ウィンザー通信

アメリカ東海岸の小さな町で、米国人鍼灸師の夫&空ちゃん海ちゃんと暮らすピアノ弾き&教師の、日々の思いをつづります。

「原発反対」と叫ぶ時、この悲惨な事故現場に立ち向かっている人たちのことに思いを馳せていますか?

2015年03月04日 | 日本とわたし
原発再開を喜ぶ人も、『原発反対』を叫ぶわたしたちも、絶対に忘れてはならない、ずっと考え続けなくてはならない人たちのこと。

原発には、人として生きる権利を損なうことばかりが伴います。
だから、そのようなことが公にならないよう、原発を推し進める人々は、ひたすら隠し続けてきました。
そしてわたしは、その嘘に、ずっとひっかかったまま過ごしていました。

原発事故が起こる前に、福島原発の計画、デザイン、建設に関わってきた米国人エンジニアと、話をしたことがあります。
かなりの年配の方で、耳がすっかり遠くなっておられましたが、当時のことを話す時の目は、それはそれは活き活きと輝いていました。
けれども彼には、稼働原発現場の末端で繰り広げられる、人を人とも思わぬ作業や扱いの実情を、認識できているような気配は無く、
ただただ、日本のめざましい経済発展に、自分が一役買って出られたことを、誇りに感じているようでした。

原発は、人としての尊厳を蔑ろにするだけではなく、稼働することによって出る核のゴミが環境を汚染し、生き物すべての健康を損なう、この地球上にあってはならないものです。
そんな、あってはならない物ではなくなる日を夢見て、多くの科学者、技術者が、懸命に研究や実験を行ってきましたが、
何十年経った今も、やはり手に負えないこと、始末ができないことが明らかになるばかりで、だから世界では次々と、廃炉や新規建設の撤廃が決められ始めています。

けれども、すでに建てられてしまった原発については、稼働にせよ廃炉にせよ、それに伴う危険な作業はすべて、請け負ってくださる方々任せで、
その方々の、心と体の両方にかかる負担に見合う報酬や生活環境が、まるで保証されてないままであることが分かっていても、
作業員のための大きな運動、というのが、これまでに起こった記憶がありません。
さらに今は、この方々のおかげで、重大な事故を起こした原発がなんとか、再び危機的な状況に陥らないでいてくれて、だからとりあえず無事に暮らし続けられているというのに、
せめてその方々の犠牲に見合うものを!という運動も声も、一向に、全国規模で上がってきません。
それは、原発震災で、今も避難所に留めさせられている方々や、高線量の汚染地に閉じ込められている方々、さらには帰還を余儀なくさせられた方々のことを、
我が事のように捉え、考え、思い、何か自分にできることはないかと一所懸命に考える人が、爆発的に増えてこないことにも、つながっているような気がします。

原発はもう、ほんとのほんとにいりません。


↓以下、転載はじめ

誰かがやらなければ。で、誰がやるんだい?
ー収束作業の現場からⅢー

http://fukushima20110311.blog.fc2.com/blog-entry-90.html



汚染水漏えい、4号機プール燃料取り出しと、厳しい問題が続く東京電力福島第一原発の収束作業。(まうみ注・この記事は、昨年の1月23日に書かれたものです)
今回は、1~3号機の作業に従事する斉藤貴史さん(仮名)に、お話を聞いた。
 
斉藤さんは、もともと、全国の建設現場を渡り歩き、事故後の福島第一原発の現場に入っている。
 
私たちの周辺で、いま現在、放射線や被ばくを問題にする場合、その単位は、毎時何マイクロシーベルトというレベルだろう。
が、斉藤さんが携わる現場は、時間当たりミリシーベルトという、桁の違う世界だ。
そういう現場に身を置く斉藤さんの言葉は重い。
そして、被ばくによる犠牲者がいるという、衝撃的な話も。
 
さらに、高線量の現場が、露骨な格差社会になっている実態が語られる。
一方で、線量計の警告音に怯え、健康被害の不安を抱えながら、現場に向かう作業員たち。
他方で、安全なところから指示を出し、次々と交代して行くゼネコンの社員たち。
そのあり様は、あまりに対照的だ。
賃金や待遇にとどまらず、被ばくの問題にまで、格差が表れている。
 
斉藤さんの話は、現場作業の実態から、文明の限界に関する問題にまで及ぶ。
しかし、やはり、次の問いが重い。
「原発に反対とか賛成とかはいいけど、どっちにしろ、誰かが収束作業をやらなかったら、またドーンと行くんだよ。誰がやるんだい?」と。

私たち一人ひとりに、お前はどうするのか、ということが突きつけられている。
(インタビューは11月中、いわき市内)

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

宇宙服の人たちは

【ようやく斉藤さんから話を聞く機会を得たが、約束の場所に来てくれるかどうか不安だった。
 姿が見えたときはホッとした。が、それもつかの間、席に着くなり、取材に対する不信感を露わにして、まくしたてた】

斉藤:
私らから、何を訊きたいんだい?
マスコミとか、専門家とか、政治家とか、そういう人たちはね、自分ら、線量のあるところにはまず行こうとしないで、
外から、どうたらこうたらって言っているけど、チャンチャラおかしいよ。
自分ら、安全なところにいて、「汚染水が漏れてるぞ」とか、「これ、ダメじゃないか」とか。
ダメだって言うなら、お前、一回でもいいから、50ミリシーベルトでも100ミリシーベルトでも浴びに来てみろと。
それから言いなさいよと。私ら、言いたくなるよ。

【全く返す言葉がない。さらに現場の衝撃的な話が続いた】

斉藤:
だけどね、私らよりも、もっとすさまじい作業やっている人たちがいたんだよ。
爆発からまだ程ない時期、もう、宇宙服みたいなのを着て行く人たちがいたんだ。
酸素ボンベを持って、鉛の服を着て、その上にベストを着て
何をしているのかなんて、そりゃ分かんないよ。
私らはそういう作業はやってないから。
5~6人で、ダッダッダッて中に入っていくんだ。
この人たち、何してんだろうって見てた。
結局、そういう人らが、メルトダウンした辺りに行って、何かの作業をしてたんだろう。
事態はどんどん悪化して行く状況だったから、誰かがそこに行ってやらないといけない作業があったんだと思うよ。
 
