教育無償化って言いだしましたね。
ふん、何言ってんだか。
そもそも、旧民主党政権が実現した高校授業料の無償化に反対し、所得制限を設けて無償化に背を向けたのは、安倍自民党政権。
教育無償化なんて、政治家が本気でやろうと思えば、今日からでもできる類のものです。
もうすでに実現しちゃってる町もあります。
どうしてみんなもしないんだろうって、そこの町長さんは言ってます。
給食の無償化をはじめてる町もあります。
憲法に加えないと実現できないことなんかではありません。
教育無償化って言葉で釣って、壊憲に弾みをつけようと企んでいるんでしょうけど、
本当にそれを実現したいのなら、これからまだまだ時間がかかるであろう憲法に潜り込ませたりしないで、さっさとやっちゃえばいいのです。
ちゃんちゃら可笑しいというのはこういうことを言うのです。
そういうデンデン坊々だから、国会でもこういう醜態を晒すのです。
9条改憲の真意を問われた安倍晋三の答えは…、
① 憲法のことは、憲法審査会で議論すればいいじゃないか。
② 読売新聞を熟読しろ。
③ 私の言葉は、首相と自民党総裁とで言い分けるから、そこのところをよく考えろ。
こんないい加減な人間に、憲法を弄らせるのは絶対にイヤだ!!
そう思いませんか?
******* ******* ******* *******
民進党の長妻衆院議員:
(総理は)「2020年までに新憲法施行」と…これの真意を教えていただければと。
******* ******* ******* *******
東京新聞・社説 2017年5月9日
首相の改憲発言
真の狙いはどこにあるのか。
安倍晋三首相が、憲法9条を改正し、自衛隊の存在を認める条文を加えることに意欲を示したが、
戦争放棄と戦力不保持の理念を、空文化する改正なら、許してはならない。
首相は、日本国憲法施行70年の節目に当たる3日、東京都内で開かれた憲法改正を訴える集会に、ビデオメッセージを寄せ、
「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。
9条空文化は許されぬ
改正項目にあげたのは、現行9条の1、2項を残しつつ、3項を設けて、自衛隊の存在を明記すること、
高等教育を含む、教育無償化を規定すること、の2点である。
9条に3項を加えるなどの「加憲」案は、公明党がかつて理解を示していた主張。
教育無償化は、日本維新の会の改憲案に盛り込まれており、
改憲実現に向けて、両党の協力を得る狙いがあるのだろう。
とはいえ、この内容からは、憲法を改正しなければ対応できない、切迫性は感じられない。
政府は、自衛隊について、憲法が保持を禁じる戦力には当たらず、合憲との立場を貫いてきた。
首相は、改正を要する理由に、憲法学者らによる違憲論を挙げたが、ならば首相も、そうした学者らと同様、自衛隊違憲の立場なのか。
自衛隊の存在はすでに、広く国民に認められている。
必要がないのに、改正に前のめりになるのは、別の狙いがあるからだろうか。
自衛隊の存在を明記するだけ、と言いながら、集団的自衛権の限定なしの行使を認めたり、
武器使用の歯止めをなくすような条文を、潜り込ませようとするのなら、断じて認められない。
教育無償化も同様だ。
無償化には賛成だが、憲法を改正しなくても、できることは多い。
そもそも、旧民主党政権が実現した、高校授業料の無償化に反対し、所得制限を設けて無償化に背を向けたのは、安倍自民党政権ではなかったか。
ご都合主義にもほどがある。
憲法は、主権者たる国民が、権力を律するためにある。
改正は、必要性を指摘する声が、国民から澎湃と湧き上がることが前提のはずだ。
首相の発言は、国民の代表たる国会で進められている、憲法審査会の議論にも水を差す。
自民党総裁としての発言だとしても、首相に課せられた憲法尊重、擁護義務に反するのではないか。
そもそも、東京五輪が行われる2020年と、憲法改正は関係がない。
内容は二の次で、自らの在任中の改正実現を優先するのなら、「改憲ありき」の批判は免れまい。
******* ******* ******* *******
これは、今から約3年前に、日刊ゲンダイが書いてくださった記事です。
今こそ読んでいただきたいと思い、ここに紹介させていただきます。
東大名誉教授・石田雄氏 「戦争に向かった戦前と似ている」
【日刊ゲンダイ】2014年7月7日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151621
学徒出陣した私には首相のいかがわしさがすぐ分かる
先月、朝日新聞の「声」欄に、「人殺しを命じられる身を考えて」という投書が載った。
末尾には、大学名誉教授 石田雄(東京都 91)とある。
この投書が話題になったのは、石田氏は戦争の生き証人であるだけでなく、
その生涯をかけて、「どうしたら、二度と戦争を繰り返さないか」を、研究してきた学者であるからだ。
投書した老学者の目に、いまの安倍政権はどう映っているのか。
――なぜ、投書を書かれたのか。やむにやまれぬものがあったのでしょうか?
