会」を作ることになる。
現行憲法のもとでは、絶対に認められない制度である。
だが、この制度も、大臣からの指示ではなく、末端の公務員の工夫であろう
公務員は本来、「公僕」なのであって、市民の側に立って発想するべきなのだ。
にも拘らずこの制度は、市民監視の権力側の発想に立っている

末端の公務員の、自主的発想の右傾化は、大学にも及んでいる

5月21日の「東京新聞」によれば、
2月に完成したばかりの京都大学医学部資料館で、戦争中に、細菌兵器の開発を行った七三一部隊について説明する展示パネルが、完成記念式典後、撤去されたということだ。
 
七三一部隊というのは、関東軍防疫給水部のことで、
1936年、中国東北部ハルビン市郊外に、細菌研究室や特設監獄などを建設し、中国人、ロシア人捕虜に、人体実験をした
その犠牲者は、3千人とも言われている。
京大医学部は、部隊長石井四郎が卒業生であったため、どのように関与したかを解説するパネルを、2枚展示したのだった。
 
このパネル撤去も、文部科学省からの命令ではなかっただろう。
京都大学の事務官(これも公務員である)が、直接的には文科大臣、間接的には安倍首相をはじめとする、
いわゆる「自虐史観批判者」たちの意向を汲んで、おこなったものと考えられる

こうやって、安倍首相はじめ、現在の権力者たちの国家主義的政策が、この国の隅々まで浸透しつつある
本来、「公僕」であるはずの公務員たちが、それぞれの場で、「役人」として、権力の意思を汲んで、市民をおさえにかかってきている
その意味でも、「あの日本をとりかえそう」としているのである。
これが進んでいくと、ボールは止まらなくなる。

↑以上、転載おわり


この方が書かれているような事柄に、直接関わられた方はいらっしゃいますか?
しみじみと、本当に、恐ろしくなりました。
この、現実の社会の中で、じわじわと迫ってきている『あの日本』を、強く感じました。
その場に立ち会われた方は、勇気を出して、ひとりでは難しかったら何人かと一緒に、おかしいではないですかと抗議してください。

抑え込まれたら、押し返してください。
公務員は公僕。
このことは、厳然たる事実です。
特に、市民の「相互監視社会」を作るなど、もっての他です!
現行憲法のもとでは、絶対に認められない制度です。
しっかりしてください。
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「日本の軍隊は歴史的に、国体のために国民に死ねと言ってきた」「驚くべきことに歴史はくり返す」

2014年06月02日 | 日本とわたし
岩上氏が、クロストーク第2回「木村朗×植草一秀×川内博史×岩上安身」の模様を、実況ツィートしてくださいました。
『川内原発の再稼働、消費税増税とTPP、集団的自衛権行使容認、米国と中国の戦略』などについて、討論されたものです。

ツィートは140文字制限があるため、一回分として内容をまとめるのはなかなか難しく、細かな部分は省略せざるを得ないような場合もあります。
それらを踏まえた上でお読みください。
では、紹介させていただきます。

↓以下、転載はじめ

■まずは、川内原発の再稼働問題について。

岩上氏:
ここに来て、桜島の活動が非常に活発になってきています

川内氏:
今日は、川内原発再稼働反対の国会包囲が行われていまして、先ほどまでそちらに参加していました。
運動が継続されることは、非常に重要

岩上氏:
福井地裁の再稼働差し止め判決はどう受け止めましたか。

川内氏:
画期的であり、かつ、人間の命が優先であると、ある意味で当然の判決です。
脱原発が、日本人の心根に、しっかりと位置づけられていることの証左であるだろう、と思います。

川内原発について、地元住民は、非常に心配しています
他方で、九州電力、安倍総理は、何としてでも動かしたい、と。
原子力規制委員会も、島崎委員を変えてまでも動かしたい、と考えている。
どんな理屈を立てようと、再稼働をさせてはならないと思います。

岩上氏:
規制委員会の人事として、島崎さんに代わり、田中知さんと石渡さんが就任されますね。
これは、再稼働を前提としたシフトなのでしょうか。

川内氏:安倍総理は、『政府一丸となって再稼働に邁進する』と言いました
政府の中には当然、規制委員会も含まれます

断層か断層でないか、活断層かそうでないか、色々と議論があると思います。
しかし、この断層が動かないと断言出来る方はいないはずです。
『絶対』という言葉は、絶対に使えないはず。
いま行われている議論は、『ある一定の枠』がはめられている訳ですね。

岩上氏:
原発は、交通が不便な立地にあります。
道路が寸断されて避難できないような場所が、たくさんありますよね。

川内氏:
地震予知連絡会の会長は、桜島が大噴火することは、『するともしないとも言えない』と言っています
桜島は、いつ大きな噴火が起きてもおかしくない状態です。
川内原発のサイトのすぐそばには、桜島の、過去の噴火の跡が確認できます。
噴火が明日起きるかもしれない、ということは、誰も否定することはできないはずです。
九州電力や原子力ムラは、基準地震動のうち、一番小さいものを採用しています
それを採用したら、川内原発のストレステストにおけるクリフエッジを、超えてしまうのです。

岩上:
あり得る地震の想定でも、それを上回っているのですね。

木村氏:
川内原発再稼働の差し止め訴訟の原告団・副団長に、名前を連ねています。
先月の終わり、仮処分を求める訴訟を、鹿児島・宮崎・熊本で、12の原告を立てました
福井地裁の画期的な判決を受けて、私たちも力を得ました。

鹿児島の多数の方は、原発をやめてほしいと思っています
しかし川内の地元の中では、そういうことをはっきりと言えない方がいるなかで、自治体は再稼働を進めていると。
地元の反原発ネットワークを中心にして、集会を行いたいと思います。

岩上氏:
原子力市民委員会が、昨日から今日にかけて、原子力市民委員会が、川内、そして熊本県の水俣で、集会を開いているんですね。

川内氏:
福島の事故が起きて、現地の住民では、『心配だ』と言う方が多数です。
鹿児島だけでなく、熊本や宮崎といった隣県も同様。

岩上氏:
先日の鹿児島補選で、山本太郎さんが『新党ひとりひとり』として、候補を立てました。
これはどうご覧になりましたか。

川内氏:
有川候補が直前の表明で、有権者に浸透する時間がなかったことが、敗因のひとつだろうと思います。

植草氏:
安倍政権としては、原発再稼働の方向に、突き進んでいます。
しかし、主権者である国民は、脱原発で、再稼働反対の声が多数です。
安倍政権は、世界で一番厳しい基準だと言っているが、それは、日本が地震国である以上、当然のことです。