でも、その人ら、半分以上は亡くなっていると思う。
まあ、名目は、心筋梗塞とか、何だとか、とにかく、被ばくで死んだとはなってないと思うけど。

聞いた話では、だいたい2週間の作業で、1日に80万円から100万円ぐらい、2週間で1千万円以上
それを家族に渡して、自分はその仕事に飛び込んで行くと。
その人なりの事情もあったんだろうね。
みんな、一切口外しないという、念書を書かされているんだ。
それが国なのか東電なのか、私ら、分からないよ。
誰も、口をつぐんで、詳しいことは言わないから。

だから、みなさん、外で空論みたいなことを言っているけど、
原子炉がメルトダウンして、どうしようもないときに、誰かがやらないと収まらなかった
そこに飛び込んで行った人たちがいたから、今の状態が保たれているんだよ。
そう思うと、この人らに、心の中で、こう毎日、手を合わせてるね。
あなた方がいてやってくれたから、われわれは今の作業ができてるんですよって。


APDが鳴る恐怖




【不信を露わにしつつも、斉藤さんは、少しずつ現場の様子を話してくれた】

――どういう作業をされてきたのですか?

斉藤:
主に、ガレキの撤去作業だね。
ガレキって言ったって、もう毎時500ミリシーベルトとか、2000ミリシーベルトというヤツだからね。
 
1号機の辺りなんかも、今は、カバーをつけたんで、線量も結構落ちてるけど、最初は、まあ、高かったね。
で、爆発してるから、もうガレキだらけ。
それを全部、私らが行って処理して、鉄板を三枚ぐらい重ねて敷いたりしてきたんだ。
 
海岸側なんか、まあ、すごいよ。
「墓場」って言われているところがあるんだけど、潰れたタンクとか、重機とか、クレーン車がひっくり返って、もう、みんなそのまんま、触るに触れない
そういうのを目の前にしながら、作業をやってきたんだ。
 
タービン建屋のところなんかも、今は線量も下がってるけど、やっぱり一番最初は、ガレキだらけで、線量もものすごく高い
そこにタイヤを敷き詰めて、その上に鉄板を敷いていったんだよ。
 
今は、たまにお偉いさんが視察に来たりしているけど、その鉄板というのは、われわれの犠牲で敷かれたもんだからね。


――線量の高い場所の作業は、遠隔操作ではないのですか?

斉藤:
やっぱり人が行かないとダメだね。
無人重機なんかも使うけど、結局は人なんだよ。
 
例えば、ガラコン(コンテナ)にガラを入れて、それをクレーンで釣ってくるんだけど、そのガラコンをクレーンから外すのは人なんだ。
そのガラがすごい線量なんだ。
 
鉄板を敷いて行く作業だって、クレーンで釣り上げた鉄板を降ろすとき、チェーンとかワイヤーを外すのに、やっぱり誰かが行かといけないわけさ。


――ロボットの開発も進められているとされていますが。 

斉藤:
いやあ、ロボットだって、入れないところは入れないんだよ。
建屋の中の様子を調べるのでも、ロボットに行かせるんだけど、階段やらなんやらがグチャグチャで、入っていけない。

それから、あんまり線量の高いところだと、ロボットでも故障しちゃう。
半導体かなんかがやられちゃって。
で、ロボットは帰ってこないんだ。
とにかく、ロボットでさえ壊れる線量ってどういうことだい。
 
で、ロボットがとにかく入って行けて、中の様子が少しわかっても、例えば、何かがゆらゆら見えてるんだけど、それが湯気なのか煙なのかというのは、ロボットでは判別がつかないんだ。
結局、最後は人が行って、目視確認してこないことにはどうしようもない
今だって、湯気も煙も、あっちこっちから出てるからね。
 
これから、3号機建屋の上を除染ということで、こそぐ作業をやる。
それに、自走式の機械を入れるっていうんだけど、たぶん使い物にならないね。
だって、大きなガレキは除いたけど、デコボコで、鉄筋があっちこっちに出てるんだよ。
鉄筋だって、直径が30ミリぐらいある太いヤツ。
そういうのに引っかかって、機械なんか前に進めないよ。
結局、人間が行って、そういう鉄筋とかを一個一個叩いて行かなければ、機械なんて走れないんだ。


――その作業は、かなりの被ばくがありますね。

斉藤:
そうね。
もう、ちょっと行っただけで、APD(警報付きポケット線量計)が、ピッピッピッピッ…って鳴るんだよ。
そういうところに行って、作業をするわけさ。
その恐怖感、わかるかな。
もう、パニックになるのもいるんだから。
 
作業をしようとして、燃料プールのそばに行くとか、クレーンから外しに行こうとするんだけど、もう近づいただけでAPDが鳴っちゃう
予定した仕事なんか全然できないで、すぐに戻ってくることになっちゃう。
それで次の人が行って、またすぐに戻ってくる、という具合だよ。
 
でも、APDが鳴るからって行かないと、いつまでもどうしようもないから行くんだけど、作業は予定よりどんどん延びて行くね。
工程表通りには全然行かないよ。
 
で、工程表通りに行かせようとすると、APDがアウトになっちゃう。
アウトというのは、APDが、2ミリシーベルトとか3ミリシーベルトの設定を超えちゃうと、もう、ピィーって鳴りっぱなしになっちゃう。
そうすると、この人は始末書だから。
始末書を書かされるんだ。


――始末書とは、どういうことですか?

斉藤:
「そこまで浴びてはいけないのに、お前は浴びた」ということだな。
何でだと。
浴びた人の責任にされてしまうんだよ。
ゼネコンさんとしては、浴びないように計画して指示を出しているんだから、浴びたヤツが悪い、という理屈になるんだね。
 
だったら、そんなに浴びるような仕事なんか、やめさせろよって、言いたくなるよ。
そういう矛盾ばっかりなんだよ、現場は。
 
で、それじゃあ、APDが鳴らないように急いでやろうとすると、今度はつまずいたりして、そうしたらこれまた始末書だからね。
現場では走るなって、一般の工事現場のルールと同じようなことを言うんだよ。
 
でもね、線量の高いところにいたら、誰しも、早く線量の低いところに行こうとして、タッタッタッて足早になるのが人情じゃないか。
それを、「何でルールを守らないのか」って怒る。
だったら、あんたが自分で線量の高いところに行って、ゆっくり歩いてみろって。


――そうすると、その作業計画そのものに、無理があると。

斉藤:
まあ、ゼネコンさんとしては、無理がないようにしているつもりなんだろうけど。
でも、実際に現場に行ったら、こっちで線量を測ったときは、低いから大丈夫ってことで作業を始めても、すぐ近くに、すごく高いところがあった、なんてことがよくある
 