私は軍国青年だったんですよ。
自分がなぜ、そうなったのか。
それを明らかにするために、研究者になったんです。
二度と戦争を起こさせないために、政治学、社会科学を研究してきたつもりでしたが、こういう時代が来ちゃった。
――こういう時代とは?
戦前、戦争に向かっていった時代と、非常に似ていますね。
しかし、この年ですから、デモにも行けないし、官邸前で大きな声を出すわけにもいかない。
社会科学者として何ができるか。
切実に考えて、やむなく、朝日新聞に投書したのです。
――具体的には、どの部分が、戦前と似ているのでしょうか?
私は、「日本の政治と言葉」という本を書いた際、「平和」という言葉が、歴史上どういうふうに使われたかを、フォローしたことがあるんです。
平和というのは、最初は、非暴力という意味で使われる。
しかし、日本においては、次第に、東洋平和という使い方をされて、日清、日露、日中戦争において戦争の大義にされていく。
これは、日本の戦争に限った話ではなく、ありとあらゆる戦争の言い訳、大義名分に、「平和」という言葉が利用されてきたのです。
唯一の例外が、ナチス・ドイツの侵略ですね。
こういう歴史を見ていれば、安倍首相が唱える「積極的平和主義」という、言葉のいかがわしさがすぐわかるんですよ。
――平和という言葉の使い方がまず、そっくりだと。
それと、排外的なナショナリズムのあおり方ですね。
積極的平和主義と排他主義が重なり合うと、非常に危険な要素になります。
平和とは非暴力であり、非暴力とは敵を憎まないことです。
敵を理解することで、問題を解決しようという考え方です。
しかし、今の安倍政権は、中国、韓国を挑発し、緊張をつくり出している。
そこに積極的平和主義が重なるものだから、危ないのです。
■もう一度「国のために死ね」と言うのか
――靖国参拝がいい例ですね。
論外です。
戦争体験者として、個人的な意見を言わせてもらえば、誰がお国のため、天皇陛下のために死んだものですか。
みんな無駄死に、犬死にだったんですよ。
歴史学者の藤原彰氏の調査によれば、戦死者の6割が餓死だったという。
特攻隊だって、どうせ死ぬなら、美しく死のうとしたわけで、誰も喜んで死んだわけじゃない。
それを美化し、首相が「尊崇の念を捧げる」などと言うのは、「もう一度、国のために死んでくれ」という宣伝だと思う。
死んだ人の霊を慰めたいと言うのであれば、それは二度と戦争を起こさないことなのです。
――政府は、集団的自衛権の行使についても、限定的であって、戦争する国になるわけじゃないと主張しています。
海外の邦人を保護するため、と言っていますね。
この理屈も戦前と似ています。
1932年の、第1次上海事変の直前、日本人の僧侶数人が、殺傷される事件が起こった。
日本政府は、邦人の生命を守るという名目で、上海の兵力を増強し、戦闘が拡大。
その後、本格的な日中戦争になりました。
個別的自衛権であれば、「日本の領土内に攻め込まれたとき」という歯止めがかかりますが、
邦人保護という名目で、海外に出ていけば、歯止めがなくなってしまうのです。
――駆けつけ警護はどうですか?
