鼎子堂(Teishi-Do)

三毛猫堂 改め 『鼎子堂(ていしどう)』に屋号を変更しました。

春告鳥(はるつげどり)

2015-03-04 23:11:50 | Weblog

日付が変わって、深夜になってから、本降りだった雨も、夜明けとともにあがり、昨日の真冬の寒さを和らげるおだやかな曇り空。

それでも、北の空は、重い雪雲。


3月になって、自室裏の雑木林から、鶯(うぐいす)が、啼き始めた。
3月に合わせて啼くあたり、ずい分と几帳面なウグイスである。
初鳴きだから、まだ少し、タドタドしくて、最後の伸び?が、少し物足りないと思うけれども、初めてにしては、上手、上手。

朝方に啼くので、それで目を覚ます。


梅に鶯。

紅梅は、去年の末頃、ぽちぽち咲き始めて、今満開。

白梅は、そろそろ・・・。


『うぐいすが鳴きましてね。』

そんなことを相方に話すと

『そりゃ、もう春ですもんね。』

と・・・なんだか、まったり・・・というか、もう既に、老人というか・・・そんな会話である。

『うぐいすは、可愛いんだけどね・・・。ウチの裏の林は、土鳩だとか、キジバトだとか、地味な鳥しかこないんだよね。目つきも悪いし。』

相方、吹き出す。
私の馬鹿さ加減を楽しんでいるかのようだ。

『そりゃ。当然でしょ。きみは、たぶん、インコだの、オウムだの・・・熱帯に生息するような鳥が来ればいいとおもっているんでしょうけれど、インコやオウムのあの色は、熱帯のジャングルの中にいても、目立たない保護色なんだよ。きみんちの裏の林に、インコやオウムがいたら、目立っちゃってしょうがないでしょ。そしたら、一発で、狙われちゃうじゃないですか。』

『土鳩やキジバトは、保護色なのか・・・さもありなん。』


それでも、地味な雑木林でも、小鳥達は、春を寿ぐ。


寒くて辛い冬に、さよなら・・・。

春が来ました。春が来ました。

小鳥達は、春を告げる歌を歌い、その声を競う。






春マジかの都下散歩。

2015-03-03 23:17:10 | Weblog

本日は、朝から、都下へ通院。

午前8時半に自宅を出ようとしたら、チラチラと雪が降ってきた。
本降りになるのは、夕方から・・・という予報。

お雛まつりだというのに、寒い。
とにかく・・・寒い。

電車の中でも、ダウンジャケットの完全武装・・・というのは、やはりオバさん(かくいうワタシもダウンのコートでした!)。

季節を先取り・・・は、若い御嬢さん達。
薄手のシフォンのスカート、(多分、トレンドなんだろうけれど)ボタニカル風の明るい色彩のブラウス、スプリングコート・・・なんか・・・寒そう。ちょっと・・・フライング気味かな。
ミニスカ、ショート丈のトレンチコート、はち切れんばかりの太腿が、春といえば、春・・・なんだろう。
ちょっと、ボンレスハムなど連想してしまったりして・・・。

冬支度。
くるぶしまであるロングコート・・・に、ロングスカート。
色彩の綺麗なストール。薬指には、半カラットのダイヤモンドのプラチナデザインリングと人差し指には大振りなインデックスリング・・・バッグも高級そうな・・・コレは、まさにお洒落道まっしぐらなご婦人。
ロングコートは、長衣というのにふさわしい様なイデタチ。
良くお似合いだ。オバサン(推定65歳から70歳くらい?)で、これだけの雰囲気を作っているのは、流石だ・・・。ちゃんとお金も掛っているし、品格もある・・・こういうオバさんになりたい気がしたけれども、あの長衣で、外出先でのお手洗いは・・・などと、余計な心配をする。
(チビな私には、ロング丈の服は、全く似合わないけれど、風情があっていいかも・・・)

駅隣接のショッピングモールでは、ホワイトディ商戦で、臨時特設会場など設けられている。
可愛らしいパッケージのハンドクリームなどのボディケア用品、ケーキやクッキー、チョコレートなどのお菓子類など、様々。

中央線から見える風景は、灰色に曇った空の下に、広がって、それでも、ところどころ、白梅、紅梅、桃の花・・・。
春を告げる花達が、いろどりを添える。

いつも思うけれど、中央線沿線で、一度暮らしてみたい。




早春観劇

2015-03-02 10:52:08 | Weblog

良く晴れたけれど、朝から強風。


この2週間、土日も休みなし、毎日、日付が替わる頃まで残業し、時には、会社で夜を明かすことと相成った相方と、久々の休暇である。

この公演は、今年の初め頃だったか・・・(それとも去年の終わり頃か?)、チケットが発売になったので、その頃は、会社が倒産するか・・・どうか微妙な頃だった。
普段は、ソワレ(夜公演)を観に行くことが多いけれど、今回は、マチネ(昼公演)。