一般の工事現場なら、工程表があって、今日はここまで作業をして、という風に計画している。
で、このままでは納期に間に合わないとなったら、徹夜作業だってやるよね。
 
だけど、ここの作業の場合、工程表は一応、上の方で作ってはいるけど、実際に現場の作業では、APDが鳴ったから、今日はここまでで上がる、とするしかないんだ。
間に合わないから、線量を浴びてでもやってこい、なんて話にはならないわけさ。
 
そうすると、工程表では1カ月だった作業が、優に2カ月、3カ月ってかかっちゃうことだってある。
そうすると、2年の目標も10年にだって延びてしまう
 
線量が高い、という大問題があるから、工程表通りには行かない
それが、収束作業の難しさなんだよ。
だから、工程表が早まるなんてことはまずない。
計画の前倒し、なんて言ってるけど、あれは、現場の実情を全く知らない人たちの絵空事だね。


――熟練の作業員がいなくなる、と言われていますが。

斉藤:
限度いっぱい浴びて、現場を離れなければならない人が、どんどん出てるよ。
で、役に立たないのが、いつまでも現場に残ってる。
いい加減で、仕事したくないやつは、デレデレ長くいるな。
逆に、役に立つ人は、パッパ、パッパと仕事をするから、線量も食らっちゃって、はい、じゃあもう終わり、となってしまうケースが多い。
 
だから、なんかおかしいんだよ。
そういう矛盾だらけの中に、身を置いて仕事をしている。
 
まあだけど、そうは言っても、職人はみんな、結構まじめに一所懸命、やる人が多いんだよ。
ただね、入れ墨をしょってる人が、最近、増えてるね。
半分までは行かないだけど、結構いる
若いのもいれば、歳のもね。


――政府・東電の「中長期的ロードマップ」によれば、2015年に3号機燃料プールの燃料取り出し、17年に1、2号機燃料プールの燃料取り出し、としていますが。

斉藤:
そんなものは、机上の話だから。
まあ、3号機のオペフロ(オペレーションフロア=原子炉建屋上部、燃料プール付近)の作業は、何とかやれてる。
1号機は、いったん被せてあった建屋カバーを、また外すことになってる。
でも、その先はどうかな。
4号機の場合と違って、3号機も1号機も、燃料プール辺りの線量は高いからね。
2号機なんかは、建屋はあんまり壊れていないんだけど、内部なんかもう計り知れない
線量なんか万単位だからね。(格納容器付近で毎時約7万ミリシーベルト)。
完全に致死量でしょ。
100年経っても手が付けられないんじゃないかな。
どうするもこうするも、どうにもならないでしょう。
 
7年後にオリンピックだというけど、その辺りまでは、ごまかしごまかしでやっていくんじゃないかな。
でも、その後、どうするのか。
オリンピックでいい格好しちゃって、その後が大変になるじゃないだろうか。
 






2カ月で交代するゼネコン社員

【高線量の現場で、悪戦苦闘している話が続いた後、そういう現場に行かないで指示だけをする人たちがいる、という話に及んだ】

――ゼネコンの人たちの話が出ましたが。

斉藤:
私らの立場から言わせてもらうと、ゼネコンさんたちは、本当にどうしようもないのばっかりだよ。
だって、ゼネコンの人たちは、2カ月で交代するんだから。
 
現場に来たって、「ここはどこですか?」から始まるんだから。
どこに何があって、こうなっていて、ということを覚えるのに、だいたい1カ月半ぐらいかかるわな。
覚えたと思ったら、もうあと2週間しかない
2週間で何ができるの。
しかも、その間に雨が3、4日でも降れば、もうほとんどないわけ。
やっと現場を覚えたかなと思ったら、「長い間、お世話になりました」って、まだ、2カ月かそこいらでしょって。
それでも色紙には、「みんなで共に頑張って、福島の復興のために…」とか。
だったら、お前が一命を投げ打って、ここで頑張ればいいじゃないか。
そんなきれいごとだけ書き残して、すぐにいなくなってしまうね。


――ゼネコンの人たちは、なぜ2カ月で交代なのですか?

斉藤:
そりゃ、自分たちは線量を浴びたくないからでしょ。
一応、会社の決まりらしいんだけど、要するに、彼らは、線量を浴びないで帰ることしか考えてないんだよ。
そうじゃないヤツなんて、皆無だね。
 
でも、東電なんかもっとひどいよ。
事故直後に頑張った人らは別だけど、今は、東電の人は、現場に出ることはほとんどないから。
線量の高いところに行くのは私ら
私らを遠くから見守っているのが、東電の仕事
私らが、彼らの身代わりで行ってるわけ。
だから、おかしいんだよ。
 
はっきり言って、大学出の知識のある人は、現場には絶対に行かないね。
本当は、そういう人が現場に行ってやってくれれば、もっと早く解決するかもしれないのに。
だけど、そういう人は一歩引いて、外から指示しかしない。
それじゃあ現場なんか見えないよ。
それでは一向に、収束なんかしないよ。
 
これね、日本の人間の育て方、教育が間違っているんじゃないの。
「自分たちは、偉いんです。だから、自分たちは、安全なところで指示をします」って。
どこが偉いのか。
これっておかしいんじゃないの。


――そうすると、ゼネコンの人たちの仕事は?

斉藤:
彼らは、口は達者だけど、仕事はできない人が多い
現場の人からちょろっと聞いたことを、さもさも自分で考えたことの様に、朝礼なんかで語ったりするのは得意だけど。
 
自分もいっしょに作業をするっていう姿勢だけでも見せれば、またものの見え方も違ってくるんだろうけど、一切、しようとしない。
現場に来ても、検査とかチェックとか言って、その辺をちょろっと見て、すぐに免震重要棟の中に戻ってしまうね。
 
そのくせ、私らが、現場判断で、これはこうやった方がいいと思ってやったりしたことには、「それは予定外作業だ。何でやったんだ」って怒るんだ。
そうかと思えば、この作業はこうしましょうって決まっていたのに、後から後から、あれもやってこれもやってって言ってくるわけ。
あんたら、私らに、予定外作業をするなって言っているくせに、予定外作業をどんどん押し付けてるじゃないのって。
全く支離滅裂だね。



私らモルモットか

――被ばく量はどれくらいでしょうか?