原発がなし崩しに再稼働に向かっているのは、安倍政権が衆参のねじれを解消して、国会を意のままに操れるようになったからです。
NHKの人事もそうですね。
安倍政権は、出来ることはなんでもやる方向に進んでいます

鹿児島2区の補選については、自民党の候補者も、民主党の候補者も、原発再稼働容認でした。
主権者である国民が、脱原発の候補を選んでいない現状があります。
情報がコントロールされて、国民に発せられている可能性があります

岩上氏:
福井地裁の判決では、原発は、電気を作る一手段でしかない、としました。
経済的な面で原発は、有効なのでしょうか。

植草氏:
電力会社は、既にある設備を前提として、その資産を活用したいという理屈から、原発を稼働させようとしています
しかし、事故が起きると、原子力損害賠償法の規定により、事業者が負担することになります。
(まうみ注・ただし、その損害が異常に巨大な天災地変又は社会的動乱によって生じたものであるときは、この限りでない←原子力損害の賠償に関する法律)
そうなると、電力会社は、債務超過になりますね。
そこまで考えると、原発はまったく経済的な合理性はありません

岩上氏:
推進派のロジックとして、原油が高い、LNGが高い、ということが言われています。
国富が流出しているのだと。
しかし、国富が流出しているのは、アベノミクスによる円安のせいではないですか

川内氏:
石油の値段が上がったから電気代が上がる、というロジックには、ウソがあります
日本で一番LNGを買っているのは、東京電力です。
そもそも、安く買うインセンティブが上がっていないのです。
原発を動かさないから、というのはつながっていません


■原発の輸出について

岩上氏:
韓国との間で、原発セールスの加熱というものがあります。

木村氏:
福島第一原発の収束もできていない段階で、原発ムラの利益のために輸出を行うのは、犯罪的行為と言われても仕方がない、と思います。

植草氏:
政治が誰のためで、何のためのものなのかの、本質にかかわるものだと思います。
安倍政権は、小泉政権の焼き直しで、国内の大資本と国外の大資本の、利益を追及する政権です。
企業献金がある以上、資本が政治を支配することになります。
GDPが増えるか減るか。
平均的な労働者の分配所得が増えるか減るか。
組み合わせが2×2で、4通りありますね。
安倍政権は、全体のGDPのパイを増やして、労働者一人の分配所得を減らそうとしているように思います。

木村氏:
朝日新聞が、吉田調書をスクープしました
しかし、これについて、他紙がいっさい、後追いをしていません
秘密保護法が施行されていれば、このような報道は、規制の対象になるのではないか
そして、それが、既に先取りされているのではないでしょうか

漫画『美味しんぼ』の、鼻血描写が問題になりましたが、あれは、3.11以降の原発をめぐる言論状況に、一石を投じるようなものでした。
そもそも、自民党の森雅子議員は、鼻血を持ちだして、当時の民主党政権を批判していました

岩上氏:
井戸川克隆さんは、血圧が低いんです。
だから、高血圧だから鼻血が出る、という批判は通じません。
熊本学園大学の教授らが、3.11以降に、鼻血が出ると実証できる、という論文を書いています
これを閣僚が、風評被害と批判するのは、どうかと思います

川内氏:
茂木敏充経産大臣が、『真実ではない話まで報道する自由があるのか』と発言しました。
井戸川さんのことは、『真実ではない』と決めつけられてしまっています。
現在の政権は、情報の面について、嘘とゴマカシに満ちています

植草氏:
キーワードは、メディア・コントロールとメディア・リテラシー、ということになると思います。
選挙と言っても、国民の半分しか行っていませんし、現政権を支持しているのはその半分です。
風評被害という点でいえば、本当の加害者は、電力会社です。

『美味しんぼ』について、表現自体に問題はありませんよね。
バッシングされるいわれはない、と思います。
逆に、この騒動をきっかけにして、国民が真実を知ることになったという、良い面もあったのではないでしょうか。

資本によって支配されている言論空間に、風穴を開ける時、本来であれば、国民が一番頼りにするのは、NHKのはず
しかし、今のNHKは、『皆様のNHK』から『安倍様のNHK』になってしまいました

岩上氏:
ハリウッド版のゴジラでは、原爆や原発の話が、タブーなく出てきます。
この映画では、3.11の記憶がてんこ盛りです。
これが日本で封切りになる時、閣僚は『風評被害だ』と文句を言うでしょうか


■続いて、経済、アベノミクスの話題に移りたいと思います。

岩上氏:
報道では、消費税増税でも国民に影響がない、という報道ばかりです。

植草氏:
年初来、大方の予想とは裏腹に、株価は下落してきました。
今回、5.5兆円の、2014年度版補正予算を組みましたが、これは、昨年よりも7兆円少ない
消費動向調査などを見ると、大幅に落ちて、非常に悪くなっています。
しかし日経新聞は、消費税増税の影響は軽微、などという見出しを打っています。

日本の消費者は、情報に弱い部分があるので、影響がないと言われると、そうなのかと思ってしまう
気になるのは、米国で不動産価格が、少し下がり始めていること
米国の金利が下がると、円高に進む可能性があります

川内氏:
構造的な問題として、消費税だけでなく、国民年金、保険料など、国民一人あたりの負担増が、大変な金額になります
年収300、400万円のご家庭で、トータルで、40万円の負担増になります。
新たに負担が増えたぶんは、どこかに消えてしまうんですね。
国際競争力をアップする、という名目のもとで、公共事業であったり、法人税の減税にあてられたりする。
あらゆる負担が、国民につけ回され、収奪される構造になっています。

岩上氏:
年金について、支給開始を75歳にしようという話が出ています。

川内氏:
年金・保険料は、なかば強制的に徴収されています。
それが、国民一人ひとりの懐から、誰かの利益のために回されているわけです。

岩上氏:
安倍政権は、移民を入れようということを言い出しています。
移民政策研究所の方が、FCCJで会見し、『移民1000万人政策』ということを言い出しました。

川内氏:
少子高齢化で労働人口が減ると、本来ならば、一人の給与が増えるはずです。

岩上氏:
政府の雇用ワーキンググループの議事録を見ると、正社員を一割にしよう、という提言がなされていたりします。

木村氏:
現在進行しているのは、多国籍企業による、世界の乗っ取りではないでしょうか。
中間層が、完全に崩壊しつつあります。
これは、かつてのファシズムにつながる温床。
切り捨てられて、バラバラになった個人が依存するのが、国家ということになり、それが排外主義にもつながります
今の日本は、民主主義の危機に瀕していると思います。

