杯、盃、ぐい吞などは酒を飲む際に使用する器で、現在ではほとんどが陶磁器製品です。
江戸中期以前は、主に漆塗りの杯(木製)が用いられ、それ以降に陶器製の徳利と盃が使われる
様になったとの事です。 その形や大きさは千差万別ですが、アルコール濃度の濃い酒(日本酒や
蒸留酒など)は比較的容量が小さく、ビールやワイン及び蒸留酒を水などで,割って飲むアルコール
濃度が薄い場合に使用する器は、比較的容量が大きな器になっています。
注1: 杯は酒を盛る器の全てに当てはまる漢字ですが、盃は一般に日本酒を飲む際に使用する
杯を指します、いずれも「さかずき」と読みます。但し杯は「はい」とも呼びます。
注2: 賜杯(天皇より賜った杯)や大きな金杯、優勝カップなどの何々杯と呼ばれる杯は、実際に
使用する事を前程に作られた訳ではありません。あくまでもシンボルとしてその存在感を
示す物で、ほとんどが金属製で、類型的な形をした物が多いです。
(尚、木製に漆塗りのものもあります。)
注3: ぐい吞は、酒器と言うより、他の目的で作られたものを、盃として転用したのが始まりで、
大振りの酒杯に見立てて使い、独酌の場合や、急いで飲む場合などに用いられます。
今一番人気のある盃は、ぐい吞で多くの作家が、独自の形や意匠を凝らして手掛けて
発表(発売)しています。
ウイスキーやビール、ワインなどの洋酒を飲む際には、ガラス製品の器を使う事が多いですが、
近頃では陶磁器製の器も好まれて使われる様になりました。
1) 盃の持ち方: 山口瞳氏の書かれたものからの引用です。
注: 山口瞳(やまぐち ひとみ、本名同じ1926年~ 1995年) 男性の作家、エッセイスト。
「まず盃を持ってくれたまえ。そうだ。誰でも人差し指と親指で盃を持つだろう。中指を盃の下部に
軽く添える人もいるかも知れない。それでいい。この際、人差し指と親指は、盃の円の直径を指し
示す形になる。これも自然にそうなるはずである。そうでないと盃が落ちてしまうし、落ちない
までも不安定で、余分な力を必要とすることになる。そうやって盃を持ったら、これを唇に近づける
そうして、人差し指と親指の中間のところから飲むのである。この際に、舐める様にではなく、
盃の酒を口の中に放り込む様にして飲む。これが正解である。これが見た目に綺麗な酒の
飲み方である。」とし、続けて徳利の持ち方も記述しています。
「徳利の持ち方は非常に簡単である。銚子を持つ。それをそのまま倒せばいい。親指と残りの
四本の指で持つ。そうして、親指を下に向ける様にして倒すのである。相手に向かって縦に突き
だしてはいけない。銚子をひねってはいけない。それだけのことである。」と記述しています。
以上 何かの参考に成ればと紹介しました。
以下次回に続きます。