目が覚めて、あたりが少しだけ明るくなっていて、ふと・・・今は、何時頃だろうか・・・と思った。
朝なのか、夕刻なのか・・・自分でもよくわからなかった。
先程、いつのまにか、眠ってしまったことを、オボロゲながら思い出す。
もしかすると・・・。
私には、もう時間の感覚すらなくて、少し前のことも思い出せずにいる。
このまま・・・自分自身が、わからなくなるのではないか・・・そして、これは、夢なのではないだろうか・・・そう、去年の春から・・・そして夏・・・、秋・・・そして・・・今、厳冬・・・氷点下、氷の世界が、一瞬にして過ぎ去って、今、この空間は、たぶん、今までとは、全く違う場所・・・。
現実が、現実ではなく・・・。
覚醒始めると、明け方の6時過ぎ。
そろそろ、明るくなる時刻・・・。
明け方と夕刻に、一度だけ、時が交差する。
朝は、夕に、夕は朝に・・・。
そんな錯覚をおこさせるような・・・夕刻のような朝。
去年の年末の夕刻(・・・といっても、あれからまだ2週間くらいしかたっていないけれど)。
隣市の高架橋の上から、遙か、北西を望むと、既に、薄暮の中に、蜃気楼のように、浮かぶように、藍色に映し出される山の嶺とその稜線、そして、山懐に抱かれるようにして、北関東の街が、幻影のように、紗を帯びて、これも浮かんでいるように見えた。
一瞬の夢幻のような風景。
たぶん・・・人の目にしか捉えられないだろう・・・ほんの一瞬の異界の出現に、我が目を疑った。
それは、私にしか、感じられない光景だったのかもしれない。
もしかすると、私自身のいびつな脳が生み出した・・・一瞬の幻の風景。
雨上がりの霧と靄に閉ざされた異界・・・。
青味を帯びた灰色の世界。
灯りはなく、ただ、そこに浮かぶだけの街・・・。
一瞬、垣間見た、朝と夕の交錯。
そして、厳冬の幻。