岩上氏:
アダム・スミスは本当に正しかったのか。
自由貿易至上主義が、本当によかったのか。
問い返さないといけないと思います。
大英帝国が繁栄していた時、イギリスの国民は、大変搾取されていた状況にありました。

植草氏:
安倍政権は、国内の資本、国外の資本、国内の官僚のために、政治をやっています
ハゲタカ、ハイエナ、シロアリのために、政治をやっている
小沢一郎氏が、国民の生活を第一に掲げたこととは、正反対の方向に進んでいます。

岩上氏:
90年代末に、少子高齢化の問題を取材していました。
当時の坂口厚生労働大臣に、不妊の保険適用を認めてくれ、とアピールしたのですが、
自民党の議員が、少子高齢化が大変なので、安楽死をやらないと、と言っていました。

川内氏:
医療や介護、保育は、大資本が経営する事業としては、馴染みません
地域の中小企業が担ったほうが、人的な交流も深いので良いのです。
政府の諮問会議は、かつては、団体の会長が名を連ねていたが、最近は、企業の利益しか考えない、企業のトップが入っています

.岩上氏:
介護について、安倍総理は、ロボットを導入する、などと言っています
介護ロボットを作ったら、メーカーの儲けになる、ということなのでしょうが。

川内氏:
本当に必要な給付を、バラマキだと批判し、一部に利益を集中させるのが、新自由主義の典型だと思います。

岩上氏:
ソ連崩壊時に取材していたのですが、ハイパーインフレになって、老人達が困窮しました。
その時言われていたのが、『誰のための自由なのか。金持ちの自由なのか』と。
平時にも関わらず、平均寿命が58歳になった
これが最終解決だと。
まさに老人ジェノサイド
これが日本でも始まっています

川内氏:
田舎ではなく街中に、『限界アパート』が出てきています
クーラーもない状況で、非常に大変な状態になっています。


■ここからより重い話題に入っていきます。

岩上氏:
日本が、軍事国家に突き進んでいるように見えます。
解釈改憲による集団的自衛権行使容認によって、日本が、米国とともに、戦争ができる国になろうとしています。

木村氏:
民主党政権が崩壊して以降の日本の政治状況が、1930年代の日本と、非常によく似ています
昨年の12月に、特定秘密保護法が成立し、そのことで、憲法の基本的人権が、死文化されたと言えます。
さらに、平和主義も、死文化されようとしています

日本の自衛隊は、世界有数の実力を備えています。
個別的自衛権による、自衛のための戦争は、既にできるようになっている
これにプラスして、集団的自衛権で、海外でも、地理的限定がなく戦争に加担することができるようになる、ということ。

ベトナム戦争に韓国軍が動員されたように、あるいは英国が、常に前線で米軍と一体化しているように、日本の自衛隊も、前線に出ることになるのではないか。
日本は、海外派兵をしなかった結果、他国の人を殺さずにきた
この平和主義を、投げ捨てようとしています
それも、明文改憲ではなく、解釈改憲の閣議決定でやろうとしています
これは、日本が、法治国家でも民主主義国家でもないことを、宣言するようなものです。
9.11以降、世界規模での、グローバルファシズムが進行中だと思います。

現在、集団的自衛権の対象国を、米国に限定しない、という話になっています。
地理的限定もしない、と。
グレーゾーンへの事態の対応でも分かるように、米国のコントロール下だけでなく、日本自体が、予防戦争戦略を取る可能性がある、と思います。
グレーゾーンは、これまでは、警察や海上保安庁が対応してきました。
そこに、自衛隊が入っていくことになると。
対象としては、尖閣諸島がイメージされています
シビリアンコントロールが働いているのか、という問題もあります。

植草氏:
集団的自衛権については、2つの問題が混同されています
集団的自衛権の是非と、解釈改憲の是非です。
これは別の問題なので、しっかり区分して考えなければいけない
国会の論戦などを見ても、ゴチャゴチャになってしまっています。

日本はこれまで、集団的自衛権は保持しているけれども、憲法の解釈上、その行使は許されないとされてきました。
常識的に考えれば、手続き的には、憲法を改正することになるはずです。
現在の日本の政治状況は、安倍政権が非常に強い中、野党も政権のおこぼれをあずかろうとして、集団的自衛権行使容認を言っています。
ナチスへの全権委任法と、近いような状態にあります。

川内氏:
昨年の9月、安倍総理は、ニューヨークの講演で、『私を右翼の軍国主義者だと言いたいならどうぞ』と言いました。
つまり安倍総理は、右翼の軍国主義者なんですね。
そのお友達の安保法制懇の報告書は、非常にデタラメなものです。

国民安保法制懇には、阪田雅裕氏、大森政輔氏という、元内閣法制局長官が入っています。
この政府の中枢にいた2人が、解釈改憲は絶対にやってはいけないことだ、と言っています
これは、非常に重いことだと思いますよ。
これまで、法律の解釈を変えた事例があるかと質問して、政府から回答されたものがあります。
一つもないんです。
政府の解釈で勝手に変えることは、国会の否定です。
国会議員はその存在意義に関わることですよ。
本当に異常なことですよ。

これは、先軍政治です。
国民の意志や国会の意志は、関係ない、ということです。

植草氏:
安倍総理の責任もそうですが、今の国会勢力の責任も大きいですよ。
野党が、このデタラメを許すことが、本当に理解できません

岩上氏:
この解釈改憲を、日米ガイドラインの改定までにやらなければいけない、と安倍総理は国会で言いました。
これには非常に仰天しました。
先日来日した、元米NSCのモートン・ハルペリン氏が、 明文改憲・歴史の修正・核武装をするな、と言いました。

オバマ政権から、プルトニウム返還要求があったのは、日本が核武装をするなというメッセージだということを、ハルペリン氏ははっきり言っています。
集団的自衛権は、集団的"パシリ"権です。
日本の自衛とは関係のない所で、戦争に巻き込まれていくことになる。

