わ! かった陶芸 (明窓窯)

 作陶や技術的方法、疑問、質問など陶芸全般 
 特に電動轆轤技法、各種装飾方法、釉薬などについてお話します。

焼き物の着物(色彩)94 鍋島4

2014-06-08 22:30:10 | 陶磁器と色彩
3) 鍋島の様式と変途。(前回の続きです)

  ② 鍋島の文様や絵の描き方も、時代と伴に変化しています。

    鍋島で取り扱われた文様の種類は、染付の作品を含め500種類以上あると言われています

   ) 盛期(元禄年間)の鍋島の文様。

    a) 「元禄柿」銘の皿とは、皿の裏側に元禄の年号が記された作品です。

     ・ 最初に現れるのが、「元禄六酉 柿」と底に書かれた「色絵帆掛舟文葉形皿」

       です。以後、元禄八年、元禄十二年銘の作品が現れます。

      「色絵帆掛舟文葉形皿」:元禄六年銘 口径 17.2 X 23.6cm。

     ・ 形は桐の葉を連想させる、不整形の皿です。高台は糸切細工で作られています。

     ・ 素焼き後に、施釉本焼きがされている白磁です。上絵具は、赤、緑、黄、黒、に

       金彩が施されています。

     ・ 裏文様には、四方に七宝結文が染付が描かれ、他に蓑、瓢箪、菱などの宝尽しの文様

       が加えられ、鍋島盛期の様式と成っています。

      「色絵唐花唐草文皿」: 元禄八年銘 梅沢記念館蔵。口径 16.2cm。

      「色絵花唐草文皿」 : 元禄十二年銘 東京国立博物館蔵。口径 21.4cm。

      「色絵唐花唐草七宝繋文皿」: 元禄十二年銘 口径 21.4cm。

    b) 皿の中芯に丸く余白を残す構図は、鍋島独特の構図です。

     本来皿や鉢の見込み中心部分は、その器の主題に成るべき文様を描くのが、中国のだけで

     無く、わが国においても、染付絵付皿や、色絵磁器の常識でした。

     中央を白抜にする画期的な技法は、元禄後期に完成した物と思われます。

     菊座文、唐花文、花唐草文、七宝繋文、鳳凰文などが、皿の縁に沿って環状に配置されて

     います。 作品例として以下の作品があります。

     ・ 青磁染付水車文皿: 田中丸コレクション蔵。 口径 20.8cm、高 5.1cm。

     ・ 染付 地文に雲文大鉢: サントリー美術館蔵。 口径 30.6cm

     ・ 色絵宝尽文皿:岡山美術館蔵。 口径 30.0cm(尺皿)

       注:宝尽(たからつくし)文様とは、砂金袋、蓑、巻物、槌、法螺(ほら)、市女笠

         などの宝物(目出度い物)を描き込んだ文様です。

     ・ 色絵宝尽文皿:林原美術館蔵。 口径 30.0cm(尺皿)

     ・ 色絵牡丹唐草文皿」: 林原美術館蔵。 口径 19.2cm(七寸皿)

     ・ 色絵唐花文皿: 東京国立博物館蔵。 口径 15.2cm(五寸皿)

   ) 後期の鍋島様式。

     時期が降るに従い、享保の頃から、作品の肉厚は厚くなり、成形に鈍さが増したと言われ

     ています。これは、藩の意気込みの衰退や、慣れによる官僚の統率力の欠如の結果では

     ないかとも言われています。

     a) この頃の文様は、図案ではなく絵画そのものの様な描写に成っているのが特徴です。

     b) 絵画そのものを見込み全体に描き込み、周囲を幾何学的文様で縁取る事も無くなって

       います。即ち、一幅の絵を皿に描いた状態です。作品の例として、

      ・ 青磁染付山水文皿: 東京国立美術館蔵。 口径 20.0cm、高 5.8cm

      ・ 染付白梅樹文大皿: 東京国立美術館蔵。 口径 24.3cm、高 10.4cm

      ・ 色絵竹文大皿: 今右衛門古陶磁参考館蔵。 口径 33.7cm、高 10.6cm

      ・ 染付梅松文大皿: 口径 31.5cm、 高 8.4cm 等があります。

以下次回に続きます。
    
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