アフガニスタンで援助活動をしている、ペシャワール会の中村哲代表は、
「自衛隊が邦人救助に来るのは、危ないからやめてほしい」と言っています。
実際、ペシャワール会は、日本がインド洋の給油活動をする前は、車両に日の丸を掲げて活動していた。
それが守り札になったからです。
しかし、給油活動を境に、日の丸を消した。
米国と一体と見られる懸念があったからでしょう。
集団的自衛権による武力行使や、集団安全保障による制裁措置に、自衛隊が参加すれば、ますます、憎悪と攻撃の対象になる。
もうひとつ、集団的自衛権で海外に出ていけば、おそらく、米軍の傘下に入る。
邦人がいなくなったから帰ります、なんて言えるでしょうか。
米軍は無人機で攻撃する。
一般市民が巻き添えになれば、その恨みは、陸上で展開している自衛隊に向く。
こうなる可能性もあるわけです。
――戦後70年間、せっかく平和国家としての地位があるのに、あえて、それを捨てて、恨みを買う必要があるのか、ということですね。
言葉がわからない地域で武力行使をするのが、いかに危ないか。
イラクに駐留する米軍が、「止まれ」という制止を振り切った車両を攻撃したら、殺されたのは、お産が近づき、病院に急ぐ妊婦だったという報告もありました。
相互理解がなければ、どんどん、紛争は激化してしまう。
それよりも、日本は、戦後一人も、海外で人を殺していないという、プラスの遺産を生かすべきです。
非武装の支援に徹すれば、外交的パワーもついてくる。
その遺産を今、食い潰してしまうのは誠に愚かなことです。
■首相は、他者の気持ちが分からない人
――先生は、殺せと命じられた身にもなってみろ、と投書で書かれましたね。
私の父親は、二・二六の直後に、警視総監になったものだから、寝るときも、枕元に拳銃を置いていた。
父親は、神経がもたず、8カ月で辞任しましたが、私も武器恐怖症になって、不眠症が続いた。
学徒出陣となって、徴兵検査のときは、兵隊に行くべきだと思っていたが、人を殺す自信がなかった。
東京湾の要塞重砲兵に、配属になったのですが、軍隊というのは、いつでも誰でも人を殺せる人間を作る。
そういうところなんですね。
敵を突き殺す訓練をやらされ、「そんなへっぴり腰で殺せるか」と殴られる。
命令があれば、それがいいか悪いかを考えちゃいけない。
なぜそれをやるのかを聞いてもいけない。
幸い、負け戦でしたから、敵が攻めてきて、殺されるのを待っているような状況でした。
そんな中、東京空襲に来た米軍の戦闘機が、東京湾に墜落して、パイロットが泳いできたんですね。
捕まえて司令部に報告すれば、「殺せ」と命令されるかもしれない。
捕虜を殺すのは国際法違反です。
しかし、命令に背けば、陸軍刑法で死刑です。
これは大変なことになった、と悩みました。
――しかし、命令する側は、平気で「殺せ」というわけですね。
憲法解釈を変えれば、同じような境遇に、自衛隊員も置かれる。
殺される方もたまらないが、殺す方も大変だ。
そういう国に戻そうとしている安倍首相という政治家を、どう見ていますか?
自分よりも不利な人の立場で、物事を考えられないのだと思います。
他者感覚の欠落、共感能力の欠如というか、ずっとチヤホヤ育てられると、そうなっていくのかもしれません。
デンマークの陸軍大将、フリッツ・ホルンは、戦争絶滅法案なるものを提唱していて、開戦後10時間以内に、元首、首相、閣僚、議員を最前線に行かせる。
そういうことを決めれば、戦争はなくなると言っています。
そういう立場に立たされれば、積極的平和主義なんて、簡単に言えるわけがないのです。
――国民も正念場ですね。
一番恐れているのは、沈黙の螺旋です。
出る杭は打たれるからと黙っていると、その沈黙がだんだん広がって、誰も声を出せなくなる。
若い人の方が、「出る杭は打たれる」と心配するでしょうから、ここは年長者が声を出さなければいけない、と思います。
(聞き手=本紙・寺田俊治)
◇いしだ・たけし
1923年6月7日生まれ。
旧制成蹊高校から東北帝国大学法文学部へ。
在学中に学徒出陣を受け、東京湾要塞重砲兵連隊に入隊。
復員後、東大法学部へ。
東大社会科学研究所教授・所長、千葉大法経学部教授などを歴任。
著書多数。
******* ******* ******* *******
『戦争絶滅法案』大賛成!!
国会で提起してください!!
開戦後10時間以内に、元首、首相、閣僚、議員を、最前線に行かせる!!