木村氏;
米国の意思を超えて、安倍政権は、暴走する怖れがあると思われている。
アーミテージ氏でさえも、集団的自衛権よりも、経済政策を優先しろということを言ってきています。
オバマ-安倍の関係は、オバマ-鳩山の関係よりも悪いのではないでしょうか。

植草氏:
政権の維持のために、米国の支持は欠かせない、ということだと思います。
その一方で、安倍政権の基本方針は、戦争と弱肉強食。
強い国の条件は、軍事力の強さです。
安倍総理は、軍事的に強くなるために、戦前の日本社会に戻そうとしているのではないでしょうか。

権力の手法として、天皇の権威を用いようとするなど、戦前のシステムに戻そうとしている
核オプションを保持するということを含め、これは、米国の意図を超えた話ですから、米国がナーバスになるのでしょう。
米国は、日本が強国になることを望んでいない

川内氏:
私は、日本国憲法の理想を実現することが、重要だと思います。
憲法を護るとか護らない、という議論ではなく、その理想を、いかに具体的に実現するか、ということです。
天皇は、日本国憲法の理想を実現するために、様々な改革をしてきた、というお言葉を述べられました
NHKは、陛下の、その部分の言葉を丸々カットして、報じました
近隣諸国との間で信頼関係を作り、しっかりと対話をすることが重要です。
北方領土も竹島も尖閣諸島も、喧嘩腰ではなく、しっかりとまず対話をすることが大切です。

岩上氏:
安倍総理の悲願である『戦後レジームからの脱却』というものがあります。
しかしそれは、日米地位協定を改定して、米国に出ていってもらうことが最優先
日米がはっきりとした従属関係にありながら、それにはいっさい触れないのは、欺瞞ではないか。

木村氏:
現在、核武装への意志が、はっきりと出てきているように思えます。
自民党の石破茂幹事長は、潜在的核武装のために、原発の再稼働は必要だ、とテレビなどで堂々と言うようになっています

植草氏:
安倍総理がやろうとしているのは、基本的には、米国の支配層に隷従しつつ、軍事強国化を図って、米国と行動をともにしようというものです。
経済的に、軍事分野は、主要なターゲットです。
米国の軍産複合体は、22,3兆円もの巨大な市場です。

川内氏:
戦争というのは、政府が起こすものだと、憲法の前文は喝破しています。

木村氏:
金持ちが戦争を起こし、貧乏人が死ぬ、という構造です。

岩上氏:
秘密保護法施行前に、出そうと思っているものがあります。
『ヤマサクラ』という、日米合同軍事演習のシミュレーションです。
戦争は偶発的に起こるものではなく、事前に計画されているものですよね。

『ヤマサクラ』によると、最初の上陸地点が、若狭湾だと想定されています
名古屋を制して、東海道から箱根を越えて東京に入っていくと。
しかし、若狭での上陸作戦において、原発に被弾することが、まったく前提とされていません
経ヶ岬のXバンドレーダーの設置で分かるように、この『ヤマサクラ』が、現実化しようとしています。
中国が『サポートゾーン』で、日本列島が『バトルゾーン』だ、とされています。
米中の戦争の戦場が、日本本土だと想定されているということです。

米国は、米中間のパワーゲームに、日本を鉄砲玉として使う準備をしているのではないでしょうか。
すべて、シナリオがあるのではないか。

木村氏:
米国が加わっての本格的な戦争が、はたしてあるのか。
そういう図上演習があるのは確かでしょうけれども。
中国が先制攻撃をするのか、それとも日米が攻撃をして、中国が反撃するのか。
日中の全面戦争が起こると、在日米軍も巻き込まれるので、米軍がそのようなことをするでしょうか。

岩上氏:
冷戦時代の図上演習では、現在ほど、日本が軍事国家になれということはありませんでした。

川内氏:
米国がそのような演習を考えている一方で、日本国民総体がそれに浮かれていることを、米国がよしとしているわけではないと思います。

岩上氏:
54基も原発を抱えて戦争をするなんて、考えられないことですよね。
しかし、図上演習であれ、こういうことを、日米がシミュレートしていることは確かです。
原発を抱えたまま戦争をすることは、まったく主体性がないということです。

植草氏:
エアシーバトルは、米国の対中戦争のシミュレーションで、日本側が主体的に行う必然性がないものです。
世界は市場を確保するため、10~15年の規模で、戦争をやらなければならない
軍産複合体は説得力を持たせなければいけないので、材料を用意している

木村氏:
軍産複合体が不必要な戦争を作る、という見方は、私はその通りだと思います。
日本が米国の属国にあり、F35やオスプレイを買わされていることも事実です。
しかし、中国が日本本土に上陸して日本を戦場にする、という想定には無理があるのでは。

岩上氏:
作戦計画のごく一部だとしても、これをメディアが伝えないことには、話になりませんよね。

川内氏:
NHKにしても、きちんと作戦計画に関わった担当者にあたるなどして、報じなければならないですよね。

岩上氏:
自衛隊のトップを務めた栗栖弘臣氏が、『日本国防軍を創設せよ』という本を書いているのですが、その中に、
国防軍は国民を守らない。国体を守る』と書いています。

川内氏:
日本の軍隊は歴史的に、国体のために国民に死ね、と言ってきました

岩上氏:
集団的自衛権の対象を、米国に限定しないということは、NATOを見据えていると思います。
ウクライナ情勢についてはいかがですか?

