3) 焼成後に起こるトラブル。
① 窯出し後の確認作業。
) 作品の出来具合を一つ一つを確認する事です。確認事項は以下の項目です。
a) 作品に「割れ、ひび」等重大な欠陥は無いか。
さすがに作品が二分割する程、破損する事は稀ですが、口縁や底に割れが出来る事は
珍しくありません。生の状態や素焼きの段階で、「ひび」が入っている場合には、ほぼ確実に
割れとなって現れます。
カップ類の持ち手部などの接着した所に「ひび」などが入っていると、使用中に取れる恐れが
あります。この場合、「ひび」部に再度釉を流し込み焼成するか、目立たぬ様に陶磁器用の
接着剤で補修する事です。
b) 作品同士の「くっつき」は無いか。
窯詰めの際、指一本以上の隙間を開けますが、不安定な作品は、本焼きの焼成中に作品が
倒れ、隣の作品により懸かる場合には、確実に作品同士が「くっつき」ます。
c) 異物の付着。
焼き上がった作品に、異物が付着している事も多です。上で述べた「くっつき」も異物と言えば
異物ですが、それとは別の現象です。異物は外から来るものと、内から出てくる物に分かれ
ます。
イ) 外から来る異物は、器などの内側や、壷などの肩などに現れる事が多く、上から落ち
て来る物です。
これらは、窯の壁の欠片(かけら)や、耐火レンガを接着するモルタル類の欠片などです。
・ 窯も高温になると膨張し、冷えると収縮します。その為、常にレンガ類が膨張収縮を繰り
返し、モルタル類も緩みが出て、やがて剥がれ落ちます。
・ 壁を構成する耐火レンガに作品や棚板などが「ぶつかる」と、一部に小さな亀裂が入る
事もあります。この様な状態で長年使用していると、破片が落下する事になります。
ロ) 内側から出る異物は、素地に含まれている石粒(いしつぶ)などの異物です。
特に、再生粘土を使う場合に多く見られ、出現する場所も不定です。
・ 石粒は高温になると、熔け始め膨張し土の表面より現れます。
完全に熔ける事はありません。 多くの場合内部に気泡を持つ黒色の吹き出物状態です
釉が掛かっていても、釉の上に現れます。
この異物の表面は、ダイヤモンド・ヤスリで容易に取り除けますが、内部まで取り除くと
穴が開いてしまいます。出っ張り部は平らにし、内部までは掘り出さない方が良いかも
知れません。この傷を治した部分には、次に述べる水漏れ防止剤を塗ると良いでしょう。
・ 粘土に含まれる長石粒も、高温になると表面より吹き出てきます。この場合は透明又は
白色の粒になります。粗目の古信楽土を使うと出現しますが、これも一つの見所ですので
あえて取り除く必要はありませんが、手に持って痛い時や、洗った時に邪魔になる場合
には、ダイヤモンド・ヤスリで削り取ります。
d) 他の釉が「くっつく」場合。
イ) 器の内側に他の釉が落ちる。 内側の釉と口縁周辺の釉を別にした場合、口縁の一部の
釉が剥がれ、内側に落ち汚す場合があります。焼成前ならば取り除く事が出来ますが、
焼成後では不可能です。
ロ) 青織部の様に銅系の釉を使うと、隣の作品に銅が転写される事があります。
銅は高温になると揮発しますので、近くに作品があると、その揮発した銅が移ります。
その為、銅系の作品をまとめて窯詰めするか、他の作品は十分離した位置に置く事です。
ハ) 施釉した器に釉の種類などの、メモ用紙を入れて置く事があります。
注: メモを入れておく理由は、窯詰めなどで、こすれたり、ぶつかったりして釉の一部が
剥がれた際に、同じ釉で補修する為に入れておきます。
このメモを取り出さずに焼成してしまうと、紙の痕が周囲と異なる色として現れます。
それ故、窯詰めの際、メモ用紙などが無い事を確認する事です。
② 水漏れ現象。
以下次回に続きます。
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