2) 良い盃とは。
① 何よりも、使い勝手の良い盃が一番です。
人によっては毎日晩酌する事でしょう。その際、数種類の盃を持っていても、主に使う盃は
自ずから限定されてしまい勝ちです。使い勝手の良い盃とは?、
) 適度の大きさである事です。
酒を大量に召し上がる人と、少なく召し上がる方では、前者では、やや酒の容量の大きな
器を使い、後者の場合には、やや小振りの器を使う事が多いです。
) 手に持った重さや、唇の当たる口縁部分の口当たりの良さも大切な要素です。
a) 一般に盃として市販されているのは、肉厚が薄い磁器製で、酒の容量も少な目で、軽く
出来ているものが多いです。
それは酒を酌み交わす相手がおり、しばしば儀礼上、お酌する事に意義(意味)があるから
とも言えます。即ち、注いで貰った酒は、直ぐに飲み干すのも、礼儀ですので、容量は少な目
が良い事になります。又飲み干し易い様に、底が狭く上部に開いている形が適します。
b) 独酌(手酌)の場合、自分のペースで酒を飲む事が出来るのが特徴です。
それ故、盃を直ぐに空にする必要もありません。更にある程度の肉厚が有れば、酒が
冷えるのを遅らせる事も出来ます。盃が若干重たいと手応えを感じ、酒を味わって
呑んでいる気持ちにも成ります。特に「ぐい呑」と言われる盃はこの傾向にあります。
c) 持ち易い器である事。手に持った時、若干引っ掛かりのある器でありたいです。
即ち、手の中にスッポリ納まり、手が滑ら無い様になっている事です。酒の酔いで手元が
狂う場合が生じ易いです。 この場合、盃を端反の形にしたり、胴の一部にへら目や凹みを
設けたり、更には表面に 「ざらつき」を持たせて、対処しています。
) その盃で飲むと酒が旨く感じる器である事です。
盃には、色々な形や色(釉や絵柄など)が存在します。一般に日本酒は無色透明ですので、
盃の中は底が見えます。底に絵柄が着いている物もありますが、殆どの場合無地が多い
です。陶器の盃は酒を注ぐと表面が水分を含み、表情がより豊かに変化します。この現象も
酒を旨く見せる事にも成ります。
) 使ってて飽きが来ない器や、季節感のある器である事。
見た目にも楽しく、愛らしい盃であっても、長らく使っていると飽きがくる盃もあります。
又、染付けの盃などは、見た目にも涼しく感じるもので、夏場などに使用するのに向いて
います。
) 使うほど肌に変化が現れる盃も楽しみの一つです。
「飲食物の器の中で、お茶と酒の器ほど、うるさいものはない」と言われる程、人により好みに
違いの出るものです。それ故、上記事項は参考までと考えてください。
尚、中国や朝鮮では、数千年の単位で、盃類が作られていますし、大量に作られて来ました。
我が国ねも事情は同じで、江戸時代以降に作られた盃類は、骨董品として、大量に存在すると
言われています。 勿論高価なものもありますが、比較的安価な盃も存在しています。
有名作家の新作物も大いに魅力的ですが、結構高価になっていますので、骨董品の中から、
好みの盃を見つける事も、一つの楽しみと成ります。
以下次回に続きます。