最近の日曜日の正午は、『アッコにおまかせ!』ばかりだった。私は土曜日の『吉本新喜劇』が好きだが、カミさんは「どうしてそこで笑うのか、分からない」と言う。「『アッコにおまかせ!』は無条件で笑えるからいい」と。
いつもは見ないのに、今日は『アッコにおまかせ!』が終わると、チャンネルをNHKに変えてくれた。ちょうど、『のど自慢』の最後、ゲストが歌う場面だった。ゲストは坂本冬美さんで、「目をさませば土の中 手を伸ばせば闇を這うだけ」と歌い出す。
前にも聴いたことがあったが、何と不気味で恐ろしい歌なのか。『ブッタのように私は死んだ』というタイトルも気になった。男に殺され、土に埋められたことは想像できたが、どうしても歌詞の全部を知りたくなって検索してみた。
「あんなに尽くした私が邪魔になったのね」とあるから、女は愛した男に捨てられ殺されたのだろう。それでも女は、「他人を見下した目や 身なりの悪さは赦す ただ箸の持ち方だけは無理でした」と回顧する。そして最後に、「太陽が西から出て 月がそっぽを向いても お釈迦様みたいにはなれない やっぱり私は男を抱くわ」と結ぶ。
凄い歌詞だ。まるで、最近読んだ村山由佳さんの小説『ミルク・アンド・ハニー』の世界だ。作詞・作曲は桑田佳祐さんとある。桑田さんが坂本冬美さんに歌わせたかったのだろう。人は幸せを求めるが、そのあり様は様々で、欲するものと与えるものは食い違う。