おかげさまで生きてます

日々の暮らしのなかで

兄妹

2009年01月15日 | 日記・エッセイ・コラム
間とタイミングとイントネーション
これがばっちり重なったときは面白いけど
そんな話に限って
後から思い返してみても、たいして面白くないものだ
 
見るからに仲のいい兄妹だった
兄貴が8歳ぐらい、妹は4歳ぐらいかな?
酒の肴を買いにスーパーへ行くと
駐車場の反対側から走ってくるガキが目にはいる
 
(めんどくさい)
 
公共の場で走る人間は、少々苦手
避けないといけない場面もあるし
大体の場合は、大人が避けないといけない
間違っても、延髄切りはご法度
そんな、少し嫌な面持ちで近づいていくと
不意に彼は、自動ドアの陰に隠れる
幅にして10センチもない
いくらガキでも隠れ切れない
 
(なにが楽しい?)
 
笑顔の似合うガキがそうやって隠れていると
後を追って妹らしき、小さな女の子が
走ってきた
 
(なるほど!)
 
何がなるほどだったのか覚えてはいないが
少々納得
 
兄貴は妹が近づくのを待ち
妹は、隠れ切れていない兄を見つけて
これまたいい笑顔で近づいていく
 
この間、時間にして5秒ほど
よっぽど暇だったんだろう、僕が
どうなるのかと、少し歩を緩める
当然、見えている兄が飛び出したところで
妹は驚かないだろう
 
「わぁっ!」
 
兄貴は妹の目の前に飛び出したが
案の定
妹は驚かない
バツが悪そうな感じで妹を抱き締めた兄貴に対して
妹が渾身の台詞を放った
 
 
 
「はじめから、わかってたぜぃっ!」
 
 
 
ぜぃっ?
 
なんで、ぜぃっなの?
 
下唇をきつめにかみ締め
ポケットに突っ込んだ手は、思いっきり
太股をツネっている
しかし、今にもこの感情がクチをついて
出て行きそうになる

(ぜぃっ!ってなんやねん、ぜぃっって!?)
 
かろうじて笑い声を出すことはなかったが
顔は、店内に入ってからも
ニヤケたままだった
 
でもやっぱり、今から思い返してみても
ちっとも笑えない、誰かに言っても
笑ってもらえないと思う
 
ねぇ、貴方もそうでしょ?

まぁ、この面白さが
伝わらないことぐらい最初から
わかってたぜぃっ!

 


コメント
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