2) 「古九谷」の図柄と様式。
17世紀以降、日本で作られた色絵磁器の中で、有田の柿右衛門、古伊万里、色鍋島や古九谷、
京都の野々村仁清などの評価が高いです。
現在、「伝世古九谷」と呼ばれる色絵磁器は、大小、型物を含めて一万以上あると言われて
います。これらは、ある研究者によれば、四つに分類できるとの事です。
① 古九谷の素地に、大聖寺藩内で上絵付された物。
昭和45、46、47の三次に渡り、九谷古窯で発掘調査された際に、出土した作品類です。
窯は三基有りましたが、一基は復興九谷の窯で、古九谷の窯は二基のみです。
これらの窯やその周辺から、約2万点の磁器片が発掘されます。種類は、白磁、青磁、
青白磁、鉄釉、瑠璃釉、各種の染付文様ですが、「伝世色絵古九谷」に結び付く作品は
ほとんど見つかりませんでした。
② 有田の素地に、有田で上絵付された物。
「伝世色絵古九谷」は、この状態で作られたと言うのが、最有力の説です。
③ 有田から素地を輸入し、大聖寺藩内で上絵付された物。
) 当初、九谷の素地を用いて、初期京焼色絵の技術を導入して塗埋手の青手様式を確立し
ますが、素地の焼成が上手くいかず、有田から素地の移入と絵付の技術を導入したと思われ
ています。
) 絵付の文様は、中国色絵磁器や、京の狩野派、宗達派の絵画、墨刷木版画八種画譜
などを手本として、加賀文化とも言える美意識で、古九谷色絵を作り上げています。
④ 後世の一時期焼成された物。
九谷の素地を使い、九谷で上絵付けした焼き物です。
「古九谷」は有田又は、九谷で焼れたとしても、その図柄や様式には独特の物があります。
3) 古九谷の技法。
「古九谷」と呼ばれる磁器は、青、緑、黄などの濃い色の絵の具を多用し、華麗な色使いと
大胆で斬新な図柄が特色です。
① 様式は、祥瑞手(しょんずいで)、五彩手、青手などに分類されています。
) 祥瑞手は、赤の輪郭線を用い、赤、黄、緑などの明るい色調で文様を描いたものです。
染付磁器の上手のものを指します。
・ 注: 祥瑞手とは、日本の茶人の注文により、中国の明末清初の景徳鎮で焼かれたもの
と思われている作品です。皿の底に「 五良大甫呉祥瑞造」の銘があり、古来染め付け
磁器の最上品とされ、吉祥文様を基調として描かれています。
) 五彩手は黒の輪郭線を用い、群青、黄、緑、紫などの濃い色で文様を描いたものです。
a) 絵付の特徴は、皿や鉢などの器の中央に、山水、花鳥風月、人物等の一幅の絵画を
描いている事です。
b) 絵画の周辺を幾何学文様や小紋様等で埋め尽くすものも少なく無く、これは
中国の景徳鎮がは始めた「窓絵」という構図です。
c) 古九谷の色絵、五彩手は、中国陶磁の影響を受けながらも、日本の狩野派や琳派、
土佐派の絵画、国内外の漆芸、金工、染織、欄間(らんま)彫刻等の文様に影響を受けて
完成したもので、景徳鎮の作品にはなかった新境地を開拓したものです。
) 青手は、色使いは五彩手と似ますが、素地の白磁の質がやや下がり、素地の欠点を隠す
ように、青、黄、緑、紫などの濃い彩で、余白なく塗りつぶした様式のものです。
a) 青手の基本的な色は、深みのある緑と黄、これに紺青と紫を加彩し、赤は使いません
赤絵金襴手とは対極にある様式です。
b) 青手古九谷の意匠は、きわめて絵画性が強く、「日本の油絵」と称される事も
あります。
以下次回に続きます。
17世紀以降、日本で作られた色絵磁器の中で、有田の柿右衛門、古伊万里、色鍋島や古九谷、
京都の野々村仁清などの評価が高いです。
現在、「伝世古九谷」と呼ばれる色絵磁器は、大小、型物を含めて一万以上あると言われて
います。これらは、ある研究者によれば、四つに分類できるとの事です。
① 古九谷の素地に、大聖寺藩内で上絵付された物。
昭和45、46、47の三次に渡り、九谷古窯で発掘調査された際に、出土した作品類です。
窯は三基有りましたが、一基は復興九谷の窯で、古九谷の窯は二基のみです。
これらの窯やその周辺から、約2万点の磁器片が発掘されます。種類は、白磁、青磁、
青白磁、鉄釉、瑠璃釉、各種の染付文様ですが、「伝世色絵古九谷」に結び付く作品は
ほとんど見つかりませんでした。
② 有田の素地に、有田で上絵付された物。
「伝世色絵古九谷」は、この状態で作られたと言うのが、最有力の説です。
③ 有田から素地を輸入し、大聖寺藩内で上絵付された物。
) 当初、九谷の素地を用いて、初期京焼色絵の技術を導入して塗埋手の青手様式を確立し
ますが、素地の焼成が上手くいかず、有田から素地の移入と絵付の技術を導入したと思われ
ています。
) 絵付の文様は、中国色絵磁器や、京の狩野派、宗達派の絵画、墨刷木版画八種画譜
などを手本として、加賀文化とも言える美意識で、古九谷色絵を作り上げています。
④ 後世の一時期焼成された物。
九谷の素地を使い、九谷で上絵付けした焼き物です。
「古九谷」は有田又は、九谷で焼れたとしても、その図柄や様式には独特の物があります。
3) 古九谷の技法。
「古九谷」と呼ばれる磁器は、青、緑、黄などの濃い色の絵の具を多用し、華麗な色使いと
大胆で斬新な図柄が特色です。
① 様式は、祥瑞手(しょんずいで)、五彩手、青手などに分類されています。
) 祥瑞手は、赤の輪郭線を用い、赤、黄、緑などの明るい色調で文様を描いたものです。
染付磁器の上手のものを指します。
・ 注: 祥瑞手とは、日本の茶人の注文により、中国の明末清初の景徳鎮で焼かれたもの
と思われている作品です。皿の底に「 五良大甫呉祥瑞造」の銘があり、古来染め付け
磁器の最上品とされ、吉祥文様を基調として描かれています。
) 五彩手は黒の輪郭線を用い、群青、黄、緑、紫などの濃い色で文様を描いたものです。
a) 絵付の特徴は、皿や鉢などの器の中央に、山水、花鳥風月、人物等の一幅の絵画を
描いている事です。
b) 絵画の周辺を幾何学文様や小紋様等で埋め尽くすものも少なく無く、これは
中国の景徳鎮がは始めた「窓絵」という構図です。
c) 古九谷の色絵、五彩手は、中国陶磁の影響を受けながらも、日本の狩野派や琳派、
土佐派の絵画、国内外の漆芸、金工、染織、欄間(らんま)彫刻等の文様に影響を受けて
完成したもので、景徳鎮の作品にはなかった新境地を開拓したものです。
) 青手は、色使いは五彩手と似ますが、素地の白磁の質がやや下がり、素地の欠点を隠す
ように、青、黄、緑、紫などの濃い彩で、余白なく塗りつぶした様式のものです。
a) 青手の基本的な色は、深みのある緑と黄、これに紺青と紫を加彩し、赤は使いません
赤絵金襴手とは対極にある様式です。
b) 青手古九谷の意匠は、きわめて絵画性が強く、「日本の油絵」と称される事も
あります。
以下次回に続きます。
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