名古屋城の能楽堂で行なわれた二胡の演奏会に行ってきた。張濱さんとその娘の日妮さんによる『親子で贈る二胡七夕のゆうべ』である。張濱さんは名古屋芸術大に留学していたこともあって、この地方になじみが多い。知り合いが張濱さんの後援会に入っていたことから、初めはみんなで出かけた。二胡の演奏者として活躍する張濱さんはこの地方では知らない人がいないくらいの有名人になっていった。
初め見た時はまだ可愛くて小さな女の子だった日妮さんも今では高校2年生。アメリカの学校で学んでいるという。夏休みで日本に帰って来たけれど、来年は大学進学の年、「よい知らせを持ってきたい」と初々しく話す。背が高く、細身の身体で、指がとてもきれいだった。お父さんよりも日妮さんの演奏の方が澄んだ音色のように感じた。女優になってもいいような女性で、「きっとお父さんよりも有名になるわよ」と、一緒に行った女性は話す。
張濱さんはあいさつの中で、「日本と中国は兄弟の国。もっと仲良くなりますように」と言った。音楽に国境はないと昔から言われるけれど、それは人には国境はないのに、人の政府が勝手に線引きをしているためだ。確かに肌の色、顔のつくりなど、人には違いがある。言葉はどうしても地域に縛られる。にもかかわらず、音や絵や物語は共感させる何かがある。中国の人が日本で活躍しているように、世界中で世界中の人が活躍している。芸術の分野だけでなく、スポーツや料理やあるいは労働で貢献している。
ギリシアの国民投票はEUの緊縮案にNOと答えた。財政破綻がどういう結果をもたらすのか、EUもギリシアも分からないようだ。どんどん国境という枠を超えて、出て行く人もいれば入って来る人もいるだろう。世界はますます多様化して、そのうち国境など意味のないものになっていくだろう。今日は七夕、また今年も曇り空だ。天の川が見えないのは、誰かが嫉妬しているからだろう。早く会えるようになるといいね。