植草氏:
西側の報道は、ロシアが悪い、ヤヌコビッチが悪い、ということの一辺倒ですよね。
しかしその裏には、極右のセクターが動いているし、米国の自作自演の側面があるわけですよね。

木村氏:
アラブの春も、チュニジアやエジプトの、初期の段階は評価できると思いますが、リビアやシリアでは、巻き返しがされています。
ロシアと旧東欧諸国との絆、ロシアとEUとの関係を断つということで、米国は動いていると思います。
カタールやサウジアラビアから、過激派が入って動いています。
ロシアの対応は、言われるほど、批判されるべきものではありません。

岩上氏:
ロシアには、とにかく資源が豊富にあります。
しかしウクライナは、ロシアに対して、ガスを滞納している。
パイプラインが、ロシアとEUの間に存在することで、戦争にならずにすんでいます
しかし、それが面白くないのが、米国です。
米国は、このウクライナ危機で、ロシアを攻撃しながら、EUに対してはシェールガスを買え、と言っています
この米国のオフショア・バランシングは、ウクライナに対してだけではなく、東アジアにも適用されています
第一次大戦時の英国も、同じことをした。

木村氏:
米国の基本政策は、EU合衆国が成立することを防ぐことです。
だから、常に英国を先鞭にして、NATOの存在感を強めて、EUを分断させておく
東アジアでも、エアシーバトルなどのかたちで、日中の分断を図っています

岩上氏:
ガスの大型契約というかたちで、中露が急接近しました。
日本が、エネルギー問題を解決するには、シベリアから、天然ガスのパイプラインを引くべきではないか。

木村氏:
米国は、その可能性をも、つぶそうとしているのではないでしょうか。

川内氏:
外交として、日米同盟を深化させる、という方向だけに行きすぎているのではないか。
米国の専門家だけが突出していて、米国一色になってしまっています。
対露、対中、対韓への対話の扉を、しっかりと開いておくべきです。

木村氏:
安倍政権は、西沙諸島をめぐる、中国とベトナムの関係を、尖閣諸島に適用しようとしており
沖縄でも、中国脅威論が、かなり浸透しているなと実感しました。

植草氏:
昨年、『アベノリスク』という本を出しましたが、解釈改憲というかたちで、このアベノリスクが全面化していると思います。
集団的自衛権の問題が出た時、ASKAの薬物の問題が出ました
これは、意図的な情報の出し方だと、私は思います。

川内氏:
私は落選中で、今は勉強する時間を十分に持てています。
まさに充電中。
お金が大事であることは否定しませんが、お金のために何をやってもいいことには絶対になりません
天皇陛下も、憲法を大事にすることを述べられています

木村氏:
今の日本が、民主主義からファシズムへ移行しているという、危機感があります
『日本の真実を語る』というテーマで、岩上さん、植草さん、川内さんと、このような対談をできたのは、非常に貴重な機会だったと思います。

岩上氏:
現在進行形のウクライナ危機は、専門家であればあるほど、予測不可能な状態に陥っています。
PMCといった、民間の傭兵が入っていたり、ナチである右派セクターも、活動しています。
『ヒトラーは解放者だった』、という演説までしています。
ファシズムやナチズムというのは、大変な罵倒語でした。
しかし、それがここにきて、回帰してきている
驚くべきことに、歴史は繰り返す
そして、米国は、それを利用するんです。
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『国政の無資格者』の狂気の沙汰に、ひっかきまわされるのはもういやだ~!「王様は裸だ」と言おう~!

2014年06月02日 | 日本とわたし
升永・伊藤両弁護士が出された意見広告を、書き起こしました。



違憲状態首相は、憲法98条1項に基づき、国政の
無資格

https://dl.dropboxusercontent.com/u/22296289/asahi20140523.pdf


憲法98条1項:
「この憲法は、国の最高法規であって、その条規に反する法律、命令、詔勅及び、国務に関するその他の行為の全部、または一部は、その効力を有しない


【2012年12月衆院選(小選挙区)】は、憲法98条1項の「国務に関するその他の行為」である。


ところで、最高裁は、ズバリ、
「【2012年12月衆院選(小選挙区)】は、違憲状態」と判決した。


よって、【2012年12月衆院選(小選挙区)】は、「違憲状態」の「国務に関するその他の行為」である。


従って、2012年12月衆院選(小選挙区)は、憲法98条1項に基づき、「その効力を有しない」


そのため、【2012年12月衆院選(小選挙区)】で当選した議員は、憲法98条1項に基づき
【憲法の要求する選挙に当選したことにならない人】(即ち、【国政の無資格者】)でしかない。



結局、違憲状態議員たる違憲状態首相は、憲法98条1項に基づき
国政の無資格者である。


「選挙は、違憲状態。選挙は、有効の違憲状態判決は、
デタラメ判決
である。

比喩として、【2012年12月衆院選(小選挙区)】を、運転免許試験に当てはめて考えてみれば、
違憲状態判決底抜けの【デタラメぶり】が、よく分かる。

即ち、裁判所は、

【2012年12月の運転免許試験】(但し、【2012年12月衆院選(小選挙区)】の比喩)は、
その合格基準が、正しくは、【100点満点中の90点】であるのに、45点であった。
従って、この【45点の合格基準】は、【誤り】である。
そのため、本来の正しい【90点の合格基準】なら、不合格となるべき45点の受験者が、合格してしまった。

② しかし、2012年12月の試験日の時点では、未だ【45点の合格基準】を是正するための裁量期間が満了してないので、
各都道府県公安委員会は、今後行う試験で、この【45点の合格基準】を是正できる。

③ よって(???上記②は、全く理由になっていない!!!)、【2012年12月の運転免許試験】の45点の受験者に発行した運転免許証は、有効である」と、判決したようなものである。

小学生ですら、2012年12月の試験で、100点満点で45点の人が、「運転免許証」をもらって、一般道を走行するのは、
「怖~い!」と考える。



【違憲状態首相】は、憲法98条1項に照らし、いわば、【国政】号という名の、
【1億2500万人強が乗っている超大型バス】の、無免許運転手である。

無免許運転手が、一般道で、警察官の制止を振り切って、走行を続けたら、
即、逮捕である。
即ち、無免許運転は、これほどまでに危険な行為である


アンデルセン童話:
王様のパレードに集まった人々の中の一人の子供が、
王様は裸だよ!」と叫んだ。
一瞬の静寂の後、王様のパレードに集まった人々は全員、口々に、「王様は裸だ!」と叫んだとさ。

日本国民が、【違憲状態首相】の、例え話としての【無免許運転】を見て見ぬふりしたら
日本国民は、裸の王様の、童話の世界の人々に笑われる。


【違憲状態首相】が、『閣議決定で、集団的自衛権の憲法解釈を変更する』旨、発言した。
【違憲状態首相】は、憲法98条1項に基づき、【国政の無資格者】でしかないのに、この発言である!
正気の沙汰ではない


人口比例選挙問題の解決の手続きは、下記❶~❹のとおり、いたって簡単である。

❶ 最高裁が『憲法は、人口比例選挙を要請している』と判決する。
❷ この判決の言い渡し後、国会は、第三者委員会に、【人口比例選挙の選挙区割り案】の作成を依頼する。
❸ 第三者委員会は、【人口比例選挙の選挙区割り案】を作成する。
❹ そして、国会は、同案を可決して、人口比例の選挙法を立法する。