斉藤:
だいたい、1年半ぐらいで、70から80ミリシーベルトかな。
そうするともう、しばらく線量のある現場には出られない。
どっか別の仕事に行かないといけない〔*〕。
〔*電離則では、1年で50ミリシーベルト、かつ5年で100ミリシーベルトが上限とされている。それを超えると、5年間は、管理区域内で仕事ができなくなる。〕
だから、なるべく長く仕事ができるように、線量の高い作業に行ったら、次はそうじゃない作業に、という具合に、交代交代で回しながらやっている
みんな、生活がかかってるからね。
 
果たして、そういうやり方がいいのかどうかはわかないけど、今のところは、私ら、それで納得してやっていくしかないんだよね。

ただ、放射線っていうのは、浴びないでいいんだったら、浴びないに越したことはないと思うよ。
原子をいじって、エネルギーを取りだそうとするわけでしょ。
その弊害なんだから。
私はそう考えている。


――電離検診は?

斉藤:
月に一回ね。
これなんか、納得できないものがあるね。
 
私ら、毎月、病院に行って、自分の体のデータを、東電にしろ、国にしろ、提供しているわけさ。
なのに、彼ら、それに対して、何の回答も返信もない
おかしいんじゃないの。
現場では、みんなそう思ってるよ。
データだけとって、彼らだけは知っていて、本人には教えないなんて、それだったら、モルモットといっしょじゃない。
「ああ、ちょっとこの人、病んできたな。もうすぐガンが発生するんじゃないか」とか。
20年ぐらい先に、「放射線を浴びると、こうなるんですね」という研究成果を発表するために、データ取りをしているだけだよ。
その実験材料にされているんだから、たまったもんじゃないよ。





原発をやめる覚悟

【斉藤さんは、収束作業の最前線にいながら、原発の是非、日本の未来、文明の限界といった問題について考えていた。
 いや、原発事故という、現代文明のもたらした災害に向き合っているからこそ、考えざるを得ない、ということかも知れない】

斉藤:
原発は、もうやめた方がいいと思うよ。
ただ、やめた場合、日本は経済的に落ち込むよね。
他の国との競争にも負けるでしょう。
 
一度、文明の味を覚えた者が、それを捨てる覚悟をできるのか。
どっかに行くにも新幹線に乗らないで、鈍行で行けるだろうか。
誰も行かないじゃないの。
新幹線どころかリニアだと
どうしてそんなものがいるんだろうね。
国民が、みんな、隣りがテレビを持っているからウチもテレビ、ピアノがあるからウチもピアノってやってきたわけでしょ。
 
私は、人間が、何か踏み込んではならないところまで踏み込んでいるような気がしてならない。
遺伝子操作とか、原子力とか
車に例えれば、ブレーキの要領がわからないのに、スピードが出るからってビュンビュン走っている感じ。
もうこの地球が、人間の文明を支え切れなくなっている。
何かがおかしいとしか思えない。


◇別の意味の豊かさ

もっと別の意味の豊かさとか幸福といったものに、目を向けて行くべきだと思うんだ。
里山で、現金は少ないけれども、こんなにいい自然と、田圃や畑がある生活。
そういうところに、文化の豊かさとか、心の豊かさとかがあるんじゃないか。
でも、日本人は、本来持っていた、そういう豊かさを壊しながら、経済的な豊かさを求めて、原発もつくってきたわけでしょう。
そういう文明を捨てられないというなら、やっぱり原発なりなんなりが必要だ、という話になるよね。
日本という国は、どういう選択をするのか
その辺をもっと、真剣に議論していかないといけないじゃないの。


◇具体的には難しい

たしかに、今回の事故をきっかけに、そういう文明はちょっともうおかしいんじゃないかと、感じている人も出て来てるよね。
でも、そういう人たちが出て来ても、他方でやっぱりやめられない人たちがいて、
やめられないという人の方が裕福で力があるから、そこで人間同士のいさかいとか、いじめだとか、国同士の対立とかが起こるんじゃないか。

私ら、現場で、ガレキをひとつひとつ処理するような作業をしながら、でも、本当にこれからどうなるのかってことを考えてしまう
そうすると、本当に、頭痛がするような気持ちなんだ。


◇賛成でも反対でも収束作業は必要
 
とはいえ、原発に賛成だとか反対だとかというのは、好きなだけやってくれたらいい。
だけど、どっちにしろ、壊れてしまった原発を、何とか止めないといけないわけでしょ。
収束作業は、とにかくやり続けるしかない
やらなければ、またドーンと行きかねないんだから。
そこのところを、まず、考えてもらいたいんだな。
 
だから、原発に賛成だという人には、
じゃあ、この収束作業のこの状態はどうなんですか、この、先の見えない現実を見ても賛成なんですか」と訊きたいね。
 
逆に、原発に反対だという人には、
じゃあ、反対反対って言ってるけど、この収束作業を進めるために、誰かが飛び込んで行って、犠牲にならないと仕方がないじゃないですか」と。

もし今、私らが作業をやめてしまって、誰も何もしないで放っておいたら、また放射能をまき散らすようなことが起こるわけなんだから。
だから、誰かがやらないと
で、誰がやればいいんだい?
収束作業の本当に詰めた話になると、そういう問題になるんだよ。
 
だから、賛成だとか反対だとか、収束作業がどうだとかこうだとか、外から言ってるんじゃなくて、一度、ここに来なさいよと。
それができないにしても、せめて、私らのような人間が、ピーってAPDが鳴る音に怯えながら、作業をしているんだということを、頭のどっかに置いていろいろ考えてほしいと思うんだ。
 
私ら、自分たちが今やっていることに、どういう意味があるかなんてことは、今は分からない。
ただ、いつか死ぬときになって、自分らが多少でも、いろんなことをしたお蔭で、少しは収束に向かったのかなあと思えれば、まあ、それでいいんじゃないのかな、という気持ちなんだ。(了)


↑以上、転載おわり

*付記
この、斎藤さんの言葉を読んだ友人歩美ちゃんが、こんなコメントをくれました。

「文明」この言葉を読んで、ガンジーが訪英した時、イギリス人記者に、
「このイギリス文明を見て、どう思われますか?」と訊かれたときの返答を思い出します。

「文明?それがあればいいね」


さらにこれは、日本山妙法寺開祖、藤井日達上人の言葉です。

「文明とは電灯のつくことでもない、飛行機の飛ぶことでもない。原子爆弾を製造することでもない。
 文明とは人を殺さぬことである、物を壊さぬことである、戦争しないことである、お互いに人間が親しむことである、お互いに人間が敬うことである」





