土練3年、轆轤6年(又は10年)、窯焚き一生と言う諺が有ります。
土練や轆轤技術は、3年又は6年間修行すれば、習得できるが、窯焚きは、一生掛かっても、満足できる
作品が焼きあがらず、その技術を会得する事が、困難である事を、表しています。
・ 詳しい事は不明ですが、かなり古い諺とも思われますが、実際はさほど、古くは無いかもかも知れません。
現在は、自前の窯を持っている方も多いですが、ほんの100年前(又は5~60年前)では、
窯を持つ人は、窯元と言い、極限られた人のみでした、陶工はその窯元に雇われて、作業する人が、
大半でした。又、数人~十数人が共同で使用する、共同窯が一般的で、窯焚き職人がいたとも
言われています。それ故、ご自分で窯を焚く人は、今よりかなり少なかったはずです。
それ故、「窯焚き一生」の言葉は、現代的な響きに感じられるのは、私だけでしょうか。
・ ここで言う窯焚きは、多分薪による、焼成の事と思われますが、現在では、かなり事情が変化して
います。焼成に数日間要し、夜間も交代で、薪を供給し続ける、薪窯に対し、電気による窯が、
かなり普及し、更に、マイコン制御が可能に成った結果、寝ていても、窯焚きが、可能であるとも、
言われています。
・ 電気ですと、「酸化焼成」と成りますが、ガスなどを供給して「還元焼成」が可能な窯もあります。
「酸化焼成」では、安定した焼き方に成る為、焼成により出来上がりの色に、差が出る事は少ないです。
「還元焼成」は、焼き上がりに変化を期待する焼き方です。
・ ガス窯や灯油窯は、燃料を燃やして、炎が発生します、この炎が作品に作用して、色が変化します。
これを、窯変と言います。以前は陶芸を「炎の芸術」と呼んでいた事がありましたが、近頃は
余り聞きません。
1) 「一焼き、二土、三細工(又は一土、二焼き、三細工)」と言う諺も有ります。
焼き物は、焼きの良し悪しで、評価が決まると言う諺ですが、焼きが良い悪いとはどの様な事を
指すのでしょうか。
① しっかり焼き締まっている事
土は高い温度で焼成する程、焼き締まります。焼き締まる事により、強度が増します。
但し、同じ焼成温度でも、土の種類によって、焼き締まり具合は、千差万別です。
鉄分を含む赤土などは、強く焼き締まり、砂成分を含む土は、焼き締まりが弱いです。
又、しっかり焼き締まっている作品は、硬い感じになり、焼きが甘い場合には、温か味が
出ますので、必ずしも、しっかり焼き締まった方が、良いとは限りません。
② 釉が熔け切ている事、熔け過ぎていない事
釉は熔けるのに、温度範囲があり、熔け不足も熔け過ぎも、焼きが良いとは言えません。
③ 所定の雰囲気で焼かれている事
窯の雰囲気は、酸化焼成、中性焼成、還元焼成と分かれますが、同じ釉でも、雰囲気によって
大きく変化する物と、雰囲気に関係なく、ほぼ同じに焼き上がる釉もあります。
酸化で焼成すべき釉は酸化で、還元で焼成すべき釉は、還元で焼成しないと、所定の色や艶が
出ません。但し、窯の雰囲気が変化し、思わぬ良い色に焼き上がる事が、有りますので、
所定外の雰囲気で焼かれた物も、一概に、焼きが悪いとは言いません。
④ 作品に傷がない事
窯から出した作品に、「割れやひび」の入った場合も、良い焼き上がりとは言いません。
一般にこのような作品は、壊される運命にあるのですが、例外的な作品に、伊賀水指「破袋」が
有ります。(重要文化財になっています。)
又、現代陶芸家の、ひびが入った作品が、堂々と高値で販売されているのを、目にする事が
有ります。それ故、作品の傷も、一概に焼きに失敗したと、言えない事もあります。
話が、横道に入りそうなので、「窯焚き一生」の話に戻します。
以下次回に続きます。