ⅩⅢ
1米国ペンシルバニア州:
⑴ 米国連邦地裁は、2002年4月8日に、
① ペンシルバニア州内の各米国連邦下院選・小選挙区間で、最大・小選挙区と、最小・小選挙区の人口差は、19人である。
② この19人の人口差は、米国連邦憲法の、平等原則に反する旨、判断した。
(195 F.Supp.2d 672(M.D.Pa.2002)

⑵ 同州議会は、その9日後(同月17日)に、最大・小選挙区と最小・小選挙区の人口差を、1人(646,372人-646,371人)とする【選挙区割り立法】を可決した。

2日本
⑴ 1962年に、故越山康弁護士が、一票の住所差別訴訟を初めて提訴した。
それ以降~今日まで、52年経過した。

⑵ 今、衆院選(小選挙区)では、最大・小選挙区(新東京16区)と最小・小選挙区(新鳥取2区)の有権者数差は、29万0574人(=58万1677人ー29万1103人)である。
(平成25年3月28日付「衆議院選挙区画定審議会」改正案より)。

月とスッポンである
情けない

以上

文責
TMI総合法律事務所 弁護士・升永 英俊/伊藤塾塾長 弁護士・伊藤真
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「日本はほんとうに、人間の命を粗末にした国だった」元人間魚雷『回天』特攻隊員

2014年06月01日 | 日本とわたし


死をも肯定した教育恐ろしい

中学生(東京都 15才)

百田尚樹氏のベストセラー作を映画化した『永遠の0』を見た。
物語のカギとなる特攻隊は、戦闘当時の「国のために命を犠牲にするのは当然」という考え方を、象徴するものといえるだろう。
私が一番驚いたのは、皆が戦死を名誉と考えていただけでなく、死を恐れない者が多くいた、ということだった。

本来、命ある私たちが恐れ避けたいのは、死であるはずだ。
それは、生きていく中で学ぶだけでなく、本能的なものではなかろうか。
その本能すら抑制する時代は、本当に怖いと思った。
教育によって培われた『共通認識』は、本能までも変えてしまうのか。

それは、教育という名の、洗脳だったのかもしれない
教育で、皆に強要することで、非常識が常識になってしまう

その結果、戦争で人命を軽んじた日本では、多くの命や、未来への希望が失われた
今の平和が、戦争を生きた人々の、苦労の上にあることを胸にとどめ、同じ過ちを決してくり返してはならない、と感じた。

↑以上、書き出しおわり

15才の中学生のこの感想と比べ、この男の口から出る言葉の、意味の無いことといったら……。
けれども権力があるだけに、それがまかり通ってしまうという恐ろしさを、ひしひしと感じます。




そして、このパンフレット。



それをツィートで紹介してくださった方が、こんな感想を述べておられました。

悪趣味としか言いようがない「平和の島プロジェクト」の回天グッズたち。
例のカレーは「回天をイメージした黒カレー」と「回天烈士の燃えるような想いを表現した赤カレー」だそう。
とにかく特攻を美化し、観光資源にしたいらしい…。

ほんで結局、「特攻の島 海軍カレー」とか作って売ってしまう…なんて薄っぺらい「平和の島」やねん。

平和の島プロジェクトの回天研修プログラムちゅうやつの「回天を通して、礼儀作法、規律、日本人としての誇りなどを学ぶ」みたいな文章、
これはほんまに腸が煮えくり返りそうになる。何がどうなったらそうなんねん…。

徳山駅の回天パネル横の説明文。
何が「平和の島」プロジェクトやねん??何が「すきだ」やねん。
勝てもせん戦をはじめて、馬鹿げた作戦で若い命を無駄に捨てさせたってことを完全に無視して、なにが「平和への道しるべ」やねん。


そしてこれは、別の方の感想。
周南観光コンベンション協会が主催した「平和の島プロジェクト」。
〈回天〉という負の過去の遺産を対象に、ダークツーリズムを通しての〈街おこし〉を図った。
ただ、有名漫画家のイラストを使い、食材グッズとかけあわせるという、典型的な広告代理店的手法が、その意図にふさわしいか。
大いに疑問。


↑以上、転載おわり


では、回天とはなにか?

詳しく説明してくださっているページを見つけましたので、転載させていただきます。

↓以下、転載はじめ(文字の強調はわたしの考えで行いました)

人間魚雷・悲劇の作戦
~回天特別攻撃隊~




山口県周南市大津島
太平洋戦争の末期、海軍が開発したある秘密兵器が、次々と運び込まれた。
その兵器に乗るために、全国から、400人の若者たちがやってきた。
秘密兵器の搭乗員を募集するとだけ聞いて、志願してきたという。
 
秘密兵器人間魚雷回天
人間もろともに体当たりし、命と引き換えに敵艦を沈める、極限の兵器である。
搭載された爆薬は、空母をも沈められる破壊力を持つといわれた。
出撃すると、二度と生きては帰れない。
終戦までに、104人もの搭乗員が、海に散っていった
 
太平洋戦争末期に行われた、海の中の特攻、人間魚雷回天の真相に迫る。


◆特攻兵器・人間魚雷回天の誕生

昭和17年6月、ミッドウエイ海戦以降、各地で日本軍は、敗北を重ねていく。
そうした中、海軍は、史上類を見ない、新たな兵器の採用が検討されていた。
必死必殺戦法、搭乗員の命と引き換えに、戦局を打開しようという、いわゆる特攻作戦である。
生きて帰れない兵器を採用することに対し、当初海軍上層部には、強いためらいがあった。

昭和19年2月、海軍は、人間を乗せた新型魚雷の開発に踏み切る
搭乗員が生存できる可能性を残すため、脱出装置をつけることが条件だった。
しかし戦局の悪化とともに、開発が難しい脱出装置は、断念された。 
搭乗員の命を犠牲にすることを前提とした兵器、人間魚雷の誕生である。

瀬戸内海にある大津島に、回天の訓練基地が作られた。
全国から集まった、400人の若者たち。
志願したのは、海軍兵学校や予科練の出身者たちだった。
若者たちは、ここで初めて、新兵器の全貌を知ることになる。