これを国際法案として可決されるよう、どんどん推しましょう!!
ふん、何言ってんだか。
そもそも、旧民主党政権が実現した高校授業料の無償化に反対し、所得制限を設けて無償化に背を向けたのは、安倍自民党政権。
教育無償化なんて、政治家が本気でやろうと思えば、今日からでもできる類のものです。
もうすでに実現しちゃってる町もあります。
どうしてみんなもしないんだろうって、そこの町長さんは言ってます。
給食の無償化をはじめてる町もあります。
憲法に加えないと実現できないことなんかではありません。
教育無償化って言葉で釣って、壊憲に弾みをつけようと企んでいるんでしょうけど、
本当にそれを実現したいのなら、これからまだまだ時間がかかるであろう憲法に潜り込ませたりしないで、さっさとやっちゃえばいいのです。
ちゃんちゃら可笑しいというのはこういうことを言うのです。
そういうデンデン坊々だから、国会でもこういう醜態を晒すのです。
9条改憲の真意を問われた安倍晋三の答えは…、
① 憲法のことは、憲法審査会で議論すればいいじゃないか。
② 読売新聞を熟読しろ。
③ 私の言葉は、首相と自民党総裁とで言い分けるから、そこのところをよく考えろ。
こんないい加減な人間に、憲法を弄らせるのは絶対にイヤだ!!
そう思いませんか?
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民進党の長妻衆院議員:
(総理は)「2020年までに新憲法施行」と…これの真意を教えていただければと。
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東京新聞・社説 2017年5月9日
首相の改憲発言
真の狙いはどこにあるのか。
安倍晋三首相が、憲法9条を改正し、自衛隊の存在を認める条文を加えることに意欲を示したが、
戦争放棄と戦力不保持の理念を、空文化する改正なら、許してはならない。
首相は、日本国憲法施行70年の節目に当たる3日、東京都内で開かれた憲法改正を訴える集会に、ビデオメッセージを寄せ、
「2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい」と表明した。
9条空文化は許されぬ
改正項目にあげたのは、現行9条の1、2項を残しつつ、3項を設けて、自衛隊の存在を明記すること、
高等教育を含む、教育無償化を規定すること、の2点である。
9条に3項を加えるなどの「加憲」案は、公明党がかつて理解を示していた主張。
教育無償化は、日本維新の会の改憲案に盛り込まれており、
改憲実現に向けて、両党の協力を得る狙いがあるのだろう。
とはいえ、この内容からは、憲法を改正しなければ対応できない、切迫性は感じられない。
政府は、自衛隊について、憲法が保持を禁じる戦力には当たらず、合憲との立場を貫いてきた。
首相は、改正を要する理由に、憲法学者らによる違憲論を挙げたが、ならば首相も、そうした学者らと同様、自衛隊違憲の立場なのか。
自衛隊の存在はすでに、広く国民に認められている。
必要がないのに、改正に前のめりになるのは、別の狙いがあるからだろうか。
自衛隊の存在を明記するだけ、と言いながら、集団的自衛権の限定なしの行使を認めたり、
武器使用の歯止めをなくすような条文を、潜り込ませようとするのなら、断じて認められない。
教育無償化も同様だ。
無償化には賛成だが、憲法を改正しなくても、できることは多い。
そもそも、旧民主党政権が実現した、高校授業料の無償化に反対し、所得制限を設けて無償化に背を向けたのは、安倍自民党政権ではなかったか。
ご都合主義にもほどがある。
憲法は、主権者たる国民が、権力を律するためにある。
改正は、必要性を指摘する声が、国民から澎湃と湧き上がることが前提のはずだ。
首相の発言は、国民の代表たる国会で進められている、憲法審査会の議論にも水を差す。
自民党総裁としての発言だとしても、首相に課せられた憲法尊重、擁護義務に反するのではないか。
そもそも、東京五輪が行われる2020年と、憲法改正は関係がない。
内容は二の次で、自らの在任中の改正実現を優先するのなら、「改憲ありき」の批判は免れまい。
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これは、今から約3年前に、日刊ゲンダイが書いてくださった記事です。
今こそ読んでいただきたいと思い、ここに紹介させていただきます。
東大名誉教授・石田雄氏 「戦争に向かった戦前と似ている」
【日刊ゲンダイ】2014年7月7日
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/151621
学徒出陣した私には首相のいかがわしさがすぐ分かる
先月、朝日新聞の「声」欄に、「人殺しを命じられる身を考えて」という投書が載った。
末尾には、大学名誉教授 石田雄(東京都 91)とある。
この投書が話題になったのは、石田氏は戦争の生き証人であるだけでなく、
その生涯をかけて、「どうしたら、二度と戦争を繰り返さないか」を、研究してきた学者であるからだ。
投書した老学者の目に、いまの安倍政権はどう映っているのか。
――なぜ、投書を書かれたのか。やむにやまれぬものがあったのでしょうか?
