アメリカのトランプ大統領がメディアをツイッターで批判した。「視聴率の悪い番組が私の悪口を言っている」「IQの低い、頭が悪い(キャスターの女性は)」「(以前会った時、)顔のしわをとる手術でひどく出血していた」。えっ、こんなえげつない個人攻撃を大統領がするの?!その辺の子どもと少しも変わらない。
それに輪をかけたようなホワイトハウスの副報道官の発言にも驚いた。「大統領は番組から容赦なく攻撃された。やられたらやりかえすまで」。こちらも、良識のある大人とはとても思えない。相手をIQが低いと罵るくらいだから、トランプ大統領はIQが高く、頭のよい人なのだろうが、そういう賢い人は決して相手をバカにしない。
報道が間違っているのなら、何がどう間違っているかを説いてみせるのが大人だ。大統領を批判するなと言うなら、それはもう独裁国家だ。批判に対しては反論すればよいのであって、「IQが低い、頭が悪い」は反論では決してない。建国当時のアメリカは、言論の自由を大切にしてきた。そうすることで、国民が情報を共有し、論議を繰り返すことで国の方向を定めてきた。
しかし、政治家は自分に都合の悪いことが報道されるとメチャクチャ腹を立てるのが常だ。東京都議選挙の応援演説で、自民党の二階幹事長は「落とすなら落としてみろ。マスコミが選挙を左右すると思ったら大間違いだ」と言い、「我々は金を払って(新聞を)買っている。買ってもらっていることを忘れてもらってはダメだ」とまで述べる。
NHKのような国営なら、「政府の方針に従わなければ予算を出さない」のと同じで、「買ってやらないぞ」という脅しである。「広告料を支払っている企業に圧力をかけよ」と言った自民党議員がいたが、「謙虚に丁寧にわかりやすく説明する」ことは、言葉だけでなく、政治家の使命であり義務である。
しかし、トランプ大統領の暴言も、二階幹事長の本音も、共感する人がいることも事実だ。明日の東京都議選挙はどういう結果を出してくれるのだろう。良識がどこまで反映されるのか、期待している。