人間魚雷回天、前方部分につめられた爆薬は、それまでの魚雷の3倍に相当し、空母を沈められるとされた。
操縦席には、自爆装置がついていた。
気を失って前傾姿勢になれば、爆発する仕組みになっていたのである。
たとえ命中しなくても、二度と戻ってはこられない兵器だった。



元搭乗員1:
「覚悟はしていたけど、やっぱりギョッとしましたね」。
元搭乗員2:
「いずれ死ぬんだと思うからね。早いか遅いかの違いだけど」。

通常、回天はハッチを閉めると、操縦席は、電球一つの暗い空間だった。
身動きの取れない密室で、回天を操るのは、困難を極めた
回天は、水深5mで航行して、目標に接近、一度浮上して、目標物の位置を確認する。
この時、敵から発見されないように、わずかな時間で確認することが求められた。
その後、何も見えない中、コンパスと時計だけを頼りに、突き進むのである。
訓練では、海中に突入したり、エンジンが止まるなど、事故が続出。
実戦を前に、15名が命を落とした




元搭乗員1:
「潜望鏡を上げたまま浮上して船の底にぶっつけて潜望鏡が折れる。折れると根元が開き、水が入って沈む。溺死です」。
元搭乗員2:
「訓練即、死と隣り合わせです。大津島に近づいたとき、エンジンが爆発して沈没しました。太平洋だったら、1000mから2000mの海底に鎮座しておさらばでしょうね」。


◆回天の目標到達は至難の業

昭和19年10月、劣勢の日本海軍は、捨て身の一大決戦を挑む
フィリピンのレイテ沖海戦で、アメリカ艦隊に、全戦力を突入させる。
しかし、日本軍は大敗北、連合艦隊は、事実上壊滅した。



この後、回天は、海軍に残された数少ない切り札として、強い期待を背負うようになる。
レイテ沖海戦から2週間後の12月8日、初の回天隊が出撃した。
目標地域は、アメリカの前進基地となっている、南太平洋のウルシーである。
標的は、環礁に停泊している、アメリカの艦隊だった。
潜水艦が接近し、搭載されていた回天が、次々と出撃した。
しかし、目標に到達するのは、至難の業だった。
搭乗員には、詳細な地図も、敵艦隊に関する情報も、殆んどなかったからである。



元隊員:
「まず一番難しいのは、真っ暗な時に、どうやって水道まで行くか
入るのにコンパスだけだから、特眼鏡を上げてもわかりませんよ。
地理だって初めてですよ。
何回も来ている人だったら、多少違うかもしれない。
難しすぎるんですよ」。




アメリカ側が撮った、当時の写真である。
回天の突入で、炎上するタンカー。
9人の命と引き換えに挙げた戦果は、この一隻だけだった。
その後も、同様の奇襲作戦が行われたが、戦果はほとんど挙がらなかった
作戦の失敗にもかかわらず、大津島では、残された隊員たちが沸き立っていた。
大本営は、回天隊は多大な戦果を挙げた、と華々しく発表したのである。
空母2隻、戦艦3隻轟沈などと。

当時大津島で訓練していた隊員:
「この時は、一隻しか沈めていないとは知らなかった。
回天が、5本とも戦果を挙げた事になっているんだから。
我々も、回天の威力たるや予想通りだと、意気に燃えたというところでしょうね」。

出撃を待つ日々を語る隊員1:
「何しろ、次から次へと出撃していくと、飯食う人間が、5人、6人と減っていく。
そうすると、飯食うのも侘しくなって、これは早く出ないと。
悲しみとか死なんて、お互い語り合うこともない。
これが当たり前だと受け入れていた」。

隊員2:
「精神的に悩むときは、軍歌を歌って慰めた。
あとは山に行って、軍刀で、竹や木を憂さ晴らしに斬ってみたりして、自分の精神を癒していた」。


潜水艦上の回天



◆死を目前に待機する、若者たちの心の葛藤



昭和18年10月学徒出陣。
その中から、回天の搭乗員になった若者も多くいた。
塚本さんは、慶応大学在学中に、海軍に入隊、その後志願して、回天の搭乗員となり、ウルシー沖で戦死した。

塚本さんの手記が、残されていた。 
そこには、回天隊に志願したときの心情が、綴られていた。

「俺が待っていたのは、この兵器だ。どうしても俺はこれに乗る」。

この兵器とは、人間魚雷回天。
その反面、自分の決意が揺らぐ気持ちも、綴られている。
訓練生活で、塚本さんは、迷う心を断ち切ろうとする。

「人間は弱い。自己を思うからだ。滅私、完全なる滅私生活へ。母を忘れよ」。
 
昭和19年11月、塚本さんの出撃が決まる。
出撃が決まると、搭乗員たちは、最後の帰省が許された。
しかし、回天の任務を話すことは、固く禁じられた。
家族水入らずの時間は、一年ぶりだった。



戦後、塚本さんの遺品の中から、家族に当てた録音が見つかった。

「母よ、妹よ、そして、長い間育んでくれた町よ、学校よ、さようなら。
本当にありがとう。
昔は懐かしいよ。
秋になれば、お月見だといって、あの崖下に、ススキを取りに行ったね。
あそこで転んだのは誰だっけ。
こうやって、みな愉快に、いつまでも暮らしたい」。


塚本さんの弟さんは、出撃を控えた兄の顔が、今でも焼きついているという。

「死期はわかっていることです。
それまで死ぬ訓練をしなければならないのは、並大抵の精神力ではできないと思う」
と。
 
後に、弟さんに、遺品のハンカチが届けられた。
「兄貴がついているぞ。がんばれ。親孝行を頼む」。



 
昭和20年1月、塚本さんは、共に出撃した回天隊18名と共に、命を落とした。

「愛する人々の上に、平和の幸を輝かせるためにも」。

海軍に入隊してから一年、書き続けた日記の、最後の言葉であった。 


◆一層成果が上がらなくなる回天作戦

昭和20年4月、アメリカ軍が沖縄に上陸。
既に壊滅状態に陥っていた海軍は、船も航空機も、残されたわずかな戦力のすべてを、特攻につぎ込もうとする
しかし、回天の奇襲作戦は、日を追うごとに、戦果が挙がらなくなっていた
駆逐艦による警備を整備するなど、アメリカ軍が、対策を万全にしたからである。
停泊地に近づくことさえできなかった。

