姉さんたちが使っていた部屋の片づけが終わると、カミさんは「今日はどこへ行く?」と言う。水曜日の「デートの日」は続けなくちゃーダメと、友だちに言われたとかで張り切っている。さもありなんと思いつつ、「小牧市の四季の森」へ出掛けた。
バラ園のバラは、咲き終わったものや、これから蕾が大きくなるものなど、春のような華やかさは無かった。また、期待したメタセコイア並木も紅葉にはまだ早かった。休憩所では何人かの年寄りが談笑していたし、芝生広場では若いお母さんたちが小さな子どもを連れて来ていた。
春に来た時には見られなかったところを少し見て回った。そんなに歩き回った訳では無いのに、汗ばむくらいだった。「あなたには丁度よい、運動だったんじゃーない」とカミさんは微笑む。「まだまだ、歩けますよ」と言いたかったが、「うん、これくらいが丁度いいね」と答えてしまった。
昼に寄った喫茶店は朝昼に関係なく、「いつでもモーニング」という店だった。よく分からないままに、私はナンの上に大きなソフトクリームがのった「ナンクリーム」を注文した。アイスクリームの上にソフトクリームが巻き付けてあって、食べ切れないくらいあったが、甘くて私好みだった。
喫茶店は女性客が多い。高齢の人もいれば、若い人もいるが、多くの客がグループで来ているのに、ひとりで来ている女性客も何人かいる。女性がひとりで気楽に入れる喫茶店は珍しい。病院で認知症の検査をされたとか、血液検査のために血を抜かれたて眩暈がしたとか、情報交換をしていた。
アメリカへ帰っていった姉さんは88歳だが、実に元気で美しい。それでも、「これが最後になるかも」と心細いことを言う。「元気でいれば、いつでも会えますから、元気でいましょう」と見送った。姉さんの弟である友だちは85歳、姉さんに会える前まではヨタヨタしていたのに、会えたら途端に元気になった。
まだ、やることがあるうちは元気でいられる。明日のやることを考えていれば、元気が湧いて来る。カミさんが「お姉さんからワインをいただいたから、今晩はワインに合う料理にするわね」と言う。「ええ、あなたのおっしゃる通りでいいです」と答える。