さて、現場という意味では、地元住民の方々の、原発再稼働への反応について、こんな意見を聞きました。武田邦彦氏のものです。ご紹介します。

↓以下、転載はじめ


https://www.youtube.com/watch?v=cgmEBYzuPiA

原発再開と地元住民の責任
http://takedanet.com/archives/1020479241.html
武田邦彦・平成27年2月23日

ある報道で、原発が再開される地方の女性が、大喜びしているのが伝えられた。
「お金が落ちる」と言うことだが。
福島原発事故で福島の人が被災したのは「被害者」だが、なぜ被害者かというと、「政府や自治体が福島県民をだましていたから」である。

大人なら、「自分が決定権がある」というものについては、その決定によって他人が被害を受けたら、決定の権限に応じて、責任を分担する必要がある。
これまでは、政府や自治体が、「地震でも大丈夫」とウソを言っていたのだから、住民がそれに惑わされて原発誘致を決めた、ということがいえるが、今はそうではない。

もし、電力会社や自治体が、今でも「安全だ」といっても、福島原発事故から、安全技術は進歩していない。
規制を厳しくしても、電力会社が悪意をもっていなければ(福島原発事故までも最善を尽くしているなら)、技術が向上していなければ、危険の程度は変わらないからだ。

たとえば、「活断層を調べる」ということを行っているのは、原発の建設の時だけだ。
高層マンションも新幹線の線路も、震度6で破壊してしまっては困るが、活断層の調査なしで工事が行われる。
もし、新幹線の架台が、下に活断層が通っていたらダメなら、日本列島は活断層だらけなので、ぐねぐねした線路になるはずである。

日本の重要建築物の中で、原発がもっとも地震に弱いから、活断層の上に作れないということは、テレビを見ていれば普通の人はわかる状態でもあり、
さらに、福島原発(第一は爆発、第二はほとんど津波がなかったのに爆発寸前)の状態を見ているのだから、「知らない」とはいえない状態にある。

だから、福島原発が爆発して、原発がどのぐらい危険なのか、素人でもはっきりわかる状態だ。
それでもお金が欲しいから、原発を再稼働すると決めた市町村の人たちは、
もし原発に事故が起こり、それを電力会社が補償できなければ、再開に賛成した住民が、被害を受けた人たちに補償しなければならない。

「決定権」というのは「責任」を伴うもので、日本人なら、そのぐらいの覚悟はしてほしい。
「自分は一般の国民だから、何を決めても義務は生じない」というと、「民主主義」の原則にも反する。
私たちは主権者であり、投票もし、住民集会も行われる。
地元の承認というのを重く考えてくれているのだから、そのときこそ国民が、
「私が主人だ。主人だから、決めたことには責任を持つ。だから国民の意見を聞くべきだ」というのでなければ、日本の原発の安全性も上がらないだろう。

「原発反対」を叫ぶのは、私たちの力がなく、民主主義ではないときのことだろう。
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安倍内閣は金まみれの“総汚染”!知らなかったで済まそうとしてるボンクラ共を、今こそ除染しよう!

2015年03月03日 | 日本とわたし
昨日、この写真を見たところだったのに…、


さらに今日は…、

↓以下、引用はじめ
引用元:http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/157723/1

安倍内閣は“総汚染”か…塩崎厚労相にも「違法献金の疑い」浮上
【日刊ゲンダイ】2015年3月4日

口利き疑惑もくすぶったまま

次々と発覚する閣僚の「違法献金」疑惑に、新メンバー加入だ。



塩崎恭久厚労相が、代表の自民党支部が13年、国の補助金の交付決定を通知された2社から、寄付を受けていたことが、日刊ゲンダイ本紙の調べで分かった。
どちらも、補助金の交付決定通知から1年以内の政治献金を原則的に禁じる、政治資金規正法に違反する可能性がある。
「博友会」疑惑を抱える下村文科相も含め、安倍政権は総汚染状態だ。


↑以上、引用おわり

これはもう、主権者としては、メディアの呆けた頭にゲンコツ喰らわして、徹底的に追及させるべきです。
最低限の自己管理すらできない人間が、このような要職に就き、バレたら誤魔化してハイ終わり!なんてことでは済まないことを、教えてあげましょう!
こんなひどい汚染は、しっかり除染しないと、後々まで汚れが残ってしまいます。
報道局、新聞社、週刊雑誌、ラジオ、テレビなどに、しっかり調べてきっちり報道するよう、応援と期待の気持ちを伝えましょう!
コメント (4)
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「米国に挑む二つの島、それを支え共に闘い、北東アジアにまん延する軍拡競争を和らげよう」Ahn氏

2015年03月02日 | 日本とわたし
すっかりくたばっていた昨日は、一昨日から2日間の予定で、Helen Caldicott博士による『核兵器廃絶』のシンポジウムが行われていました。
お話を伺いたい方ばかりの講演会でしたが、どうにも体がついてきてくれないので、参加した歩美ちゃんからまた、話を聞かせてもらおうと思っていたところ、
昨日の記事『「政府のやることはあまりにも幼稚。日本国民であることが情けなく、とても悲しい」辺野古地元高校生』に、こんなコメントを入れてくれました。

『Helen Caldicott博士の「核兵器廃絶」のシンポに行って参りました。
昨日は、奇しくもブラボー水爆実験の、61回目の記念日。
アメリカ軍のせいで、健康のみならず、放射能汚染で住んでいる島を離れなければならず、
その後も健康被害に対する補償もなく、医療へのアクセスもなく、アメリカへの市民権や移民としてのスティタスも認められず、保険にも加入できないマーシャル諸島の人々の、
「失われたシンプルライフ、美しい海と豊富な魚、フルーツ、そして先祖からの神聖な土地、文化そのものを失った悲しみ」、
そして今では、気象変動による海面上昇により、島自体を失おうとしている事実…、
沖縄の人々と重なるのです。

3月26日、もうすぐ沖縄戦から70周年の日が来ます』









米国に挑む二つの島

正義への責任
ー世界から沖縄へー
クリスティーン・アン氏(著述業、平和活動家)