私は軍国青年だったんですよ。
自分がなぜ、そうなったのか。
それを明らかにするために、研究者になったんです。
二度と戦争を起こさせないために、政治学、社会科学を研究してきたつもりでしたが、こういう時代が来ちゃった。
――こういう時代とは?
戦前、戦争に向かっていった時代と、非常に似ていますね。
しかし、この年ですから、デモにも行けないし、官邸前で大きな声を出すわけにもいかない。
社会科学者として何ができるか。
切実に考えて、やむなく、朝日新聞に投書したのです。
――具体的には、どの部分が、戦前と似ているのでしょうか?
私は、「日本の政治と言葉」という本を書いた際、「平和」という言葉が、歴史上どういうふうに使われたかを、フォローしたことがあるんです。
平和というのは、最初は、非暴力という意味で使われる。
しかし、日本においては、次第に、東洋平和という使い方をされて、日清、日露、日中戦争において戦争の大義にされていく。
これは、日本の戦争に限った話ではなく、ありとあらゆる戦争の言い訳、大義名分に、「平和」という言葉が利用されてきたのです。
唯一の例外が、ナチス・ドイツの侵略ですね。
こういう歴史を見ていれば、安倍首相が唱える「積極的平和主義」という、言葉のいかがわしさがすぐわかるんですよ。
――平和という言葉の使い方がまず、そっくりだと。
それと、排外的なナショナリズムのあおり方ですね。
積極的平和主義と排他主義が重なり合うと、非常に危険な要素になります。
平和とは非暴力であり、非暴力とは敵を憎まないことです。
敵を理解することで、問題を解決しようという考え方です。
しかし、今の安倍政権は、中国、韓国を挑発し、緊張をつくり出している。
そこに積極的平和主義が重なるものだから、危ないのです。
■もう一度「国のために死ね」と言うのか
――靖国参拝がいい例ですね。
論外です。
戦争体験者として、個人的な意見を言わせてもらえば、誰がお国のため、天皇陛下のために死んだものですか。
みんな無駄死に、犬死にだったんですよ。
歴史学者の藤原彰氏の調査によれば、戦死者の6割が餓死だったという。
特攻隊だって、どうせ死ぬなら、美しく死のうとしたわけで、誰も喜んで死んだわけじゃない。
それを美化し、首相が「尊崇の念を捧げる」などと言うのは、「もう一度、国のために死んでくれ」という宣伝だと思う。
死んだ人の霊を慰めたいと言うのであれば、それは二度と戦争を起こさないことなのです。
――政府は、集団的自衛権の行使についても、限定的であって、戦争する国になるわけじゃないと主張しています。
海外の邦人を保護するため、と言っていますね。
この理屈も戦前と似ています。
1932年の、第1次上海事変の直前、日本人の僧侶数人が、殺傷される事件が起こった。
日本政府は、邦人の生命を守るという名目で、上海の兵力を増強し、戦闘が拡大。
その後、本格的な日中戦争になりました。
個別的自衛権であれば、「日本の領土内に攻め込まれたとき」という歯止めがかかりますが、
邦人保護という名目で、海外に出ていけば、歯止めがなくなってしまうのです。
――駆けつけ警護はどうですか?