土練や轆轤技術は、3年又は6年間修行すれば、習得できるが、窯焚きは、一生掛かっても、満足できる
作品が焼きあがらず、その技術を会得する事が、困難である事を、表しています。
・ 詳しい事は不明ですが、かなり古い諺とも思われますが、実際はさほど、古くは無いかもかも知れません。
現在は、自前の窯を持っている方も多いですが、ほんの100年前(又は5~60年前)では、
窯を持つ人は、窯元と言い、極限られた人のみでした、陶工はその窯元に雇われて、作業する人が、
大半でした。又、数人~十数人が共同で使用する、共同窯が一般的で、窯焚き職人がいたとも
言われています。それ故、ご自分で窯を焚く人は、今よりかなり少なかったはずです。
それ故、「窯焚き一生」の言葉は、現代的な響きに感じられるのは、私だけでしょうか。
・ ここで言う窯焚きは、多分薪による、焼成の事と思われますが、現在では、かなり事情が変化して
います。焼成に数日間要し、夜間も交代で、薪を供給し続ける、薪窯に対し、電気による窯が、
かなり普及し、更に、マイコン制御が可能に成った結果、寝ていても、窯焚きが、可能であるとも、
言われています。
・ 電気ですと、「酸化焼成」と成りますが、ガスなどを供給して「還元焼成」が可能な窯もあります。
「酸化焼成」では、安定した焼き方に成る為、焼成により出来上がりの色に、差が出る事は少ないです。
「還元焼成」は、焼き上がりに変化を期待する焼き方です。
・ ガス窯や灯油窯は、燃料を燃やして、炎が発生します、この炎が作品に作用して、色が変化します。
これを、窯変と言います。以前は陶芸を「炎の芸術」と呼んでいた事がありましたが、近頃は
余り聞きません。
1) 「一焼き、二土、三細工(又は一土、二焼き、三細工)」と言う諺も有ります。
焼き物は、焼きの良し悪しで、評価が決まると言う諺ですが、焼きが良い悪いとはどの様な事を
指すのでしょうか。
① しっかり焼き締まっている事
土は高い温度で焼成する程、焼き締まります。焼き締まる事により、強度が増します。
但し、同じ焼成温度でも、土の種類によって、焼き締まり具合は、千差万別です。
鉄分を含む赤土などは、強く焼き締まり、砂成分を含む土は、焼き締まりが弱いです。
又、しっかり焼き締まっている作品は、硬い感じになり、焼きが甘い場合には、温か味が
出ますので、必ずしも、しっかり焼き締まった方が、良いとは限りません。
② 釉が熔け切ている事、熔け過ぎていない事
釉は熔けるのに、温度範囲があり、熔け不足も熔け過ぎも、焼きが良いとは言えません。
③ 所定の雰囲気で焼かれている事
窯の雰囲気は、酸化焼成、中性焼成、還元焼成と分かれますが、同じ釉でも、雰囲気によって
大きく変化する物と、雰囲気に関係なく、ほぼ同じに焼き上がる釉もあります。
酸化で焼成すべき釉は酸化で、還元で焼成すべき釉は、還元で焼成しないと、所定の色や艶が
出ません。但し、窯の雰囲気が変化し、思わぬ良い色に焼き上がる事が、有りますので、
所定外の雰囲気で焼かれた物も、一概に、焼きが悪いとは言いません。
④ 作品に傷がない事
窯から出した作品に、「割れやひび」の入った場合も、良い焼き上がりとは言いません。
一般にこのような作品は、壊される運命にあるのですが、例外的な作品に、伊賀水指「破袋」が
有ります。(重要文化財になっています。)
又、現代陶芸家の、ひびが入った作品が、堂々と高値で販売されているのを、目にする事が
有ります。それ故、作品の傷も、一概に焼きに失敗したと、言えない事もあります。
話が、横道に入りそうなので、「窯焚き一生」の話に戻します。
以下次回に続きます。
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