1) 焼成中に起こる事。
① 焼成が原因で変形する。
② 焼成による収縮が大き過ぎる。
③ 「ひび割れ」は必ず拡大する。
④ 焼成中の剥離と切れ。
) 可塑性の大きい素地を急速に加熱すると、素地の表面が剥離する事や、切れる恐れがあり
ます。 可塑性が大きい事は、粘土の粒子が細かく、素地中の水分を通し難い事です。
素地中に留まった水分は加熱により蒸気となりますが、中々外に抜け出せず、やがて爆発し
ます。但し、生の状態ぼど水分を含まない為、爆発にも威力は無く、表面の剥離や切れとなり
ます。更に、肉厚の素地ではより顕著に現れます。
) 上記現象を防止するには、素地に珪砂やシャモット(素焼き程度の焼粉)、セルベン
(本焼きしたシャモット)を入れる事で、素地の通気性を持たせる事です。
) 焼成中の亀裂と冷却時の亀裂(冷割れ)。
a) 焼成中の亀裂は、幅が広く切り開いた様な形状をし、亀裂の内側にも釉が掛かった状態に
成っています。次に述べる冷割れとは、表情が異なりますので、区別が付きます。
b) 冷却中の亀裂は一点を中心にして、枝分かれ状態が特徴です。
又、亀裂部もガラスを割った様に、「ギザギザ」で尖った感じになります。亀裂の内側には
釉が掛かっていません。「冷割れ」の原因は、石灰分の多い素地を使っている場合や、粗い
珪砂などが混入している場合に発生し易く、収縮率の大きい作品に多いです。
・ 「冷割れ」を起こす温度範囲は、約 600~500℃の間と言われていますので、扉などは
密閉状態にし、絶対に開けない事です。
c) 石灰の多い素地を急冷したり、作品の一面のみに炎が強く当たる場合にも亀裂が入ります
⑤ 素地土に含まれる不純物。
) 天然に含まれる不純物は水簸(すいひ)する事で、取り除く事が出来る物もあります。
例えば、目に見える有機物は浮き上がりますので、容易に取り除く事が出来、小石や砂、
粒子の粗い粘土などは沈殿する事や、篩(ふるい)を通す事により取り除く事が出来ます。
) 水簸で分離出来ない物に、細かい酸化鉄があります。尚、粒子の粗い鉄粉などは、磁石で
取り除く事が出来ます。 問題に成るのは、硫黄と鉄の化合物の硫化鉄です。
a) 硫化鉄は高温で分解し、硫黄と鉄に分離します。
硫黄は燃料に含まれる水分と結合し、一部は希硫酸になり、鉄は酸化鉄になります。
いずれの成分も作品の表面に赤い斑点を作り、汚点となります。900℃程度では目立ちま
せんが、1100℃を超えると、黒色の酸化第一鉄となり目立つ様になります。釉を汚します
ので、硫化鉄を含む土は焼き物には使えません。
b) 硫化鉄を少量含む土は、処理すれば使える事が出来ます。
少量の硫酸鉄を含む土を、長期間大気中に放置して置くと、風化作用を受け硫酸鉄は
水に溶ける硫酸鉄と成りますので、水簸する事で取り除く事が出来ます。
) 可(水)溶性塩類は、悪さをする。
以下次回に続きます。
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