沖縄と朝鮮、つながる闘い

去る12月、辺野古の海岸を歩きながら、この地での基地建設反対の闘いと、韓国済州島の海軍基地建設反対運動との相似性を考えた。
どちらも、人々は、持てる全てを注ぎ込んできた
日々の暮らし、貯金、家族との関係、身の安全、時には自由さえも

地域社会を軍事化から守り、あらゆる生命体が依存している貴重な生態系を守るためだ。
どちらの地も、中央政府に軽んじられてきた歴史を持つが、沖縄人も済州島住民も、自国政府と、世界最強の軍隊を持つ米国に対して、挑戦してきた

私が昨年、沖縄に行ったのは、翁長雄志氏が、新基地反対の立場で知事選に勝った直後であったが、その時思った。
済州島住民はどうして、基地建設を招いた非民主的な過程に立ち挑む指導者を、選ぶことができなかったのか。

一つの大きな違いは、沖縄の場合、基地の主体は明らかに外国勢力であり、特に、女性や子どもへの性暴力という、凶悪犯罪の歴史を抱える海兵隊の基地であることだ。
済州島の場合は、米軍が新吉を使う、という証拠はそろっているが、公式には、自国防衛のためとされている。

さらに深く考えると、双方の島の抵抗運動の接点は、未解決の朝鮮戦争にある
この戦争は、7千万人の国民を、いまだに戦争状態下に置いたままだ。
1945年、日本の敗戦後、米国は、35年間日本の植民支配下にあった朝鮮半島に上陸した。
解放と主権回復を待ち望んでいた朝鮮の人々の合意もなく、米国とソ連は、半島を、38度線で分断した。

この分断は一時的なものであるはずだったが、別々の国家が形成され、1950年から53年の朝鮮戦争を招いた
この戦争は、400万にも及ぶとされる死者(主に朝鮮の民間人)を生んだ後、53年7月27日に、北朝鮮、中国両軍と、国連軍を代表する米国による休戦協定が結ばれた。
3ヶ月以内には平和条約に調印する、との約束があったが、62年経った今も、我々は待たされたままだ。


人権抑圧に戦争利用

■紛争解決へ女性の力を

朝鮮戦争が未解決であることにより、南北の政府と日本、中国、米国といった地域の勢力が、ミサイル防衛から核兵器開発まで、巨額な軍事投資をしてきた
それに伴い、社会福祉、教育、育児支援といった分野への投資不足が恒常化している
沖縄でも、新基地を容認させるために、北朝鮮の脅威が利用されてきたと、平和運動家の高里鈴代氏は、私に語った。

また、南北両政府は、未解決の朝鮮戦争を、国家安全保障の名目で、人権抑圧に利用している
北朝鮮のそれは周知の通りだが、あまり知られていないのは、
韓国政府が、体制に抵抗する人、特に北朝鮮に同情的だったり関与したりする人を訴追するために、時代遅れの国家保安法(1948年施行)を用いていることだ。

国連人権委員会などが、韓国に対し、この曖昧な冷戦時の法律を、撤廃するよう勧告している。
1月には、コリア系米国人で54歳の主婦、シン・ウンミ氏が、北朝鮮への旅行記で、
当地の人々がいかに心優しく、朝鮮統一を望んでいるかということを書いただけで、
韓国政府は、国家保安法を用いて国外退去させ、5年間の入国禁止処分にしている。


しかし、朝鮮半島の分断がもたらした一番の悲劇は、幅約4キロの非武装中立地帯(DMZ)を挟んで、何百万もの家族が、離れ離れのままであることであろう。
昨年4月、韓国の朴槿恵大統領は、ドイツのドレスデンで、朝鮮統一について演説し、
2013年だけで3800人余りの人が、せめてもう一度我が子の手を握ることさえできれば、せめて生きていることだけでも分かればと願いながら、亡くなりました」と語った。

このような戦争状態を終わらせ、離散家族が再び一緒になれるよう、きたる5月24日、女性平和活動家30人が、南北朝鮮の女性たちと、
2015朝鮮半島の平和のための女性ウォーク」を行う。
ピョンヤンとソウルで、国際平和シンポジウムを開催し、南北朝鮮の女性たちの経験に耳を傾け、
戦争終結のために、どうやって女性の力を集結していくか話し合う。
私たちの望みは、平和を象徴する行動として、非武装中立地帯を歩いて渡ることだ。


■平和と和解は可能

平和が達成可能なものであり、それは、女性の地位向上と表裏一体であることは、歴史が示してきた通りである。
このウォークに参加するマイレード・マグワイア氏やレイマ・ボウィ氏は、それぞれ北アイルランド、リベリアの紛争解決に、具体的な役割を果たし、ノーベル平和賞を受賞した。
これらのケースのように、我々の非武装中立地帯を歩く試みにより、
朝鮮半島の緊張を緩和し、平和と和解は実際に可能なのであるという気持ちを、新たにすることができる。

私が朝鮮半島の問題に関与し始めたのは、1990年代、北朝鮮の食糧危機を知ったときだ。
北朝鮮問題を学べば学ぶほど、全ては、未解決の朝鮮戦争に起因していることが分かった。
私は、米国に住むコリア系米国人として、朝鮮半島を分断し固定化した米国政府の過ちを、米国国民に教えていく責任がある、と思った。

朝鮮半島の紛争を解決することは、その地の人々に、癒しと平和をもたらすだけではなく、
北東アジアにまん延する軍拡競争を、和らげる役割を果たす
だろう。
世界軍事予算のトップ10のうち、5カ国ー米国、中国、ロシア、日本、韓国ーが、この地域で軍事展開していることを考えると、その影響力は絶大である。

沖縄の人々が主権回復を求めているのと同様、朝鮮半島の人々も、他国の干渉を受けずに自己決定できるようになる将来を切望している。
覚えていてほしいことは、我々の闘いは全てつながっており、
沖縄の人々が基地なき平和な沖縄をたゆまず希求するとき、希望の光が地域全体、そして世界に照らされる
、ということだ。
よりよい未来の実現のために闘おう。

〓クリスティーン・アン(Christine Ahn)
ハワイ在住の著述家、平和活動家。
5月の、北緯38度線を渡る行動を率いる『女性たちが非軍事化する地帯』(womencrossdmz.org)代表。
コリア政策研究所、および『朝鮮戦争終結のための全米キャンペーン』共同代表。
『ニューヨーク・タイムズ』、『ネイション』など、主要メディアに執筆。
娘は、済州島にちなみ、Jejuと名付けた。