アフガニスタンで援助活動をしている、ペシャワール会の中村哲代表は、
「自衛隊が邦人救助に来るのは、危ないからやめてほしい」と言っています。
実際、ペシャワール会は、日本がインド洋の給油活動をする前は、車両に日の丸を掲げて活動していた。
それが守り札になったからです。
しかし、給油活動を境に、日の丸を消した。
米国と一体と見られる懸念があったからでしょう。
集団的自衛権による武力行使や、集団安全保障による制裁措置に、自衛隊が参加すれば、ますます、憎悪と攻撃の対象になる。
もうひとつ、集団的自衛権で海外に出ていけば、おそらく、米軍の傘下に入る。
邦人がいなくなったから帰ります、なんて言えるでしょうか。
米軍は無人機で攻撃する。
一般市民が巻き添えになれば、その恨みは、陸上で展開している自衛隊に向く。
こうなる可能性もあるわけです。
――戦後70年間、せっかく平和国家としての地位があるのに、あえて、それを捨てて、恨みを買う必要があるのか、ということですね。
言葉がわからない地域で武力行使をするのが、いかに危ないか。
イラクに駐留する米軍が、「止まれ」という制止を振り切った車両を攻撃したら、殺されたのは、お産が近づき、病院に急ぐ妊婦だったという報告もありました。
相互理解がなければ、どんどん、紛争は激化してしまう。
それよりも、日本は、戦後一人も、海外で人を殺していないという、プラスの遺産を生かすべきです。
非武装の支援に徹すれば、外交的パワーもついてくる。
その遺産を今、食い潰してしまうのは誠に愚かなことです。
■首相は、他者の気持ちが分からない人
――先生は、殺せと命じられた身にもなってみろ、と投書で書かれましたね。
私の父親は、二・二六の直後に、警視総監になったものだから、寝るときも、枕元に拳銃を置いていた。
父親は、神経がもたず、8カ月で辞任しましたが、私も武器恐怖症になって、不眠症が続いた。
学徒出陣となって、徴兵検査のときは、兵隊に行くべきだと思っていたが、人を殺す自信がなかった。
東京湾の要塞重砲兵に、配属になったのですが、軍隊というのは、いつでも誰でも人を殺せる人間を作る。
そういうところなんですね。
敵を突き殺す訓練をやらされ、「そんなへっぴり腰で殺せるか」と殴られる。
命令があれば、それがいいか悪いかを考えちゃいけない。
なぜそれをやるのかを聞いてもいけない。
幸い、負け戦でしたから、敵が攻めてきて、殺されるのを待っているような状況でした。
そんな中、東京空襲に来た米軍の戦闘機が、東京湾に墜落して、パイロットが泳いできたんですね。
捕まえて司令部に報告すれば、「殺せ」と命令されるかもしれない。
捕虜を殺すのは国際法違反です。
しかし、命令に背けば、陸軍刑法で死刑です。
これは大変なことになった、と悩みました。
――しかし、命令する側は、平気で「殺せ」というわけですね。
憲法解釈を変えれば、同じような境遇に、自衛隊員も置かれる。
殺される方もたまらないが、殺す方も大変だ。
そういう国に戻そうとしている安倍首相という政治家を、どう見ていますか?
自分よりも不利な人の立場で、物事を考えられないのだと思います。
他者感覚の欠落、共感能力の欠如というか、ずっとチヤホヤ育てられると、そうなっていくのかもしれません。
デンマークの陸軍大将、フリッツ・ホルンは、戦争絶滅法案なるものを提唱していて、開戦後10時間以内に、元首、首相、閣僚、議員を最前線に行かせる。
そういうことを決めれば、戦争はなくなると言っています。
そういう立場に立たされれば、積極的平和主義なんて、簡単に言えるわけがないのです。
――国民も正念場ですね。
一番恐れているのは、沈黙の螺旋です。
出る杭は打たれるからと黙っていると、その沈黙がだんだん広がって、誰も声を出せなくなる。
若い人の方が、「出る杭は打たれる」と心配するでしょうから、ここは年長者が声を出さなければいけない、と思います。
(聞き手=本紙・寺田俊治)
◇いしだ・たけし
1923年6月7日生まれ。
旧制成蹊高校から東北帝国大学法文学部へ。
在学中に学徒出陣を受け、東京湾要塞重砲兵連隊に入隊。
復員後、東大法学部へ。
東大社会科学研究所教授・所長、千葉大法経学部教授などを歴任。
著書多数。
******* ******* ******* *******
『戦争絶滅法案』大賛成!!
国会で提起してください!!
開戦後10時間以内に、元首、首相、閣僚、議員を、最前線に行かせる!!
これを国際法案として可決されるよう、どんどん推しましょう!!