『・・・ほんと。久々に休めるよ。』

と言いながら、地元駅へ。

何やら、改札口がざわついて、何やらおかしな雰囲気。
人身事故で、電車が止まってしまったらしい・・・復旧は、1時間後を予定しているというアナウンス。

『1時間後か・・・。開演ギリギリかなぁ・・・。新幹線だね。』

新感線の自由席売り場の自動券売機には、長蛇の列。
それでも、なんとか、座席に座ることが出来て、昨日の強風の納まった穏やかだけれど、まだ風の少し冷たい早春の都内へ。

地元では、白梅は、まだ咲いていないのに、都内では、紅白両方の梅が、咲き出している。

『春だねぇ・・・。』

都内でも高齢の客層の多い某・デパート8階で、京風和食で、昼食。
周囲は、ほとんどが、見事なまでに髪の白い方ばかりである。
若者は、幼児をつれた家族連れなど、一組がいて、雰囲気は、全体的にまったり、シルバー系だ。

新幹線を使ったため、予定より少し早めについてしまい、開演時間には、まだ少し間があったので、劇場のある赤坂見附で、珈琲タイム。
ゆっくりお茶していると、後から入店して来て、私達の席の裏側のテーブルに座ったカップルは、差し向かいには、座らず、ふたり並んで座っていて、なにやら、いちゃいちゃしている。
私は、背を向けていたのでわからなかったのだけれど、相方、ソレを眺めて、にやにや。

都会のティー・ルームだから、許されるのか・・・まあ、何処にどう座ろうとも、客の勝手なのだろうだけれど。
珈琲1杯750円って、場所代だよな・・・。
商談中のような3人の男性、ひとりパソコンに向かう人・・・そんなお店らしい?


上演が終わって、16時。劇場を出ても、そとは、明るい。
春の夕暮れの明るさ・・・。

『随分と陽が伸びたね。まだこんなに明るい。でも、春分の日も近いんだった。』

そんなことを言いながら、帰途についた。
往路・復路とも、相方は、眠っていた。

疲れていたのに付き合ってくれたのだった。



カタルシツ『地下室の手記』

2015-03-01 10:50:02 | Weblog

朝から、どんよりと暗い3月の始まり。


昨日、28日は、相方と赤坂RED/THEATERへ、『地下室の手記』を観劇に。

ロシアの文豪・ドストエフスキーの『地下室の手記』を下敷きに、40歳、独身、彼女なし、職無し・・・の・・・社会に適合できない男が、地下室に籠った理由を、ネットストリーミング放送する。
(社会に適合できないという点では、まるで自分を見ているようで、辛い。)

約2時間。
一人演じるのは、イキウメの安井順平さん。

かつての同級生達は、彼を無視し、侮辱する。
同級生たちを『社蓄』、スタバは、『悪の巣窟』、泥水珈琲と罵り、くだらない、下劣な世間の『楽しさ』から、目を背け、自分以外の全ての世界を遮断しつつも、結局は、自分を取り巻く世界から、離れることができない。
ひとり、孤高を貫くには、『死』ぬことだけれど、その勇気もなく、面倒くさいだけ。

一歩、外に踏み出す勇気があれば、今の世界を飛び出すことができたのに、そのきっかけをあたえてくれた20歳の娼婦に、何故、あんなことをしてしまったのだろう・・・と彼は、地下室の中で、もがきくるしむ。

地下室・・・それは、彼の防御壁。
地下室・・・それは、彼の牢獄。

傲慢で、臆病で、言動不一致で、矛盾で、弱虫のクズ・・・。
最低の男を、安井順平さんは、約1時間45分ひとりで演じ続ける。

役柄と役者を、同一視してしまうということは、よくあることで、それは、役柄と役者がぴったりと一致した場合に特に感じてしまうものだ。
安井順平さんには、確かに、この『地下室の手記』の主人公とクロスオーバーする。
でも、たったひとりで、この舞台を演じ切る精神力は、この『地下室の手記』の主人公には、ないものだろう。


脚本・演出は、前川知大さん。
異質な世界と空間を、描き出すことにおいては、今、旬の演劇人だと思う。