小1の孫娘のピアノ発表会はサプライズだった。プログラムの曲目は「おたんじょうびマーチ」と「とべ、うちゅうせん」(連弾)となっていた。この日が長女の誕生日なのでこの曲目を選んだのだろう。連弾は誰とするのだろう?名前がないから先生なのかと思っていた。いつも通り、おしゃまな仕草で礼をしてピアノに向かう。保育園の時は電子ピアノでの合奏だったけれど、今回はグランドピアノを1人で弾くので、緊張しているかと思ったが意外に落ち着いていた。
演奏の腕もかなり上達した。2曲目に入る前、ソデのところに父親の姿が見えた。長女のダンナのお母さんが「今日はきちんとした格好をしていると思ったけど、こういうことだったのね」と言う。連弾はふたりの息がピッタリ合い、ダンナのお父さんがやりたかった「家族で演奏」ではないが、親と娘の見事な共演が実現した。演奏が終わるとふたりは舞台の中央に立ち、「ママ、お誕生日おめでとう」とあいさつした。ちょっと泣かせる。
ピアノ発表会はレベルが高かった。凄い技の子もいたが、最後に登場したのは大人の女性だった。ピアノが好きで、子育てが終わったのを機会に練習を始めたのかも知れない。かなり緊張していたのか、最初の出だしでミスってしまった。子どもなら黙って弾くのだろうが、「あっごめんなさい。間違えた」と口ごもり、そして弾きだしたがそれは見事な演奏だった。同じような女性を知っているので、その人と重なり、迫真な演奏に見入ってしまった。
演奏会が終って予約してあるというイタリアン・レストランにみんなで行った。「発表会、大変上手にできました。そして、お誕生日おめでとう」と乾杯した。するとお店の人が大きな花束を2つも持って来る。1つをダンナが「おめでとう」と長女に渡すと、今度は長女が「産んでくれてありがとう。今日があるのはママのおかげです」ともうひとつをカミさんに渡した。これにはカミさんもビックリし、涙を流した。
サプライズを用意していると孫娘が言っていたのはこのことだった。ピアノ発表会も素晴らしかったけど、レストランでの「お祝い会」も心に残るものだった。いつもなら、イベントの後はダンナのお父さんから「飲みに行きますか」と誘いがあるが、そんな雰囲気ではなくなった。それにしても、長女夫婦の心遣いに感謝である。