回天作戦は、修正を余儀なくされた。
停泊中の艦船を襲うのではなく、アメリカ軍の補給路で、潜水艦が待ち伏せし、航行中の船を狙うことにしたのである。
標的が動いているため、命中率が低い、難しい作戦だった。

昭和20年5月、航行中の艦船を狙う新たな作戦のもと、回天振武隊が出撃する。
搭乗員は5人、大津島で半年間、寝食を共にしてきた仲間だった。
彼らが乗り込んだのは、伊号367潜水艦だった。
二度と生きて帰ることのできない、回天作戦。
出撃の判断は、潜水艦の艦長に一任されていた。
軍医長は、艦長から、悩みを打ち明けられていた。
「司令部から、回天は魚雷だと思って使え、と言われているが、若い者を乗せて、そういう気にはなれない」と。



当時海軍によって撮影された、潜水艦内部の映像がある。
温度が30度を超える狭い艦内で、100人を超える乗組員が、任務についていた。
この中で、搭乗員は、出撃までの時間を過ごした。

「暑いの何のって、褌一丁で。
朝だか昼だか夜だかわからない。いらいらしてくる」。




伊367潜水艦が出撃してから10日程後、前方に、アメリカ艦隊を発見した。
「回天用意」の号令と共に、5人が回天に乗り込んだ。
5人は、艦長の言葉に耳を澄ませて、出撃の瞬間を待っていた。



「最初の回天戦用意の号令がきたときは、緊張したね。
いよいよ来たかと。
2,30分経ってから、遠すぎて、回天戦ができないとの命令。
ほんとに緊張したね」。
「回天戦用意で、今日死ぬかと思っても、1時間以上待って、回天を下りろだ。
緊張が毎日のようにあって、死ねない。
早く何とかしてくれという感じ、つらくて。」

 
回天戦用意の号令が下っても、出撃停止になることが、その後も繰り返された。

出撃して3週間後、伊367潜水艦は、再びアメリカの船団を発見、回天戦用意の号令。
ついに、5人に出撃命令が下される。
ところが、回天は、基地を離れて1ヶ月近く経っていたため、十分整備ができず、故障で出撃できないものがあった
エンジンがかからなかった岡田さんは、仲間の千葉さんの出撃を見送った。
「用意、撃てー」で、千葉のバンドが外れ、回天がスーッと出て行った。
出撃できたのは、二人だけだった。
岡田さんは、
「その時は自分が情けなかったね。
後ろを見たら、2号艇が未だ残っている。
帰るのは俺だけでないと、ほっとしたね」。


岡田さんたちが、回天の爆発音を聞いたのは、予想された突入時間よりも、かなり後の事だった。
「40分経っての爆発音。
40分経ったら、中の酸素がぎりぎりだもの。
とても成功したとは思えない。
あれは自爆だ」。


それを艦長が聞いて、「俺は、若い男を無駄死にさせた」と自棄になっていた。

回天の潜望鏡


回天を載せた潜水艦



◆特攻兵器人間魚雷作戦と人間の死

大本営


昭和20年6月までに、回天が撃沈した艦船は、アメリカ軍の資料によれば、わずか2隻
しかし、日本軍はなお、特攻を続ける
海軍軍令部総長は、御前会議で、海軍は特攻精神に徹すると主張。
特攻作戦は終戦まで続けられ、若い命が、次々と犠牲になっていった


終戦間際に、南太平洋で生き残った竹林さん
「戦時下ベッドの上下にいるときに、故郷という歌の中で”何時の日か帰らん”とあるが、俺たちにはないな。
その言葉を聞くたびに、胸にじんと来る」
と。

初の回天隊が出撃した11月、大津島では毎年、追悼式が行われている。

大津島での追悼式へ


生き残った搭乗員たちは、戦後64年間、仲間の死と向き合ってきた。
回天の故障のため、出撃できなかった岡田さんは、
「この二人とも、今日はお別れでね、お供えした酒を、これから一緒に飲もうと思ってね。
日本は、ほんとに、人間の命を粗末にした国だったね。
自分で志願したとはいえ」。


戦死した二人への追悼


「こうして生きさせてもらっていること自体、不思議でならない。
自分で弾があたるまで、舵とって進んで死ぬのは、人間くらいしかないよね」。


戦局を挽回するとうたわれた、特攻兵器「人間魚雷回天」。
作戦の開始から9ヶ月、撃沈した敵艦は、確認されているだけで3隻
回天で命を落とした若者は104名



所感:
人間もろとも体当たりし、命と引き換えに敵艦を沈めようとする、極限の兵器、人間魚雷回天。
太平洋戦争末期、敗北を重ねた日本海軍が考え出した、究極の海の特攻作戦だったが、
アメリカ軍の防御体制の整備と共に、思うように成果が挙がらなかった。
 
考えてみれば、これは、人間の命を犠牲にした、苦し紛れの戦法といえるだろう。
9ヶ月間で、撃沈した敵艦は3隻、命を落とした若者は104名にのぼるとは…。
故障のため出撃できなかった隊員が、日本ほど人間の命を粗末にした国はないだろう、といっているのは当然である。
 
世界におけるテロ組織が、現在でも自爆テロを行っているという。
国家外交の一つの手段として行う戦争と、暴力やその脅威による思想提示手段として行うテロとは、基本的に異なる。
とは言え、太平洋戦争末期の日本が、そのような発想の先鞭をつけたと言われても、弁解の余地がない気がする。



 
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まともに仕事もせんのに、月額26万円アップ!年間421万円の引き上げ!こらぁ~!

2014年06月01日 | 日本とわたし
ツィッターで見つけた写真です。
あまりに情けないので、みなさんにも紹介しようと思います。

この人たち、国会議員の給料は、5月から、月額約26万円アップ、年間421万円もの引き上げになってるそうです。
引き上げ額だけで421万円ですよ!

この人たちの給料が……。






そしてこの人たちのてっぺんにいる男はというと……、


雇用者報酬の低さは、世界でも群を抜いているのです。



消費税は、今の8%からまた、さらに10%に上げられるのですよね。
こちらのように、必需品である食品にはかけない、というようなこともなく……。
なにがアベノミクスやねん!アホノミクスちゃうのん?
残業代ゼロ、長時間労働の歯止めがなくなり、ますます抵抗できなくなっていく働き手。

こんな居眠りし放題の議会など、主権者のみなさんが、叱り飛ばしてやらなあかんと思うのです。
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