軍事暴力に国境はない ‥‥ 梅香里・沖縄・湯布院の人々による地域合作ドキュメンタリー

この梅香里(メヒャンニ)についての文章を、引用させていただきます。

韓国の米軍基地と反基地運動
引用元:http://www1.jca.apc.org/iken30/News2/N61/N61-11.htm
2000年8月
梅香里(メヒャンニ)、米空軍爆撃演習場

韓国の首都ソウルから南に60㎞、かつては「梅の香りが村を覆う」と呼ばれた梅香里は、
米軍の50年に亘る射撃、爆撃演習場として、「戦場」そのままの様相を残しています

米軍地上攻撃機による陸上機銃掃射演習場と、原爆の模擬投下訓練や、劣化ウラン弾などの砲弾を撃ち込む海上演習場を併設した梅香里は、
爆音被害や誤爆事故によって、人の住める地域ではないことが、米軍自らの科学的調査結果でも明らかになっているところです。
しかし、「人が住んでいるということが、実際の攻撃を想定した演習を実施できる好条件」と米軍人が言うほど、戦争の実験場になってしまっているのです。

長い間の米軍による実弾演習で、梅香里沖に浮かぶ一つの島は、跡形も無く消え去り、更にもう一つの島も、海上に僅かにその存在を現すのみとなっています。

今年(2000年)の5月8日には、演習中の米軍機がエンジントラブルを起こし、500ポンド爆弾が6つ、一挙に投下されました。

その事件に対する韓米合同調査団が、「直接被害無し」の発表を行うや、梅香里の住民たちは、直接闘争に立ち上がりました
そして、韓国全土から支援に駆けつけた人々と共に、現在、連日の反米軍基地闘争を、力強く展開しています。

日毎に高まる現地闘争は、沖縄や米海軍射撃場のあるプエルトリコのビエケス島住民とも、連帯闘争を繰り広げるべく、
戦闘警察の過酷な弾圧にも負けず、逮捕者、負傷者を出しながらも、果敢に闘われています。

彼らはもはや、「ヤンキーゴーホーム」を、堂々と声高らかに叫んでいます。
さる5月の「南北頂上会談」の流れも相まって、韓国では、米軍の存在そのものに対する熱い闘いが、
強靱な韓国民衆のエネルギーをもって、更に高まっていくでしょう。
いまや、従来考えられなかった劇的変化に向けて、すでに歴史は動き出しているのです。




↓海兵隊員として沖縄に駐留したことがある、政治学者ダグラス・ラミス氏のコメントです。


昔から、植民地管理というのは“間接統治”。

住民を統治側に立たせ、彼らを通して弾圧する。

植民地の伝統的なやり方。



自分たちが長年の間置かれていた立場が、まさか植民地同様のものであったとは、思いもしませんでした。
でも、それを踏まえて社会を見つめ直してみると、だからか…と納得がいくことがわらわらと出てきました。

アジア大陸に、NATOの基地を作らせないぞという強い意思を持って、諸国が連帯する必要があります。
わたしたちの闘いの全てはつながっている。
基地なき平和な沖縄を、稼働原発なき本土を、たゆまず希求する。
そしてその行動により生まれる希望に光が、その地域全体、日本、アジア、そして世界を照らす時が来るまで、
手をつなぎ、心をつなぎして、闘いを受け継いでいきたいと思います。
闘いという言葉は、時に強すぎる印象を与えるかもしれません。
闘いはなにも、手を振り上げたり、声を張り上げたりするだけのものではありません。
知ろうとする意欲を持つこと、知り得たことを身近な人と語り合うこと、伝えてみること、どこかに連絡をしてみること、
それらすべてが、闘うこととつながっています。
特別なことのように思わず、まず何かモヤモヤと不明なことがないか、じっくり考えてみませんか?
コメント (2)
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「政府のやることはあまりにも幼稚。日本国民であることが情けなく、とても悲しい」辺野古地元高校生

2015年03月01日 | 日本とわたし
日本に暮らす人の多くが、沖縄の問題や、原発の問題や、汚染地に留めさせられている人たちの苦しみを、
自分のことのように感じ、考えられるようになった時、
そうなった時、この国の再生への大きな第一歩が、踏み出されると思います。


目の前に広がるそれはそれは美しい海に、不気味な光を放つ海上保安庁の巡視船やフロートを、毎日見つめながら暮らしているある高校生が、
選挙に負けた腹いせに逆ギレし、いっそう卑劣な攻­撃を始めた政府を「ダダをこねる小さな子どもと変わらない、あまりにも幼稚だ」と非難し、
だから「日本国民であることが情けなく、そして­とても悲しくなります」と言いました。

もう、沖縄だけの問題、などと誤魔化すのはやめませんか?
新聞やテレビが全然伝えないから、などと言い訳するのはやめませんか?


彼の気持ちを受け取りながら、文字起こしをしました。



2015.2.22 『辺野古県民集会』 地元高校生の抗議演説(音声のみ)

会場にお集まりのみなさん、こんにちは。
今日の集会、登壇者の平均年齢を下げるのに、一役買っています。
高校二年の(お名前が聞き取れませんでした)といいます。
僕は、ここ辺野古キャンプシュワブ基地と大浦湾を挟んで対岸にある、瀬嵩という集落に住んでいます。
今日は、新基地建設に反対する地元住民として、また子どもとして、この問題に意見を述べるために、この前に立たせていただきました。
今日はよろしくお願いします。

僕の集落の目の前に広がる大浦湾は、とても美しい海です。
アオサンゴの群生や、絶滅危惧種に指定されているジュゴンをはじめとする珍しい生物が、多数生息しています。
そんな美しい大浦湾に今、10トンを超える巨大なブロックの塊が、サンゴ礁を押しつぶし、多数沈められています。
海上には、安全対策という名目で、対岸の瀬嵩の浜にまで届きそうなフロートが、建設現場を囲うように浮いています。
夜になると、海上保安庁の巡視船の光が、暗い海の上に不気味に浮かんでいるのです。

