友々素敵

人はなぜ生きるのか。それは生きているから。生きていることは素敵なことなのです。

だからゴメン

2007年03月09日 23時06分45秒 | Weblog
 カミさんは日曜日の夜中に38度6分の熱を出した。それでも翌日からの仕事は休まずに出かけている。月曜日に医者に連れて行ったのが良かったのだと思う。仕事から帰ると疲れたのか、床に入って一眠りする日が続いた。昨夜は友だちとの会食の約束があったので、床につくこともなく出かけて行った。車で行ったからお酒を飲むこともできず、遅くなることもなく帰ってきた。昔の仲間とワイワイとおしゃべりをすることは楽しい。続いていた風邪模様も吹っ飛んだのかも知れない。

 私は学生の時、そして就職して結婚するまでの間、一人暮らしの期間があったから、食事を作ったり、掃除や洗濯をしたりすることは苦ではない。さすがに買い物は今も苦手だが、特に料理は好きだ。カミさんが風邪気味なので、昨日までは毎晩、食事を作った。冷蔵庫にあるものを適当にナベに入れて煮てしまえば、煮物はできる。孫が「おいしい!」と言ってくれれば、当たりである。孫は酒のつまみになるようなものが好きで、彼女の評価は正しいと私は思っている。

 失職していた時、「主夫業に徹するぞ」と決めて主婦業をやっていた時がある。掃除をし、洗濯をし、料理をして、家族の帰りを待つのだ。初めのうちは張り切ってやっていたが、そのうちにだんだん空しくなった。どんなにキレイにしておいても、どんなにおいしい料理を作っても、誰も評価しない。当たり前のことだから誰も何も言わないのだ。主婦の寂しさがよくわかった。人間は社会で評価されるようにできている。そこに喜びがある。テレビに、人は映ってはいるが話しかけてはこない。人と話がしたい、自分の思いを伝え、相手の考えを聞きたい。その思いが強くなって、「主夫業」をやめた。

 今日は「花だん」の日で、孫と一緒のテレビを見なくてはいけないのだが、テレビの前ではカミさんが真剣な表情で見入っている。実はここだけの話だが、彼女はかなりミーハーである。娘が中学時代にマンガに取り付かれていた時、やはり徹夜してそのマンガを読んでいたし、パソコンを勝った時は徹夜でゲームをしていた。根が真面目なのだと思う。私は冷めてしまっているが、彼女にはとことんやらなければ気がすまない情熱がみなぎっているのだ。エライ人だなと感心する。

 若い女性から「奥さんは大変苦労されたのですね」と、言われてビックとした。どうしてその女性がそう思ったのか定かではないが、ウチのカミさんが苦労をしたことは確かであろう。教員同士で普通の生活をしていたはずなのに、とんでもない人生を歩かされたのだから、苦労がないはずは無い。彼女がやってこられたのは、彼女のおおらかさにある。ものごとにこだわらない鷹揚さにある。でも多分、そうしなければ生きてこられなかったこと故の彼女の智恵であるように思う。私が先に死ぬことで、彼女を解放してあげたいと願っているのだが、この先のことはわからない。わからなくてもいいんじゃないか、どのような結末でも大差は無いと思う。だからゴメン。

 向こうの部屋で、孫が「ナニ!ムカツク」と叫んでいる。『花だん』が終わったのだろう。また孫からひとしきり道明寺のことを聞かされそうだ。カミさんはと見ると、もう床に入っていた。
コメント
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