僕は、新基地建設の是非を問うた名護市民投票の年に生まれ、物心つく前から親に連れられ、この問題に関わってきました。
最初はただ手を引かれ、参加するだけの子どもだった僕も、今では自分の意思で参加する高校生になりました。
毎週土曜日に行っている『(?聞き取れませんでした)』も、今年で11年目になります。
長期化し、先の見えない戦いとなっていたこの問題ですが、今、大きく動き始めています。
確か、2014年は、1月の名護市長選挙に始まり、その年行われたすべての選挙において、新基地建設反対の候補者が当選を果たし、
強固なうちなーんちゅの民意を、日本政府に見せつけることができました。
誰もが、これでやっと、ずっと苦しんできた基地問題を終わらせることができる、そう思ったに違いありません。
しかし、日本政府は、沖縄県民が、いくら基地建設反対の民意を示そうとも、私たちに対する攻撃­の手をゆるめません。
それどころか、選挙に負けた腹いせに逆ギレし、いっそう卑劣な攻­撃を始めています。
ここまでくると、ダダをこねる小さな子どもと同じです。
日本政府のやることはあまりにも幼稚で、日本国民であることが情けなく、そして­とても悲しくなります。

先日、アメリカ海兵隊の広報担当の大尉が、私たちの抗議活動を、サッカーだと、茶番のようだ、と言いました。


******* ******* *******

↓参照記事
辺野古抗議のけが「茶番」 海兵隊報道次長
http://www.okinawatimes.co.jp/article.php/?id=102473

名護市辺野古への新基地建設に抗議する市民のけがが相次いでいることに関連し、在沖米海兵隊の現職大尉(37)が、
「サッカーじゃあるまいし。けがをしたように見せる姿は実際に見ると茶番だ」と、嘲笑する電子メールを送っていたことが分かった。

メールは、在沖米海兵隊報道部次長のケイリブ・イームス大尉が1月22日、英国人ジャーナリストのジョン・ミッチェルさん(40)に抗議するため送った。
ミッチェルさんが、今月10日付の英字紙「ジャパン・タイムズ」に記事を執筆し、明らかにした。

「茶番」の他にも、「動く車につかまり自ら引きずられておいて、すり傷を負ったと主張する」などと、抗議の市民を攻撃。
地元メディアについても、
「地元2紙は、私に面と向かって、偏った報道をし続けると宣言した」と主張した。

ミッチェルさんは1月、英字紙に書いた記事で、辺野古のけが人に触れた。
大尉は、「茶番」などと書いた抗議のメールを、軍用アドレスから送信し、報道部の同僚にも同報していた。
ミッチェルさんが、あらためて真意をただしたのに対し、大尉はメールで、
「辺野古ではなく、普天間で個人的に観察したこと」
「引用できる話でも、海兵隊の公式見解でもない」と釈明した。
10日夜の時点で、本紙の取材申し入れには回答していない。


******* ******* *******


体ひとつで工事車両に飛び出すことが、手漕ぎのカヌーで寒い海に漕ぎ出していく、この命を賭けた抗議活動のどこが、茶番だと言うのでしょうか!

海兵隊は、人としての尊厳や、誇りを感じる心が欠落している。
そんな海兵隊の要請を受けた日本政府は、抗議用のテントの撤去の指示をしてきました。
警察は、公務執行妨害だ、不法侵入だと言いながら、私たちの仲間を連れていきます。
今朝に至っては、アメリカ海兵ですら、私たちの仲間を連行していきました。
冗談ではありません!
本当に逮捕されるべきは、罪を犯しながらも基地内に逃げていく、海兵の方ではありませんか!
本当に撤去されるべきは、テントではなく、米軍基地の方ではありませんか!
戦後、沖縄県民を苦しめ続けてきた基地こそ、沖縄から撤去されるべきなのです。

今、私たちには、この島の、この海の、悲痛な叫びが聞こえます。
この声にだけは、決して(聞き取れませんでした)ならないのです。
みなさん、戦いましょう!
気が抜けない状況ですが、こちらに(聞き取れませんでした)きているのは、また事実です。
この先にある勝利と、静かで平和な沖縄を取り戻すために、これからも頑張っていきましょう!
ありがとうございました。
コメント (6)
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Excitement & Calm

2015年03月01日 | ひとりごと
昨日の夜は、ACMAの2014年度の定期コンサートの第二弾が、カーネギーホールで行われました。
わたしは怒涛の譜めくり女と化し、ひたすら己の存在を消しつつ、演奏者に寄り添い、音符を目で追いかけました。
とにかく、タイミングを外さない、2ページいっぺんにめくってしまわない、リピートやダ・カーポを見逃さないことが肝要です。
そしてなにより、演奏者自身の好みもあります。
これは同じピアノ弾きとしてすごくわかるので、ひとりひとりに確認をとりました。
え?もうめくっていいの?ほんとに?…みたいなタイミングでめくって欲しいページがある、などという、細かいリクエストにも応じたかったのです。

みんなが撮りっこした写真を、ちょいと拝借させてもらいました。
 







みんなみんな、ほんとに素晴らしいスピリッツの持ち主。
それぞれに仕事を持ち、暮らしを支えつつ、音楽への熱い情熱と深い探求心を持ち続けている人たち。
そして互いに励まし合い、支え合いして、思い出深い時を紡いでいく姿を、今回は舞台裏で、そして舞台上で、間近に見ていると、
なんだかもう温かくて、嬉しくて、楽しくて、またまた演奏への意欲がふつふつと湧き上がってきました。

今年のオーディションは受けようかなあ…。



さて、日が変わり、今日はまたまた雪です。




今日の雪は、さらさら、という音が聞こえてきそうなぐらいの粉雪です。
だから、3センチほど積もっても、ほうきで簡単に履き飛ばせます。
でも、今夜遅くに冷たい雨に変わるそうなので、明日は多分、スケートリンクみたいになってしまっているかもしれません。
もう3月に入ったというのに、三寒四温どころではなく、七寒零温?!
1000リットルのタンクが、またまた空っぽになりかけているので、明日また補充してもらわなければなりません…とほほ。
まあ、最高気温がやっと、零下ではなくなるようですけれども…。

今日は一日、夫とふたりで、ハマっているテレビドラマを何編も続けて観たり、料理をしたりして、ゆったりと過ごしました。
昨日、夫に鍼を打ってもらい、その後けっこう元気が出て、リハーサルから演奏会の終わりまで無事に過ごすことができたのに、
帰りの道中でいきなり不整脈が出たりして、これはもう少しゆっくりしなさい!のサインだと思い、従うことにしました。
雪が降ると眠くなるのか、空と海は、好きな場所でずっと眠っています。
たま~に起きては抱っこをおねだりして、満足するとまた眠る…まさに寝仔。
家の中で一緒にいることが、一番の安心なんだと思います。
コメント
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